表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
142/678

 最近、家に帰るなり本日の報告会が始まる。


「では、始めようぞ」


 武士は正座し、ピシッと背筋を伸ばしている。

 そして、恭しく一礼をした。


「本日は、ケツフクカミを買って参った」


 何? 新手の神様?

 あ、違うか。ケツ拭く紙か。トイレットペーパーね。


 うん、他は?


「苺とコアラのマーチを買った」


 あざっす。

 コアラのマーチ安くて美味しいよね。


 他は?


「うむ、実はこれが本題なのだが……」


 ほう、何があったよ。


「……ツクシが出ておったのだ」


 ……ツクシ……。

 ツクシっすか……。


「ツクシ。二、三本。道端に。ひょっこりと」


 へぇ……もうそんな季節なのか。

 桜はニュースなんかでよく見るけど、ツクシは無いもんなぁ。

 最近久しく見てねぇよ。


「そうだろうと思って、抜いてきた」


 おい、いいのかよ。

 ツクシさん可哀想じゃねぇか。


「彼らは抜いても抜いてもしぶとく生えるから大丈夫なのである」


 はー、こいつらそんなに強い植物なのね。

 見習いたいもんだね。うん、可愛い可愛い。久しぶりに見たけどこのフォルム、やっぱり可愛いわー。


「別名、地獄草」


 可愛さのかけらもねぇな。


 そんなわけで、春である。

 うちの同居人は、我が家にトイレットペーパーと春を運んでくれるらしい。


 ……。


 いや、今は色々流行ってんだから、寄り道せず帰ってきなさいよ。


「ぬぅ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ