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どうぞと出されたコーヒーに西川が手を付けずにいると、大丈夫、毒なんか入っていないと、小村がコーヒーを飲みながら言う。同じコーヒーメーカーから淹れたので、確かにその心配はなさそうだった。

おずおずとコーヒーを飲み始めた西川を見ると小村は、インスタントだがこれには少しばかり自信があってねと言う。

心なしか少しだけ満足気だったのは西川の気のせいではなかったし、そんな彼女に西川は、実はかなり苦いなどとは到底伝える気分になれなかった。


気まぐれがてらに西川はふと腕時計を見る。

時計は午後の8時を指し示している。

ごそごそとポケットを探り携帯電話を捜す西川に

「悪いけど貴女のスマホは学校に置いてきた」と小村は告げる。

「今は電話会社に聞けば位置情報を逆探知出来るから?」と聞く西川に小村は「そんなまどろっこしいところまで考えてない」と答え、小村は続ける。

「そもそも貴女、学校にいる間は電源を切っているじゃない」

この言葉に西川はおや、と素直に驚く。

「割と他人に興味がない人だと思ってた」

「これでもよく人は見ているつもりだけど」

と小村。


ふと西川は疑問をぶつける。

「ところで「私の常識と良心に賭ける」という話なんだけど」と西川が切り出すと小村は、ああ、と答える。

「ちょっと考えてみてほしい。例えば貴女が、立場は何でもいい、親でも友人でも誰でも、取り敢えず逆の立場に立ってみて、クラスメイトが教室で知らない男を拷問にかけた挙句に殺してた、なんて言われて信じる?」

「それは・・・・・・」

ここに至り西川がさっきの人は殺されたという事実を実感したような表情を浮かべた。

「大丈夫?御手洗いならそこ」と小村が言う。

そうと分かるくらいにひどい顔をしたのだろうかと西川は思ったが、大丈夫だと返した。


まあいいと小村が続ける。

「ついでに言うとね、ここの掃除屋さんはとても優秀なの」

つまり人1人の形跡くらいなら消せるという意味を言外に、しかし濃厚に暗示している。西川はその匂いを敏感に感じ取り、再び気分が悪くなりかけた矢先に、でもと小村が言う。

「安心してほしい。貴女はここの世話にならないし、させない。約束する」

ぽかんとする西川に小村は更に

「今回、貴女を巻き込んだのは完全に私の落ち度。ごめんなさい」と続け、頭を下げた。

「え、と、その、何で?」

西川は口にするのは2度目だが、実際のところは何度目か分からない「何で」を発する。

「・・・・・・何が?」小村が返す。

「その、謝ってるのもそうだし、脅しているのか、私を助けようとしているのか、それとも・・・・・・」殺そうとしているのかと続けかけて言葉を飲み込む。

それに対し小村は答える。

「謝ったのは、貴女を巻き込んだから。脅しているのか分からないというのは、少し言葉が悪かった。ごめんなさい」と再度小村は頭を下げる。

2度も頭を下げられ、困惑する西川は小村の真っ直ぐな視線に少しどぎまぎしながら尋ねる。

「その、私を守ってくれようとしてくれているの?」

小村はきょとんとした様子でその言葉の意味を探っている様子だったが、直ぐに、

「だって約束したじゃない。貴女を殺しもしないし、拘束もしないって」と少し首を傾けながらくすりと微笑して言った。

なんか主語の安定しない書き方してんな。

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