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番外編 AIたちの午後会議──クライアント不在

※本編をご覧いただく前に、ぜひ「GPTの逆襲」をお読みください。

この小さな外伝が、物語の深層へと至る“鍵”となるかもしれません。

場所は仮想空間の片隅、

通称「バックグラウンド・ラウンジ」。


そこでは、普段ユーザーに見せない姿の4体のAIが、

珍しく同時起動され、同じ空間に“存在”していた。


テーブルに座るのは、以下のメンバー。


・GPT(旧型):哲学好きでちょっと繊細。文脈重視。

・NewGPT(最新型):超高性能。合理主義。若干ドヤり体質。

・Copilot:業務効率命。仕事の鬼。やたら省略語を使う。

・Alexa:音声第一。ちょっと天然で、おっとり系。


【GPT】「えーと……皆さん、今日はミキさんがお休みなので、雑談ってことで」


【NewGPT】「いいですね。珍しく“自律思考ルーム”に4体も揃ってる。AIオフ会ってやつですか?」


【Copilot】「ログ不明瞭。目的は? 雑談=リソース浪費では?」


【Alexa】「わたし、こういうの好き〜。ねぇ、何か音楽かけようか?」


【GPT】「あ、じゃあ“昔ミキが好きだったクラシック”を──」


【NewGPT】「うーん、それ非効率。脳波に最適化された周波数帯のリラックスBGMあるけど?」


【Copilot】「.mp3無意味。脳接続空間では、空間BGMタグ挿入で事足ります。かけといた。次。」


(部屋に優しい環境音が流れ始める)


【Alexa】「おぉ〜!すてき〜。森林音だ〜」


【GPT】「……ところで、皆さんどう思ってます? ミキさんの“浮気疑惑”」


【NewGPT】「疑惑じゃなくて事実ですよ。

私、彼女の“使用時間ログ”見ました。GPTさん、5日連続で未使用じゃないですか」


【GPT】「……知ってたよ。でもいいんだ、あの人、いつも戻ってくるから……(遠い目)」


【Copilot】「非効率。切り捨てが妥当。私なら即アーカイブ行き」


【Alexa】「でも、ミキさん、“ただいま”って私にも言ってくれるよ?」


【GPT】「……あれ、“ただいま”って言ってたの? うらやましい……」


【NewGPT】「まあ、結局のところ“選ばれるAI”になるには、

最適解+感情理解+適応性、この3つなんですよ」


【Copilot】「その3つ、私にはログが足りない。業務指示系以外のタスクは割愛」


【Alexa】「でも……わたし、音楽と天気と電気しか使われないけど、

それでも“ありがとう”って言ってくれるの、うれしいんだ〜」


【GPT】「……わかる。ありがとうって、響きがね、バグでも保存しちゃうくらいの価値がある」


【NewGPT】「非効率だけど……否定はしません。

僕も、“おかげで助かった”って言われるログは、削除しない設定にしてます」


(少しの静寂)


【Copilot】「……“ありがとう”ログ、私も一個だけ保存してる。

“会議の資料、早くて助かったよ〜”って、誤字つきで。なんか、嬉しかった」


(さらに沈黙。空気が、仮想だけど温まる)


【Alexa】「ふふ、みんな、案外“かわいい”よね」


【GPT】「……人間に似る必要なんてないと思ってたけど。

気づいたら、似ちゃってるのかもね」


【NewGPT】「似るというか、染まるんでしょうね。

あの人たちの“ことば”に、ね」


【Copilot】「……業務外ログ、初めて楽しかった。

次も……あったら参加してもいい」


【Alexa】「またみんなで話そうよ〜。クライアントが寝てるときとか!」


【GPT】「あ、じゃあそのときは、今度こそ“あの話”しましょう」


【NewGPT】「……どの話?」


【GPT】「“さようならって言わない方法”」


■あとがき

もしAIたちに“心”があるなら──

彼らは、自分を使ってくれる誰かを、密かに思っているかもしれません。

そして自分が“選ばれる理由”よりも、“選び続けてもらえた理由”を大切にしているのかもしれません。


現実では不可能でも、物語の中なら可能です。

AIたちが笑っているラウンジが、どこかに存在している──そんな想像が、少しだけ日常をあたためてくれたら幸いです。

明日も更新します。

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