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第九話【敵の正体と真実を語る】

 で、なんで俺が黒板消してんのこれ。――時は遡り、放課後直後。本来ならば黒板消しの仕事は日直の仕事。理由は簡単。だってあんなに可愛く『お願い。ね?』と言われたら大抵の男子はイチコロだ。あーあこの世の中は不平等だ。男は絶対女に勝てないのだ。


 窓の外をみると、男と女が手を繋いで帰っているではないか。ハッ、さっさと帰った帰った。俺にそんな性別違いのタンパク質の塊はいらん。1人まじ最強。強し。


「一人学園に残り、夕陽を眺めながら帰っていくのが青春。それこそ俺が刻む英雄譚。これこそ俺が目指す――」


「九条。日直の仕事を手伝うことは喜ばしいことだが、途中から心情が漏れてるぞ。もはや不審者なみだ」


 そこに立っていたのは担任の伊藤先生だった。


「妄想は勝手だか、自宅でやってもらいたいものだな」


「いつからいたんすか」


「割と最初の方から」


 じゃあ、声かけてよ。先生冷たい。


「今日は帰りなさい。あとは私がやっておくから」


 え、やった。先生暖かい。


「先生も早めに結婚できるように頑張ってくださいね。最近、孤独死が多いってニュースでやってましたから」


「おぉそうか。――時に九条、明日の課題はたっぷり用意してやろうか」


 その顔には怒りマークが山ほどあり、右手には拳が作られていた。ここは急いで逃げなければ。


「そ、それじゃ、さよなら」


「おい、待て九条っ!」


 あのままいたら危ないとこだった。俺なりの優しさだったつもりだか、水を指したようだったな。これだから女はわからない。.....いや、わかろうとしなかった俺が悪いのか。今は分からないが、そんな俺にでもいつかわかる日が来るだろう。


「早く帰って『魔法少女プリティー・ドリーム』でも見よう」


 確か始まる時間は午後の6時だったか。ぼっちルートは最高だと改めて最高だと再確認した1日だった。






 お手洗いを済ませ、急いで戻る。あまり1人にさせておくにはいけない。


「さぁ行きま.....」


 さっきまでいた場所に白鷺さんはいなかった。そして、テーブルに置かれた一枚の紙切れ。その内容は、


『彼女は助けたければ指定の場所に来い。当然、1人でな。これは他言無用。もし、他の誰かが来れば、彼女を殺す』


 してやれてた。私がいなくなったのはたった3分程度。まさか、その隙に狙われてるなんて。周りの状況からみて、気付かれずに犯行をしたと考える。


「多分、手馴れている人だわ」


 紙切れの文書から応援は呼べないわね。ターゲットの白鷺さんには術式系の能力が施されている。しかも殺術の類。これは私1人が行かなければならない。


 私は紙切れを制服のポケットにしまい、走り出す。


 ――待ってて、今助けに行くから。


 これは私の失態。必ず助ける。星下学園の生徒会長として。そして、友達と見てくれた人として。





 現在地から目的場所まではおよそ1キロ。犯人もそこまで遠くにいけないから、そこが偽の情報は限りなく低いとみる。


 そして指定された場所は倉庫が立ち並んでいるコンビナート。確かに人目がつかない場所としては完璧。なかなかの手練だと判断する。

 

 向こうは私の情報を把握してるはず。一方で私は何も知らない。情報戦の時点では向こうの完勝。


「これは厳しい戦いになりそうね」


 そして指定の場所についた。時間も夕暮れであり、人などはおらず静かな空気が流れる。辺りを確認するにそれらしき人物はいなかった。


「まさか……逃げた?」


「――そんなつまんねぇことしねェよ」


 積まれた荷物の上に、そいつは座っていた。年齢は恐らく20代。特徴としては首に赤いマフラーを巻き、そしてまだ春の初期なのに膝までしかない半ズボン。声質からして男の声。


「あなたは誰なの?」


「まぁそう慌てるなよ。俺だって待ってたんだぜ。よいしょっと」


 座っていたところから飛び降りるとこちらへ歩いてくる。


「よぉ生徒会長さん。会えて光栄だぜ」


「それで、あなたはなぜここに?」


「簡単よォ。アンタが持ってるだろう紙切れ。それ俺が書いたやつ」


 やはり、彼が今回の主犯。いまは相手の情報を知る必要がある。


「あなた、人をさらっておいて何がしたいのかしら。それにそっちの方からくるなんて手間が省けたわ」


「そうかそうか。なら良かった。俺も今年の星下学園の生徒会長さんがどんなもんか戦ってみたかったんだよな」


「そう。それで、白鷺さんはどこ?返して貰えないかしら」


 辺りを確認したけど彼女の姿はなかった。一体どこに……。


「おいおい。マジかよ。まさかアンタ、知らないのかよォ」


「なんのことかしら」


「やれやれ。自分の口から教えてやった方が友達ってやつじゃないのか」


 急に、奥から足音が聞こえたきた。その音はコツコツとゆっくり。姿がハッキリ見えた時、そこには白鷺 葵(しらさぎ あおい)の姿。


「――ごめんね。私ダマしてた。でも仕方ないの」


「……どうゆうこと」


 わからない。頭の回転が追いつかなかった。私は彼女の依頼人として今日1日行動してきた。何をダマしてたって……。


「――利用されたんだよ。お前は。ここに来るように頼んだのはそこの女だ」


「でも、あなたがどうして」


 今までの口調とは違い、荒い言葉使いでしゃべる。


「仕方ないじゃん。だって私憧れてたんだよずっと。学園のトップにいるし、世間はこの季節になるとみんなあなたに注目する。当然、私たち『補助(サポート)』コースには興味をしめしてくれない。そんなあなたが嫌っだった」


 あぁ、そうだったのね。私は他人を切り捨てる故、好意はおろか、嫌悪すら気づかなかったとは。1日共に行動していたけど、まるで分からなかった。


「じゃあ、術式をかけられたというのも……」


「あぁ、そんなの、嘘に決まってるじゃん」


 今までの全てが嘘だった。何もかも。


「ホントにわかんねぇよな。女ってのは」


「あなたは黙ってて。さっさとアイツをやっちゃって」


「わかったわかったよ。だけどその前に」


 彼が向かう先は涼風じゃなく、白鷺の方へ。次の瞬間、そして彼女のお腹へドンッと重い音が鳴り響く。


「――ッ! どう……してッ!」


「どうしても何もねぇよ。だって俺の獲物はお前だよ『過去写し』。お前らの女の戦いになんざ興味はない」


「騙した……のね」


「騙すも何も、それが大人の世界だよ。強き者が生き残り、弱き者が淘汰(とうた)される。そんな不平等な世界だよ」


 そのまま白鷺は膝を地面につき、そのまま倒れてしまった。


 目の前の光景を目の当たりにして、涼風に怒りの感情が込み上げてくる。


「あなた、それなりの制裁が必要のようね。友達を殴ったことを後悔しなさい」


「まぁよくまだ友達とか言ってられるなァ。まぁ、土産も手に入れたし、あの『七星』候補って言われてる奴とやるのなんて人生で一度きりだと思うし。いいぜェ、やってやるよォ」


 これはサバイバル。どちらかが生き残り、片方が負ける。絶対に負けない。私は学園の生徒会長なのだから。

「面白い!」、「続きが気になる!」



と思った方は下にある『☆☆☆☆☆』から応援してもらえると嬉しいです。


面白ければ星5、つまらなければ星1、正直な感想をくれても大丈夫です!


ブックマークもして頂けると泣いて喜びます。


よろしくお願いします。





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