マジで声が出ない
声が、出なくなった。
「……」
多分ね、風邪は風邪なんだろうね。
でも熱は無いし、鼻水頭痛悪寒も無い。ただただ喉の痛みだけがある。
そして、ピンポイントに声が出ない。
「……」
まだ会社が休みで本当に良かったよ。ほんとなんか全然声出ねぇんだもん。
いや、低い声なら出せるな。会話はギリいけるか。
「……大家殿」
なんすか(デスボイス)。
「ぬははははははは!!!!」
笑うんじゃねー(デスボ)。
おっかしいなー。
あれかね、おみくじの弊害かね?
そういや包丁で指を切ったし、季節外れの蚊に二箇所刺されたし、こうして今喉がデスボですし。いいことねぇなぁ令和二年。
「そう落ち込むな。某が良い物をやろう」
ひとしきり笑った後、武士はキッチンへと向かった。なんだなんだ。
しばらくして帰ってきた武士は、マグカップを手にしていた。
「柚子茶である」
わぁ。
「柚子は風邪によく効き、蜂蜜は荒れた喉に効く。混ぜ合わせ湯に溶いてきたから、飲むといい」
あー、なるほど。
そりゃ喉に効きそうだ。ありがとな、武士。いただくとしよう(デスボ)。
「ぶふっ」
笑うんじゃねぇよ。
しかしあれだね。武士、お前よくこんなん知ってたね。やっぱり江戸時代の民間療法ってのはバカにできないな。
「いいや? ヒルナンデスの知識だ」
ヒルナンデスの知識!!!!(デスボ)
ともかく、どうもありがとう。
私は完全にやられた喉を、武士の入れてくれた柚子茶で潤すのであった。