バラバラ異世界召喚記~九人が好き勝手に動く~
大国のとある城では
「お待ちしておりました、勇者様」
「………は?」
いわゆる王道のストーリーが始まろうとし
とある辺境の国の城では
「い…一体何事だ!」
「こっちが聞きてぇよ!」
いわゆる偶然の事故による召喚が起こり
深い森の奥の集落では
「………救世主様…」
「…(いやー急に救世主様とか言われてもな
…というかエルフじゃん、目の前にいるの)」
排他的なエルフという種族に異物が投入され
海の底にある城では
「これはまた、珍しいことが起きたものだ」
「…とりあえず説明を頼んでもいいかねぇ?」
長年異種族が入れなかった海の王国に人間が現れ
天空に浮かぶ城では
「…なぜ人が…いや、人か?」
「…お前さんだって人型だろうがよ、竜人」
竜の王国によくわからない存在が出現し
魔の住む城では
「ほうほう、これが我らの敵である勇者と同一存在か、興味深い」
「…おいおい、目の前に魔王様ってどうなんだよ、おい」
勇者と対となる者が呼び出され
先ほどの魔の住む城の庭では
「…あなたはどなたですか?」
「…答えるのでその剣どかしてくれませんか」
戦が好きな魔王の娘と出会い
人と魔の国の境目では
「…あなたは、誰?」
「…君こそ、誰?」
マイペースな女の子二人が無法地帯で出会い
人の気配のしない森の奥では
「---------------------」
「…OK、ここにいるのは全員スライムだ」
何故かスライムになってしまった人間がスライムに囲まれていた
同じ場所から違う世界に飛ばされる九人
場所は違えど世界は同じ、いつか出会うそのときまで
男女九人が好き勝手に過ごす冒険譚…的なね