第一話【そこはぼっちには過ごしずらい世界でした】
初投稿です。
ふと考えた。俺は今まで最高な人生を過ごしてきたのだろうか。人ゴミに埋もれただただ底辺の人生を過ごしてきたと記憶している。別にそれでもよかった。目立つことはしたくない。でもなぜだろう。そんな人生に俺は……
――退屈していた。
今日は何月の何日の何時だったろうか。ふと思い出す。そうだ、今日は4月7日、時間は午後一時を回ったところだ。
4月といっともまだ肌寒い。自分は暑がりか寒がりかと聞かれたら、どちらでもないと答えよう。なんせ、しようと思えば空気に触れる必要などないのだ。
そして、なぜ俺がこんなぼっちが窓の外を眺めながら考えてるような思考に至ったかと言うと……
「――のか。おい、聞いているのかと言っているんだ」
「あ、すみません。つい、空の景色が良かったので……」
嘘だ。大抵の男子高校生は先生に怒られているとき、真面目に聞く生徒などいない。いや、存在しないのだ。俺も含めて。
「まさか、始業式から遅刻するとは……君は進級したいのかね?」
「そりゃ、進級したいですよ。現にしてますし。これでも立派な高校2年生です」
「だったらなぜ初日から遅刻をしているんだ⁉︎」
……ぐうの音も出なかった。いや、本当は登校中に女の子が倒れていて、助けてたら遅れてしまって……、なんて話、信じてもらえるわけがない。そんなラブコメ展開などラノベの中だけの話である。ぶっちゃけ言うと、ラブコメの話など、現実ではありえない。皆無だ。
まぁ、この話は後にして、現在の状況説明から入ろうか。俺は今、職員室にて先生よりこれからの期待を込め、飛躍の言葉を頂いてる。正式には、『説教』である。
俺の目の前にいるのは主に人間の新たな能力、『第六感』の専門の教師だ。名前は伊藤 静。年齢は三十路手前、独身、このままいくと危ういであろうと男子高校生でも思える。そんな人だ。
「まぁいい、先生は君が生きている確認だけできて、私は嬉しいよ……これで君に愛の制裁を下すことができる」
「あの、先生、暴力は虐待行為で禁じられていますが……」
「あぁ、そうだ。だからその一歩手前で止めるつもりだ。安心したまえ」
今の言葉のどこに『安心』があるのだろうか。伊藤先生は素晴らしい笑みを見せながら、右手には拳が握られていた。
「待った無し! これも罪だと思え」
「ちょちょちょまって、だめ腹はキツ……」
普通であれば俺の腹に直撃するはずの拳は、――僅か数センチ空いていた。当たらなかった。いや、正確には、『当たらない』のだ。先生は右手の拳を戻し、まるで、分かっていたかのようにため息をつく。
「相変わらず、君の『空間操る能力』素晴らしいな。もっと別なことに使って欲しいものだ」
「はぁ」
とりあえず、あとで反省文のイメトレでもしておこう。
「君は生徒会や部活などやっているかね?」
「いえ、やってないですけど」
生徒会はまだしも部活など満更ごめんである。あんな青春を謳歌している人とは一緒にしないでもらいたい。
「なら話が早い。ついてこい」
先生は急に立ち上がり、ドアの前へと向かう。ぼーっとしていると、こちらに振り返る。
「早くしろ。そんなに一人でいると『ぼっち』だと思われるぞ」
とりあえずすぐさま足をを運び、先生の後について行く。あと、俺はもう『ぼっち』です。あぁ、どこかに友達募集の張り紙とかないかな……。
――世間とは、とても厳しいのである。特に俺に。
星下学園は生徒数1200人を超える、ちょっとしたマンモス校だ。コースごとに分かれており、『実技』、『補助』に分かれている。生徒の割合的には若干ながら『実技』の方が多い。俺は『実技』コースの方である。
しかし、今日は始業式であり、午前放課のため、いるのは自主練している生徒と部活の生徒だけだ。昼下がりの校舎にトランペットやランニングの掛け声が響き渡る。
伊藤先生の後についていき、渡り廊下を歩いて行く。
「ここだ。中に入りたまえ」
「ここ……ですか」
「あぁ、そうだ」
着いた先は特別棟だった。普段の授業では行くことのない場所だ。そして、目の前には見慣れない扉があった。
戸惑いながらも伊藤先生が扉を開けると、そこには一人の少女がいた。
――それは、天の神から授かったのか、見惚れてしまう容姿だった。
「……先生、何のご用でしょう?」
普段女子とは話さない俺だが、俺はこの女を知っていた。いや、誰もが知っているはずだ。
涼風 氷華 、 2年 A組。
生徒会の一人にして、前回の『七星』候補。見た目とは裏腹にその実力はお墨付き。誰もが憧れる存在だ。
顔は整っており、腰まであるかと思われる透き通った黒髪。無駄な肉つきがない体型。まさに、完璧だ。
「用はこいつだ。こいつが新しい生徒会メンバーだ。仲良くしてくれ」
「こいつって、これが新しい生徒会委員ですか」
「あぁ、そうだ。仲良くしてやってくれ」
ここで何もしないのは気まずい。自己紹介でもしておくか。
「ど、どうも、九条 十夜です。よ、よろしく。って、生徒会ってなんだよ?」
流石にこの展開はぼっちにも読めなかったぞ。なんだよそれ。
「ん? 君には言ってなかったかな? 今日から君は、ここで生徒会のメンバーとして、活動してもらう。まぁ、進級祝いのプレゼントだと思ってくれ」
「いや、そんな話聞いてないし、そんなプレゼントいりませんよ」
「残念だか、これは決まったことだ。異論、反論、抗議、反対は認めんぞ」
どうやら抗弁の余地は俺にはないようだ。
すると、今まで黙って傍観していた、涼風が睨みながら口を開いた。
「勝手に盛り上がるのは構わないのですが、つまり、これがうちの生徒会に入ると言うことで間違いありませんね。でしたらそれは不要です。その人をいやらしい目で見てくるような物と一緒にいるのは少々不可解、いえ、不愉快なのですが」
訂正しよう。こいつは完璧ではない。心が腐れかけてる暴言モンスターだ。あと、人を『これ』とか『物』とか言わないでくれ。せめて、人間としてみてくれよ。
すると先生は2人の方に向き直り、
「まぁ、さっき言ったが、これは決定事項なんだ。涼風もそこは妥協してやってくれたまえ。こんなやつだが」
お願いだから、人間扱いして。心が折れる。
「わかりました。でも、あなたに何ができるの? 犯罪、それもと痴漢?」
「いや、しねーよそんなこと。てか、お前は俺をなんだと思っている」
涼風はしばらく考え、答え導き出した。
「……汚物?」
結局は俺の第一印象は『物』と判断された。……俺そんなに変か?
俺たちがやり取りしてをしていると、先生は満足げに微笑んでいた。
「その調子なら、頑張っていけるようだな。ま、せいぜい努力してくれよ」
そう言い残すと先生は生徒会室を後にする。
さて、展開的には十分だ。いや、十分すぎる。漫画の主人公なら読者に、「そこ代われや」と言われるであろう。だか、実際このような状況に陥ると、人は頭が真っ白になる。
何をすればいいのか。そんなことを考えていると、涼風がこちらの方へ目を向けた。せっかくの機会なので、睨み返した。グギギィィー。
「……一回、死んでみる?」
……はい、すんません。
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