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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
119/677

不倫、浮気、ダメ絶対

 何故、浮気をするのか。

 何故、不倫をするのか。


 とっても健康的な気分になれる青汁ジュースを飲みながら、暇な私はぼんやり考える。しかし、どうあがいても「それってつまり、椅子取りゲームで一人が椅子二脚確保してるって話だよな」というアホみたいな解釈しか出てこない。


 そんなズルいヤツなんてとっとと見限り、ポポイのポイしちゃえばいいと私は思う。しかし世の中は不思議なもので、それを受け入れてしまえる人もまた、いるというのだ。


「今の時代は、げに優しきことであるかな」


 報道番組を見ながら、ビタミン入りジュースをすする男が呟く。

 おや、誰かと思えば婚約者に逃げられた武士さんじゃないですか。


 え、これ優しいの?

 テレビとか見てると、とてもそんな風に思えないんだけど。


「うむ、優しいぞ。某の知る不義密通は、それと分かればその場で斬り倒しても咎めは無しというものだったからな」


 え、マジで?


「うむ」


 何それ超物騒じゃん。


「物騒である! しかしながら、不倫、浮気。これらは江戸において、それほどまでに許されんものだったのだ!」


 へー、そうなんだ。

 腕を組み、ドヤ顔で話す武士に私はふんふんと頷く。


 ……ん? でも確か東海道中膝栗毛ってアレじゃん。奥さん捨てて逃げる男と、その間男が主人公だったよな。


「……」


 あれも切り捨て御免案件なわけ? それか相手が同性ならセーフ?


「……まあ、実の所は割と大らかであった」


 大らかであったかー。

 武士曰く、決められた法は過激だったとはいえ、武士が生きていた頃にそれを実行する人間はまずいなかったらしい。割と不倫は横行し、バレても金で解決。

 なんだ、今と変わんねぇじゃん。


「とはいえ、一応法は残っているわけであるからな。それにやはり、裏切られるというのは辛いものだ。愛した者であれば尚更な」


 お、さすが婚約者に逃げられた男が言うと切れ味が違いますな。


「ぬぅこれはしたり! かつて付き合った者二人から浮気された挙句、後でその両方から『あれは貴方を試しただけだった』と言われた大家殿からそのような言葉を引き出してしまうとは!」


 オラ切り捨て御免じゃ武士ィィィィ!!!!


「出合えっ! 出合えーい!!」


 噂をするだけで、不倫や浮気と一切関係無い我が家は、今日も今日とて賑やかである。


 しかしなんで浮気するヤツすぐ恋人の愛を試しがちなの? なぁなんで? やめよう?

 不倫、浮気、ダメ絶対。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一応法としては、斬っていいのによく不倫できるな…。
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