第四話【俺に昼休みをください】
人は何の為に生きるのか。幸福に向かって行くのではなく、ただ衰弱しならがら一生を終える。
果たして、そんなものに意味はあるのだろうか。
そんな問いを投げかけたところで、答える者など誰もいない。ただ、たった一つだけの答えがあるのならば……
『――人は戦場に死して、その意味を果たす』
今日もいつも通りだ。学校へ行き、授業を受け、黙って昼食を済ませ、 適当に午後の授業も受け、帰宅する。それ以外に特別なことなどない。そんな学園生活をエンジョイしていた。
だが、そんな日常も乱れ始めるのであった。そして俺は思う。この状況はたとえぼっちだとしても動揺してしまう、危劇が。
それは、昼休みのことだった……。
「――九条くんはいるかしら?」
その言葉で教室中が騒ぎ出した。なんせ、この学園の生徒会役員さんがクラスにまで来たんだ。そりゃ驚くだろう。教室の中では「九条なんていたっけ?」や「お前知ってる?」などとざわめき始めた。いや騒ぐのそこじゃねーだろ。
これ以上面倒な展開にしたく無いので俺は席を立ち、扉の方にいるその『生徒会役員』さんへ歩いて行った。無視したい気持ちで山々だが、仕方なく声をかける。
「一体、何の用だ」
「何の用だ、ではないわ。あなたに確認したいことがあるのだけれど」
「すまない、俺にはさっぱりわからんのだが」
「昨日のことよ。まさか、忘れたなんて言わせないわよ」
どうやら、とぼけても無駄なようだなこれは。
「あー、思い出した気がするが……それで、一体何なんだよ」
「ちょっと来なさい。昼休みはたっぷりとあるから」
「いやぁ〜、俺用事が……」
「あなたに用事なんてないことぐらい、あなた自身が一番わかっているはずだけれど」
……返す言葉もない。仕方ない、ここは乗るしかなさそうだ。
こうして、昼休みの教室を後にした涼風氷華さんと、未だに誰だか当てるゲームの正解である九条 十夜くんであった。……俺ってそんなに影薄い?
連れてこられた場所は、教室棟の反対側にある体育棟だ。ここでは主に実践に近い練習や、基礎体力を向上させるトレーニングをするところだ。マシンやらなんやら色んな物が揃っている。昼休みのこともあり、人はおらず静まり返っていた。そして、なんでここに連れてこられたかは分からんが。
「で、何をするんだ?」
「あなたと手合わせをするの」
「おーそうか、頑張ってくれよ……な?」
ちょっと待て、今なんて言った?俺と……手合わせだと!?
「それって、つまり……俺と戦うってことか」
「えぇ、そうよ。寸止めの実践練習よ」
「でも、なんで急に」
「聞いたのよ。伊藤先生から。あなたが『七星』の一人だって」
やっぱり喋っていたか。この学園で俺が『七星』だと知っているのは伊藤先生を含め、4人しかいない。
「あなたが『七星』だとは私は思えない。だから、実力をぶつければ、分かるかも知れないから」
正直に言って、俺はやりたくない。知らない実力ってもんもあると俺は思う。だか、そんなこと言ったところで通用する相手ではないけど。
「だが、どうやって勝敗を決めるんだ? 審判もいないなら決めようもないだろ」
「それは、私が務めよう。教師が審判なら公平だし、もしもの時があったら私が責任を取ろう」
どっから出てきたのかと思えば、そこには伊藤先生がいた。来るタイミングにしては都合が良すぎるな。
「ありがとうございます、伊藤先生。どう、これでも逃げる?」
これは避けられないな。今回はしてやられた。第三者を設けることによって、確実に逃げられない状況を作る。さらに言えば、俺の秘密を知っている伊藤先生を連れてくるとなれば効果的面だ。
九条は両手を上げ、降参の姿勢をとる。
「わかった。この勝負を受けよう。だが、約束だがこの件については他言無用だ。その証人として、先生、いいですか」
「あぁ、わかった」
「涼風もいいか?」
「えぇ、大丈夫だわ。と言うより、それ以外の条件だとしないでしょ」
「まぁな」
こうしてそれぞれの準備が始まり、模擬戦という形で俺は試合をすることになった。さて、俺はどうすればいいのだろうか? ここは適当にやるしかなさそうだな。
そんなことを考えながらお互い正面を向き、戦闘態勢に入る。それは、先生の掛け声とともに火蓋は切られた。
「――試合、開始」
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