表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
139/677

雨合羽

 武士は、雨の日もよく出かけている。


 ビニール傘を差し、ふらふらと散歩をする。ビニール傘が弾く雨の音や、あえて入る水溜りの感触が楽しいらしい。


 というのは、以前書いたと思う。


 追記。


「びにーるの合羽が欲しい」


 なんか、新規の要求をされた。


 何? ビニールの、合羽?


「こう……頭からガバッと被ってな。それで雨の中を行くのだ。幼き子が使っておってな、実に便利と思ったのである」


 ほう。

 え、ビニール傘でいいじゃん。


「……」


 何その目ー。

 不満を目に託して訴えんじゃねぇよ。言葉でコミュニケーション取れやジャパニーズ・サムライ。


「……」


 もー、分かった分かった。

 そんじゃお店行くか。


「かっぱぱっぱ」


 なんだその反応。嬉しいのか。




 というわけで一時間後、青色のでっかいてるてる坊主が爆誕した。

 ちょんまげとか邪魔そうだけど。これで出歩いてたらまあまあ通行人からビクッとされるだろうけど。


「うむ!!!!」


 武士は満足そうである。

 なら、まあいいか。


「では行ってくる!」


 おう、行ってらっしゃい。





 で、その後日。

 警官殿が、うちに来た。


「最近、雨の日に歌う青色の巨大なてるてる坊主が出没するとの通報が入ったのですが、心当たりは……」


 ……。


 無いです。


「いや、武士……」


 無いです。


「今ベランダに干してる雨合羽……」


 無いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ