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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
120/677

かめはめ波

 あー……。


 かめはめ波が撃てる人生だったらなぁ……。


「突然なんだ」


 本日何にもしたくないモードの私は、ゴロゴロとベッドに寝転んで戯れ言をぬかしていた。外は雨。買い物も足りている。掃除も昨日済ませた。なので、何かしたいモードだったとしても特にやることは無い。


 だから武士にそんな目をされる謂れは無いのだ。呆れた目をよこしてきやがった生意気なヤツの背中を、膝でつついてやる。


 かめはめ波が撃てる人生だったら良かったと思わん?


「なんだそのかめはめ波とやらは。亀?」


 あ、ドラゴンボール知らねぇのか。

 言わずと知れた鳥山明先生の大傑作マンガだよ。

 まあ私前半しか読んだ事ないんだけど。


「そうなのか」


 うん。

 でもアラレちゃんと、COWA! なら読んだよ。


「いや、某はかめはめ波が気になる」


 あ、ごめん。

 かめはめ波はね、ドラゴンボールの中で主人公とかが使う技なんだ。

 こう、両手をこんな形にして、後ろに引いて、かーめーはーめー……。


 波ーーーーッ!!!!


「ビクッ」


 ……とやれば、手からすげぇ威力のエネルギー弾が出て、相手は死ぬ。


「死ぬ!?」


 ごめん、敵を倒すことができる。


「ぬぬぅ!」


 ビックリさせてごめんな。


「しかし、大家殿。お主は何故そんな物騒な技を使いたいのだ?」


 いや、さ。

 会社とかで理不尽に怒られることがあったりするじゃん。でも私がかめはめ波撃てることを相手が知ってたら、「でもコイツかめはめ波撃ってくるんだよな……」って色々マイルドになるんじゃないかなと思ったんだ。


「そうか?」


 そうだ。

 あと、嫌なことがあっても、かめはめ波を空に向けて撃ったらスッキリできそう。


「すとれす社会、街行くサラリーマンから次々と空に放たれるかめはめ波……」


 あ、でもかめはめ波撃てるんなら舞空術も習得できてるかな。そうなりゃもう満員電車使わなくていいんだ。全サラリーマンが空飛んで出勤、そして定時退社。

 いやこうなってくると多分上司も技使えるな……。残業させようとする上司と、定時退社したい自分とでガチバトル。最後まで立っていられた方が、帰る。


「不毛過ぎではないか?」


 うん。恐らく決着がつく頃には、会社も瓦礫の山と化している。


「いかんではないか」


 いかんなぁ……。


「……」


 ……。


「平和が一番である」


 そだな。


 よーし、飯にすっか。

 確か今日はきゅうり買ってたから、それとタコを混ぜて……。


 あれ!? 無い!!


「ぬぅすまん! 某、腹が減って、ついボリボリと食べ申した!」


 かーめーはーめー……。


 波ーーーー!!





 私の平手打ちに悶絶している武士を捨て置き、メシを作る。

 食べたら言えっつの。やっぱかめはめ波は必要だな。

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― 新着の感想 ―
[一言] クリリンレベルはいらないから、ビーデルさんくらい強かったらいいな…。とは思う。
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