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stage2.ファーストダイブ

自己満足で投稿していますが、もし仮にも楽しみにしてくださっている方々は、どうぞ最後までゆっくりいていかれてくだちい。

白んでいく世界はだんだんと白い霧へ姿を変えた。


ーーん?頬が痒い。

霧へと変わっていく世界を、ボーっとして待っていると不意に頬が痒くなってきた。

ポリポリと頬を掻くと手にふわりと何かが当たった。


「はぴっ?」


変な声が出てしまった。

当たった場所を見ると触れていたのは背の大きな葉っぱだった。

というか、辺りを見回すと一面草、草、草。大草原不可避。

良かった~虫とかじゃなくて。たまに髪の毛とか服のタグとかが不意に触れたときに、虫がはってる様に感じる時ってよくあるけどあれマジ紛らわしい。

そんなことで憤っていると、いつの間にか霧は薄まっていた。

ただ、霧のせいか曇り空のせいか定かではないが微妙に薄暗い。

雨が降りそうで降らない、そんな薄暗さだ。


取り敢えず新しいこの世界を、辺りをフラフラすることにした。

ここは川沿いなのか沼地なのか、葦や藺草や菖蒲の様な植物などが目立つ。

お、数珠玉も生えてる。小さい頃これを繋げて遊んだなぁ。

というか、流石最新作だ。動画で観てたときも感じたが、めちゃくちゃリアルに見える。こんな細かな部分までクオリティが高いなんて驚きだ。さすが50TBを超える容量なだけはあるなぁ。

おっと、いけないいけない。本題から離れてはいけないな。


「まずは手持ち確認だな」


えっと、実況動画でみた通りだと確かここに……。

俺は腰に手をまさぐった。


「お、あったあった」


俺は腰に着いていたポーチを手に持った。

すると、間抜けな音とともにインベントリが開かれた。

中には[等身大鏡]とかかれているアイテムがある。

よし、これこれ。皆これで自分の容姿を確認してたな。

何で最初の手持ちにあるのかは知らんが。

まあスポーン地点に水面とか姿を確認出来ない奴らは困るもんな。

大人の事情ってやつか。


よく分からない納得をしながら俺は、鏡を選択しポーチから取り出した。

すると四次元◯ケットから取り出される様に、ポーチのサイズからみて明らかに入らんだろうというくらい大きい鏡が顔を出した。

海外のゲーマー達には、この仕様はウケが良いようだ。「さすがジャパンのゲームだwww」って。何がオモロイのかよう知らんけど。

俺は、どこでも◯アを設置するようときの様に、足下が悪いのも構わず突き刺す感じで鏡を地面にたてた。

さぁて、いったいどんなキャラクターに仕上がってるかな?

俺は、鏡を見ないようにして前へ立ち、そぉーっと自分の姿を確認した。


鏡には、おそらく蜥蜴がモチーフなんだろうなという、青?水色?紫?系の色が混在した絶妙な色使いのモンスターがちょこんと立っていた。

顔は現実の生物をイラスト化というかデフォルメした可愛い顔をしている。さすがポップモン。

んで体は蜥蜴だけど顔はあんまり蜥蜴っぽくは無いな。蛙の方が近い。

手足は、物がつかみやすい構造になっていてカメレオンを彷彿とさせる。

あ、ちなみに4本指ね。いつもは5本指だからすっげえ違和感。

俺てっきりヒヨコとかウサギとかネズミ見たいなの想像してたんだが、これは予想してなかったわ。

もしかして『あなたはヘビとクモならどちらが好きですか?』って質問でヘビって答えたからかな?いや、その2択だったらヘビだろ。クモは無理。


とはいえ、爬虫類ならまずまずだろう。

実況動画の中にはミジンコのような微生物やコケ類なんて奴もいたからなー。動画的には面白かったけど本人達は大変そうだったわ。


んで、ポップモンスターはもうひとつ特徴があって、生成されたキャラは『現実生物(物質)×空想生物(物質)というふうに2つの特徴が反映されたキャラになる』というものだ。コケだった奴を例に挙げると、彼は『コケ×スライム』って感じだった。

彼は自分の姿を見て絶望しつつも、どちらの要素も最大限に使って立ち回っていたな。光合成だか何かで毎時体力回復しながら弾性を利用した体当たりみたいなの。普通に強くてオモロかったわ。


となると俺ももうひとつの空想生物の方が気になっちゃうわけよ。

さて、俺はカメレオン以外にどんな要素があるんだ?

俺はもう一度鏡で、しかし先程よりも慎重に身体を見回した。

あれ? そういえば所々に包帯巻いてある、、、しかも雑に。

薇みたいに丸まってる尻尾の包帯なんか、ほぼ包帯の役割してないよ。取れかかってるもん。

もしかしてあれか? この感じだと俺ミイラとかゾンビなやつか? だよな、包帯巻いてあったとこの肉が変色してるもんな。

マジか、一番パッとしねえ。

これも、最初の質問で『映画はどちらかと言えば恋愛系よりホラーが好きだ』ってやつを『はい』にしちゃったからかな?

確かにアンデット系はダークな感じで良いんだけど、欲を言えばバンパイアとか暗黒騎士とかそういうのが良かったなぁ……。

はぁ……決まったものはしょうがない。

またあの一時間以上かかるキャラメイクをやりたいと思わないし。


俺は全体的には不満の方が残るが、下の奴らよりかは優遇されていると考え、このままで冒険をすることにした。まぁ、一人称視点だし見た目は言うほど気にはならんか。


「そうと決まれば冒険再開だな!」


俺は鏡をポーチしまい、再び沼地を歩き出した。


次に確認しておきたいのは、俺はどんなスキルとアーツを持っているかだよな。

ええと、確かーーー


「ステイタスオープン!」


俺は誰かいる訳でもない、空に向かって元気よく言った。

すると、これまた間抜けな音が聞こえ、目の前にウィンドゥが現れた。

これ言ってみたかったんだよねー。ただ、実際ちょっと恥ずかしかったから次からはタップで表示されるようにしよ。


さて、今の俺のステイタスは……っと。

俺はウィンドゥをなめ回すかのように確実に目に焼き付けておく。


<ステイタス>

アバター名:水饅頭

Lv.1

称号:かけだしのひよこ

種族:妖精

種属:水

職業:なし

状態:健康

HP:10

MP:5

ATK:10

DEF:5

MND:5

DEX:10

AGI:10

INT:5

スキル:雑食/水生/微毒分泌/保護色

アーツ:水鉄砲/跳躍


アバター名については……まあ触れないでくれ。『水野』からなるべくかわいい感じを連想しただけだから……。

ネタに走って『ゆうき』とか『ゆうた』にしようかなとも考えたが、地雷プレイヤーだと思われたくもないから止めた。


個体値を見た感じ、敵の攻撃を避けながら戦っていく盗賊とか狩人的な配分だな。

ちなみに、海外だとこのヒットアウェイな戦い方はサムライスタイルと呼ばれているらしい。どちらかというとそれならニンジャスタイルじゃね?と思わなくはないが、そういう呼び名で広まっているらしい。

他にも高HP・ATKの、物理で圧し切るタイプは一般的に脳筋って言われているけど、あっちではヴァイキングスタイルって呼ばれている。

確かに脳筋よりヴァイキングスタイルの方が響きがいいな。

更に、もうちょい予備知識をひけらかすと、HPと防御力パラメーターであるMND・DEFに値を全振りした、いわゆるタンクと呼ばれてる戦い方はあちら側ではナイトスタイルって呼ばれているらしい。姫とか仲間を守りきって敵を倒すっていうのがイメージされるからかな。

俺の場合は個体値の振られ方的に、素直にサムライスタイルで戦うのが良さげだな。

というか、個体値の話は変わるけど俺の種族って妖精なんだな。てっきりアンデット族

とか魔族だと思ってた。色々と予想の逆をついてくるよこのゲーム。


んで、スキルとアーツはというと……パッシブで付いている[雑食]ってのはなんとなくわかるけど、[水生]ってなんだ?


俺は[水生]スキルの詳細を開いてみた。

ふむふむ。

簡単に言えば、水属性ダメージ激減、火属性ダメージ半減、木・雷属性ダメージ倍化。あとは、水中で長時間活動出来るって感じか。

被ダメージ軽減系は汎用性高いしグッドやな。しかも高レベルの防具素材は、火山地帯の鉱石類が基本らしいからな。色々恩恵があるだろう。

水中で長時間動けるのも良いな。この世界は空や水中での移動にスタミナを消費し、ゼロになると落下死や溺死として即死判定となってしまう。そのため水中でのスタミナ消費が節約出来るこのスキルはありがたい。


アーツはとりあえずひととおり試して見た結果、[水鉄砲]は若干の嘔吐感を感じながら口から唾を飛ばす様に、勢いよく水が飛んでいった。うん、威力は申し分無いね。連発はキツいけど。

[跳躍]はそのまんま跳躍だった。


とりあえず、ステイタスはこんなところか。

俺は、ステイタスウィンドウを閉じた。


よし、しばらくはここの周辺を探索して地形を把握しよう。

出来れば地図が作れるくらいに。

地形が把握できれば、Lv.アップに必要な経験値が何処が効率よく稼げるかとか、敵に追い込まれたときに退路が素早く確保出来たりと、メリットは色々と大きい。


大抵のゲームは、序盤のエリアや敵や宝箱などは攻略サイト等で確認出来るのだが、この世界は序盤から個人個人でエリアも敵もてんでバラバラ。

大枠での情報などは、インターネットで調べれば色々なサイトで共有出来るが細かいことは全くわからないのが現状だ。

つまり、自分の足で情報をかき集め吟味することがこのゲームには求められるのだ。

特に、対プレイヤー戦ではこれが顕著に出る。

如何に相手の情報を得て自分の情報を漏らさないかが勝利への鍵となってくるのだ。

そのせいか、情報共有サイトみたいなものはあまり役に立たず(デマが書き込まれていたりが多い)、サイトの本来の目的とは外れた騙し合いが盛り上がってしまっている。


そこで俺は、周辺の地形を把握するという行動を行いながら自身のスキルとアーツを熟知して、行動限界をはかろうというわけよ。


俺は、生えまくって鬱陶しい草をかき分けて周辺の探索を始めた。

かき分けて進んでいる先から、生物の鳴き声が聞こえた気がしたからだ。


しばらく進むと少し開けた所に出るみたいだ。

その開けた中心で、鳴き声をあげていたと思わしき奴らが3体いた。

一体ははヘドロのような色をした不定形の生物。よくみたら(・_・)みたいな顔が確認できた。

残りの2体は見るからに"ゴブリン"って感じの生物。

ポップモンは基本的に敵もかわいい見た目してるから、あんまり緊張感とかは無いんだよなぁ。

見た感じ環境モンスターで、プレイヤーでは無いようだ。


その三体はどうやら、争っている。

互いにギャァギャァ声を荒げながら攻撃をして被弾し、たまに回避しながら。

しばらく様子をみていると、力関係は均衡しているようでお互いに体力が減っているようだ。

ただ、HPバーは無いのであとどれくらいで倒れるとかは分からないが……。


にしても、これは漁夫の利を得るチャンスでは?

しばらく観察したところ、さっきよりも動きが鈍っているし。遠くから攻撃すればやれるべ。


「水鉄砲…!」


俺は草影からこっそりと、ゴブリンの片割れに向かってアーツを放つ。

鋭く、勢いよく飛び出した水の塊はそのままきれいにゴブリンの頭部を貫いた。

叫び声を出す暇もなく片割れは膝から崩れ落ちた。


「うっし!まず一体」


どうやら相当興奮しているのかもう一人のゴブリンは仲間がやられたことに気が付いてないようだ。

ヘドロ状のモンスターは俺に気が付いたのかヘドロのつぶてを俺の周辺に飛ばしてきた。


「マジか、そんなに速くヘイトが向くか! ーーっ跳躍! 」


アーツの効果により通常よりも大きく跳ぶことができたため俺はヘドロのつぶてには当たらなかった。

迂闊だった。もっとしっかり観てから奇襲を仕掛けるべきだった。

早く戦いたくてウズウズしてたから、判断を誤ったな。


残った2体は結託したかのように、ターゲットを俺に変えてきた。

どうやらヘイトが向けられる傾向は、プレイヤー>環境モンスターの順のようだ。

とりあえず、ヘドロ野郎をどうにかしないといけないな。つぶてで全然近付けないや。

となると、アーツで遠くから狙うしかないな。


「水鉄砲!」


俺はヘドロ野郎に向けてアーツを3回放つ。

すべて被弾はしたが奴は倒れない。

これは、水鉄砲は奴には効かないもしくは効果がいまひとつだと考えるのが妥当だろうな。

ただ、気になるのは奴の体からちょくちょく顔を出してる灰色に鈍く光る玉なんだよな。

もしかしたら、スライムみたいに核を攻撃すれば倒せるってやつかな?

試してみる価値は断然あるな。


俺はヘドロ野郎の核らしき玉を集中攻撃する作戦に変更した。


「変更したは良いけど……どうやって狙うかだよな」


そう。その玉は結構なスピードで奴の体をぐーるぐるしているのだ。


「見た感じ、狙われている相手から一番距離があるとこに移動させている様にも感じる」


というかゴブリンの方を放っぽらかしてたけどダイジョブかな?

俺はヘドロから目をゴブリンへと移した。


「ん?アイツでけえ角持ってるな。あれでヘドロの核ねらえっかな」


ゴブリンは奴の頭と同じくらいの大きさの角を取り出し(てかどっから出したんだよ)、俺に向かって投げて……来るのかと思いきや、角の尖端を口に当てまるでラッパの様におもいっきり吹いた。


♪ぶおぉぉぉおぉぉぉおぉん♪


塩化ビニルのパイプを鳴らした様な、鈍くて軽い音が沼地に広がった。


「コレって不味いのでは?」


俺がそんな事を思ってると、大正解と言わんばかりに何処からともなくゴブリンの集団がぞろぞろ集まってきた。

心なしか彼らの目は血走っている気がする。


すると、吹いた本人は俺に向かってよく分からない言葉を叫びながら指を向けてきた。


え?ちょ、、、嘘でしょ?


次の瞬間、俺の視界は微妙に顔が違うゴブリン達でいっぱいになった。


ーーTo be continued.

最後まで見てくれてありがとな!

次回もぜってぇ見てくれよな!

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