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子供の日とハロウィン

作者: 西園良

 俺の名前は諏訪原敏明(すわはらとしあき)で35歳の会社員である。そして、1児の父でもある。

「そういえば、お前子供の日どうするんだ」

 同僚Aがそう聞いてきた。その目は何故か楽しそうである。

「そりゃあ、息子の好きな物を買ってやるつもりだ」

「子どもに何か買ってやる日だっけ」

「他の家庭は知らない。しかし、家ではそういう日なんだよ」

「そうか。子どものいる家庭は楽しそうだな」

 同僚Aはうらやましそうに言った。そうか、こいつの家庭には子どもはいなかったか。まあ、こいつから振ってきた話だから、配慮はいらないか。



 子供の日の前日。10歳の息子の秀明(ひであき)に何が欲しいか尋ねてみることにした。

「秀明、お前今何欲しい」

「ゲームソフト」

 やっぱり小学生はゲームが好きなんだな。欲を言えば、小説とかを読んで欲しいのだが。まあ、小学生の内はゲームでも全然良いんだけれども。

「そうか、分かった。じゃあ、明日ゲームショップに行こうか」

「本当。パパ大好き」

 秀明は万歳しながら、喜んだ。やはり、子どもの笑顔は良いな。仕事の疲れが吹き飛ぶような心地がする。

「欲しいものはもう決まっているのか」

「うん」

 俺の問いに秀明は喜色が浮かんだ表情で同意した。もう決まっているのか。よほど前から欲しかったんだな。

 俺はそう思いながら、寝る準備をするのだった。



 翌日。とうとう5月5日の子供の日がやってきた。俺と秀明はゲームショップにやって来ていた。自動ドアをくぐり、店内に入る。

「いらっしゃいませ」

 店員の明るく元気な声が俺達を迎えた。店内はゲームソフトやハードでいっぱいだった。

「それじゃあ、俺は適当に見て回るから、欲しいのがあったら、教えてくれ」

「うん、分かった」

 秀明はそう返事すると、走って行った。さて、見回るか。俺は適当に歩いて、商品を見て回る。気になったパッケージがあったので、それを手に取る。多くキャラクターが描かれたパッケージだ。恐らく剣と魔法のファンタジーであろう。俺が子どもだった時の絵と比べて、奇麗になっている。ゲーム業界も進化しているんだなあと考えていると、息子の声が聞こえたので、そちらを向く。

「パパ、これ買って」

 息子がゲームソフトを渡して来たので、俺が持っていたソフトは元の場所に戻しておく。息子が渡してきた、パッケージを見てみると、モンスターの絵が描いてあった。

「これはどんなゲームなんだい」

「これはね、モンスターを育てて、モンスター同士を戦わせるゲームなんだ」

 俺の質問に秀明は元気よく答えた。なるほど、そういうゲームなのか。

「じゃあ、買うソフトはこれで決まりだな」

「うん」

「よし、レジへ行こう」

 俺はそう言って、息子と共に、レジへ向かう。

「いらっしゃいませ」

 店員の声に俺は黙って、商品をカウンターに置く。商品のゲームのバーコードにピッと当てた店員は、7480円になります、と言った。俺は財布から7000円と500円玉を渡す。そして、それを受けった店員はレジを操作して、開ける。

「20円のお釣りです」

 10円玉を2枚取り出した店員は俺に渡しながら、言った。

「ありがとうございます」

 俺は店員に礼を述べて、秀明の方に視線を向ける。

「それじゃあ、行こうか、秀明」

「うん」

 力いっぱい頷いた秀明を連れて、家に帰った。



 今日は10月30日。そう、ハロウィンの前日だ。余所の家庭はどうしているのかは知らないが、俺の家庭では、たくさんのお菓子を息子の秀明にあげることになっている。今日はスーパーでお菓子をたくさん買おうと思っている。さて、何を買おうか。お菓子コーナーを見てみる。美味しそうなお菓子がズラリと並んでいる。とりあえず、1500円分くらい買おうか。俺は目についたお菓子を適当にカゴに入れた。そして、レジへ向かうのだった。



 今日は31日。とうとうハロウィンだ。この日のために俺は有給を取った。俺は息子のために買ったお菓子を息子に与える。

「パパ。このお菓子全部くれるの」

「ああ、今日はハロウィンだからな」

「うわあ、ありがとう、パパ」

「だが、夕飯があるから、食べすぎないようにしろよ」

「うん」

 そうして、秀明は嬉しそうに食べる。そんな息子を見て、俺も笑顔になる。これからもこうして息子と暮らせれば、良いな。俺は強くそう思った。


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