表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
129/677

バレンタイン

 バレンタインですか?

 最高のイベントじゃないですか。


 この日に向けて、こぞって美味しいチョコが店頭に並ぶんですよ。

 まあ買えるかどうかは別として。

 懐事情は甘くないけど。


 そんなわけで、私は安売りされていたいつものチョコを大量買いして帰ってきたのである。


「うむ、きのこの里とたけのこの山は実に美味いな……」


 逆だぞー。

 きのこの山とたけのこの里だぞー。

 やめろよー、これそれなりに大規模な対立が起きてるやつなんだからさー。


「対立? きのことたけのこがか?」


 そうそう。


「戦をするのか?」


 インターネット界隈ではよくしているように見受けられる。


「しかし、きのこ殿にもたけのこ殿にも手足は無いではないか」


 ああー、違う違う。本人(?)達が戦うんじゃないんだ。

 彼らを推す人達が戦うんだよ。


「……」


 何。


「無益にもほどがあるのではないか?」


 うるせぇマジレスすんじゃねぇ。

 こういうのはノリだ。「ねぇアナタ、この二つのチョコどっちが好き?」「オレはたけのこ」「マジ? 私きのこ」「嘘やん、別れよ」「別れよ」みたいな感じでライトにカップルが破局する為にあるんだ。


「大家殿がやさぐれておる」


 んなこたねぇよ。

 ああー、可愛い女の子にチョコ贈られてぇなー。


「そのことなのだが、そもそもその“ばるたん”というのは一体何なのだ」


 バルタンはウルトラマンの敵キャラじゃねぇかな。

 バレンタインはね、女の子が好きな男の子にチョコを贈る日だよ。


「ほぅ」


 つまり、私もお前も関係ナッシング。諦めて叩き売られてたチョコで共に腹を満たそうぜ。


「……」


 ……どしたん。


「……いや、甘かったはずのたけのこが、急にしょっぱくなってな……」


 ……ああ。


「うむ……」


 ……なんか、ごめんな……。


「気にするな……。江戸には、そのような文化が無かった。今思えば、恵まれていたのであるな……」


 いやそこまではわかんねぇけど。

 でも江戸にはチョコ自体無かっただろ。


「そうだな! ここに来られて良かったぞ!」


 あ、元気になった。

 つーかお前、私の分のきのこは?


「美味かった!」


 二箱全部食いやがったのか。

 よし、そこに正座しなさい武士さん。お説教ですよ。


「ぬうううううう!」


 こんな感じのバレンタインであった。

 そんなわけで、もしこれを読んでる人で私のことを好きだって人がいたらチョコをください。できるだけ美人なお姉さんがいいです。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
きのこめっちゃくちゃ美味いよ!!
[一言] たけのこが正義。これは宇宙が生まれたときから、決まっている絶対の真理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ