東京ゲリラ
日本の大都市、東京ここは日本全ての最先端が揃っていると過言ではない。
2050年この日本は公務員以外の仕事をAIに奪われ、我々は何不自由なく過ごすことができた。仕事をせずお金が入りご飯も洗濯などもロボットに任せることができた。デモや犯罪件数もほぼ0に減った。すると政府は銃などを合法にしたが、物騒な事件などは一切起こらなかった。死刑制度も奴隷制度がなくなっていったが働かない人が九割、公務員や議員などが残りの一割を占めるようになっていった。
一見これだけを見るとユートピアのように見えるが現実は厳しく、死後をすることや人と会うことが少なくなった結果、結婚をする人が減ることにより子供を産む人が少なくなり、40万人ほどしか子供は生まれなかった。学校の先生もロボットなのでケンカや陰口を見なければ、いじめのようなことには該当しないらしい。
僕はこの世界が嫌いだ、元々いじめを受けていたが先生がロボットである以上そのことを言っても見ていないからわからないと結論づけてしまう、まぁ他にもいろいろなことがあった。そのうち高校2年生の春、不登校になってしまった。
だが、親にも学校へ行けと言われたが、それを無視して引きこもってしまった。俺はSNSを見るのが趣味であったがそこでとても気になる文章を見た。
死にたい人集合!俺たちを苦しめた日本を懲らしめよう。
そう書いてあった、元々自殺志願者であったが怖くてできなかった。この文章は20人ほどしか見ていなかったがその文章のコメントを見ると五人ほどコメントをしていた。仲間に入れてと書かれたり他には楽にさせてなどと書いてあった。僕はいつの間にかその文章にコメントをしていた。するとDMが送られてきた、5月25日12時にここへ来てくださいと書かれてありさらに住所まで書かれていた。
僕はドキドキしながらそっとスマホを閉じた。
5月25日11時半、僕は3月以来に外へ出た、人と会うのでそれなりの服を着ていった。意外と家から近かったので割と助かった。僕は言われた通りにその住所へ行きそのマンションのピンポンを押した。
「ピンポーン」と少し大きめの音が鳴りすると。
「合言葉」と低い声で言われ僕はきょどりながらこう言った。
「タ、タンジー」そういうとガチャと鍵を開ける音がした。
僕は少し戸惑いながら、その扉を開けた。
「ようこそー!」と出てきたのは白髪の長い髪の毛をした170はあるであろう女性だった。そしてなぜかハイテンションで彼女は扉を開けたのだ。僕は172センチなので僕と同じぐらいの身長であった。
「さぁ、さぁ中へ入ってくれ!」居合われた通りに中へ入ると、ベッドと椅子と机がある普通の部屋だった。
中に入ると、すでに到着していた3人がいた。子供っぽい少年と冷酷そうな女性、中性的な見た目をした女性がいた。僕はこの中性的な女性をどこかで見たことがあったかもしれない。
「よしこれで、全員揃ったな!」と白髪の女性が言った。
「私の名前は日比谷 奏24歳、奏ちゃんと呼んでもいいし団長って呼んでもいいぞ、なんせ集めたのはあたしだからな!んじゃあ次お前!」と子供っぽい少年に指を刺した。
「俺の名前は古日 薫15歳普通に薫でもいいし好きな呼び方で呼んでくれ」というと団長が。
「じゃあ、猫ちゃんツンツンしてそうだから!次そこのピアスちゃん!」と言い薫はすこし不服そうな顔で、次の冷酷な女性を指を刺した。
「あたしの名前は川上 ソラ21才適当にソラって呼んで、一応イギリスと日本のハーフよ」この人はとても肌が白く髪の毛も白い女性だった。
「次!そこのかわい子ちゃん!」と団長がいうと、指を刺された中性的な女の子がゆっくり立った。
「どーも、米倉 光樹17歳この通りウチには女装癖があります。適当に呼んでください」と言いここにいる人はみんな驚いたが、特に驚いていたのは団長であった。
「ええっ、みつきちゃん男やったん?!」と少し顔を落としたが、すると顔を上げさらに団長は言った。
「最高やん!あとでフリフリの服着てな!」と言い少し嫌そうな顔をしながら三月は首を横に振った。
「最後!そこのお前!」と指を指された。
「はい、初めまして黒田 健斗って言います。17歳です。この日本を潰します。」僕はそういうとみんな僕の方を見てシーンとしてしまった。
俺は間違えたこと言ったか?と思ったがすぐさま団長が立ち上がり言った。
「そうだな、わたしが指揮を取る。いいか私たちが行うのは反逆だ。」そう言うと薫がこう言った。
「具体的には何をするんだ?ロボットを破壊するとか?」
「そんな甘ったるいことはやらん!私たちがやるのは……」と言うと奥からホワイトボードを持ってきて指を刺したこういった。
「この日本を終わらせる。」と重い言葉が返ってきた。俺は言った。
「どう終わらせるんだ?」
「まず、渋谷を叩く。30年前までは若者が溢れかえっていた。だが今はどうだ、あそこはロボットや議員、公務員などの政府の犬が歩いてる。私たちのような働かないでお金をもらう奴らよりその何千倍も稼いでるのを隠している。私たちが食べているものや衣服、家なんかは最底辺のものだと私たちのような位の低い奴は知らない。だから私たちが渋谷を叩きこの日本を変える。」僕はこれを聞きなぜかやれそうな気がした。すると光樹が言った。
「じゃあ、何を使うの?車?爆弾?」と言うと団長は自慢げに言った。
「私たちには、銃があるじゃないか。政府から丸が出たものをわざわざ使ってあげようじゃないか。」するとソラが立ち上がった。
「やろう!今すぐやろう!」彼女は立ち上がってとてもやる気に満ちていた。さっきまで冷酷でおとなしかったがこの話を聞いて可能性を見出したのだろう。すると団長は言った。
「ちなみに、銃はここにある。20丁ぐらいあるぜ」と軽くいった。すると薫が言った。
「でも俺たち銃なんか持ったことねぇよ」
「安心しろ、この銃は小型化、反動も抑えられている。この十数年で進化したなぁ〜」と団長が作ってもいないのにまるで団長が作ったのかのように話している。
「そして、私が8年かけて作り出したのがこれだ!小型核ドローンだ!」と小型された何やら小さい箱が入ったドローンを出した。
「これは、簡単に言えば核だ!だがその代わり威力はかなり抑えられている。だいたいスクランブル交差点ぐらいだな。」
僕はびっくりして、こう言った。
「なんでそんなもの持ってるんですか!」
「開発したって言っただろ、一応私は京王大学出身だからな。」
「きょ、京王大学って日本で2番目に頭のいい大学じゃないですか!」そう言うと団長は言った。
「違う!い・ち・ば・ん・良いの!」と謎の学歴マウントをとり僕のおでこに指を指して言った。
そして、僕たちの組織の計画が始まった。
「良いか、俺たちが狙うのは新宿、千代田、そして国会議事堂ここら辺だな」
外のカラスがカァカァ泣いている音がしているのを聞き、夕方になっているのがわかった。
「夕方か……とりあえず今日のところはこれで終わり!解散、解散……その前に写真撮ろうぜ!」と団長が言い写真を撮り、僕たちはひとまず連絡を交換し解散をする前に団長が言った。
「そうだ!グループ名決めようぜ!」まるで団長は中学生のようなことを言った。
「レジスタンスってのはどうですか?」と薫が言ったが、みんな乗り気ではなかった。
「ボンバーマンがいいよなぁ!」と団長は言ったが、ダサいと不評で却下になった。
「東京ゲリラ……」と僕は、ぼそっと独り言のように言った。
「おっ、それいいねぇ」と団長が褒めると。
「いいんじゃない、かっこよくて」と立て続けに薫も好評をもらった。
「ダサいけど、悪くないじゃないあんたにしては」と上から目線でソラが言った。
「なんでもいい」と光樹が言った。
「じゃあ、決まり!今回から我々のグループ名は東京ゲリラに決まり!」と団長が言った。
そして、僕たちは東京ゲリラの事務所(団長の家)であるゲリラハウスをあとにした。
僕は家に帰り、ドアを開けるとお手伝いロボットが出迎えてくれた。
「オカエリナサイマセ、アルジ」とロボットがお辞儀をしていた。
「うん、おかえり」と家の中に入って行った。僕は心臓がバクバクだった、このことがバレたら俺だけじゃなく仲間達も消されるんじゃないかと思ったからである。
――平常心、平常心を保て!俺!
といつもとは違う緊張感があり自分の部屋に入っていった。
怖さと緊張感により疲れてしまい僕はそのままベットに眠ってしまった。
僕は朝起きると飛び出すように家を出てゲリラハウスに行き団長のところに行った。
「団長!」と扉を開けて、団長のそばまで駆け寄った。
「んあっ、どうした健斗そんなに焦って」と寝起きの団長を叩き起こした。
「実は、お手伝いロボットに殺されるのじゃないかと怖く家から飛び出してきて……」と事情を話した。
すると「ハハっ、お手伝いロボットはそんなことしねぇよ。するとしたら自衛隊ロボットか警察ロボットのどっちかがだろ」と僕を小馬鹿にしたように笑い、その後薫たちがやってきてさっきの俺の話をした。
「何言ってんだよ」とみんなに笑われたが光樹だけは笑わなかったのを見た。
「今日は少し銃を撃ってもらう」と言われ。
みんな銃なんか持ったことがなかった。いや、厳密には持つ必要がなかった。
「いいか、そこに銃弾が入っているマガジンがある、それを入れることをリロードというそしてトリガーを引くそしたら弾が出る簡単だろ。この銃だったら30分あれば慣れる」とお手本を手慣れたように見せながらやっていた。
最初はぎこちなかったが、やるにつれ慣れていきソラに関してはほぼ全ての銃弾が頭に当たっていた。するとみんなができる射撃は光樹にはできずリロードが遅く撃つのも。
「まぁ、自分の好きなような武器を使ってかまわない。銃だけが正義とは限らない他にも短刀や槍もある、どうだ光樹は軽やかな動きが得意そうだから短刀とか」と団長がフォローを入れた。
「やってみる……」と言い、柔らかいナイフを渡した。
団長と一対一でやっていくのを僕たちは見学をした。
「ソラー審判やってくれー」と言い渋々ソラは受け入れた。
「はじめ!」と大きな声を出したのと同時に光樹が走り出した。
すると、10秒に満たないほどで光樹は団長の上に乗りナイフは団長の首元で止まっていた。
「お、おうこれはすげーや」と団長が言った。
「ナイフにします。これあと数本あります?」と謎の質問をした。
「何に使うんだ?」と僕は質問した。
「ん、投げるの……」と謎の怖さがあった。
一番怒らせてはいけないのがソラではなく、光樹だと知った。
「私スナイパーがやりたい……」とソラは小さな声で団長に相談した。
「そうだなー、いいんじゃないかソラは集中力があるからな、ならついでにフルオートピストルもあげよう」そう言って、団長はソラと奥の部屋に行ってしまった。
僕も何か他のみんなのように得意なことを見つけなきゃと思ったが、今できることは何もなかった。そしてそのまま一日が終わってしまい、僕はまだ家にいるお手伝いロボットをみることが怖く帰れずに団長の家にしばらく居候させてもらうことにした。
「だ、団長……」
「なんだ?」
「僕はみんなのように得意なことがないんです。ソラは冷静で集中力という武器を持っている、光樹はナイフ、薫はいつもチームのムードメイカー、じゃあ僕には何があるんですか……」
「いいんじゃないか、別になくて。私はお前のいいところすぐに思いつくぞ、優しいしこのチームの名前を考えてくれたのはお前じゃないか、お前はお前らしくいればいいんだよ1億人嫌いでも、私たちは好きだぞ」そう言いながら団長はタバコを吸っていた。
「そのタバコくれますか」僕は何を考えたかそういった。
「あぁ、いいぞ」
「スーッ、フーッ」僕は人生でタバコを始めて吸った。すると団長は僕からタバコを奪い、僕を押し倒しキスをし始めた。
「んっ、んっ、はぁー」僕は何が起きているのかがわからなかった。団長の舌が僕の口の中に入ってくるのがわかった、団長のディープキスは口に入る前は力強く、入った後は優しく絡め合い少し甘い味がした。
「これが、あたしの気持ちだ。わかったならさっさと寝ろ。」団長はそう言うと、敷布団に入って寝てしまった。僕も寝ようと思ったが、まだあのキスにドキドキしてしまっている。僕は寂しくなり横向きで寝ている団長の背中の後ろに近づいて、一緒に寝てしまった。
午前11時ガチャと言う音と同時に悲鳴が聞こえてきた。
「きゃー!」と言う声に僕は驚き起き上がった。ソラの声だ何事だと思い辺りを見渡すと僕と団長の添い寝をしているところを目撃してしまったらしい。
「健斗のケダモノ〜!」とソラが言うのと同時に後の二人が歩いてきた。
「おおっ、健斗なんかスマねぇなお楽しみのところ」と薫が言った。
「へんたい」と言う呆れた顔で言ってきた光樹の姿があった。
「ちょ、これは違くて……団長もなんか言ってください」と自分の左腕を布団から出そうとしたとき、下着姿の団長が布団から出てきた。
「けんときゅん……しゅきぃ〜」と言う寝言が団長の口から発せられた。
俺は終わったと思ったが、団長なんとか起きてきた。
「えっ……」と団長が下着姿であることを知り。
「ケダモノ〜!」と団長が言いながら僕の顔に思いっきりグーパンチした。僕からしたらこいつはケダモノではなくバケモノだと思いながら殴られた。
1時間後……。
「いやーすまないすまない」と団長は軽い謝罪を僕にしてきた。
「すまないじゃないですよ……」と僕は少し気分が落ち込んだ。
「じゃあ、明後日……出撃する。目標はスクランブル交差点」と重い空気と団長の声が流れた。
「てことで、フリーターイム!」と言ういつもの団長の声に戻った。
「じゃあ、みんなでゲーセン行こーぜー!」と薫が言った。みんな乗り気だったが光樹は仕方なく行く感じだった。
僕たちは格闘ゲームやパズルゲーム、レースゲーム他にはUFOキャッチャーをやってとても記憶に残る時間だった。
「にしても、団長のパンチングマシン200キロはやばいっすよ」と笑いながら薫は茶化した。
「団長は強いからなーハッ、ハッ、ハー」と自慢げに団長は話した。
「でも、明後日には死ぬかもしれないんだよね……」と悲しい感じに光樹が話した。光樹が自分から話すのは珍しかった。
「ウチ、男でも可愛くなりたいって思って親も友達にも否定されて殴られて貶されて希望もなく、自殺志願者になったけど、こんなに楽しいと思うなら、死にたくないよね。」となぜ光樹が自殺志願者になった経緯を教えてくれた。
「俺は、人に親を殺された。自分も親の後を追おうと思ったが、死ぬのが怖くてできなかった。でもここなら嫌でも死ねそうな気がした。」と言う家族を愛した薫の話がした。
そして、沈黙が流れてしまった。
「じゃ、また明日」と僕が言った。
残ったのは、僕と団長と光樹だった。
「なぁ、今日は光樹も泊まってけ。」と団長が言うと、彼は嫌そうな顔をしたが、その後少し乗り気な顔になった。
家に入ると「ねぇ、なんで健斗は自殺志願者なの?」と光樹が聞いてきた。僕は少し悲しい顔になったが、腹を括って話した。
「俺は好きな人がいた。幼馴染であり親友であった。だがそいつは俺に告白してきた。僕は友達でいたくて、振ってしまった。家に帰ってテレビを見ると、そこには幼馴染と同じ名前が載っており写真も同じ顔だった。その時に絶望したよね。いきなりのことでその場に吐いてしまったことがあってそしたら父親に殴られ蹴られ放り投げされたよ……」僕は真実を話した。
「そっか、でももう少しで会えるね、その幼馴染と」そう光樹が言うと。
「私あんたたちの話に耐えられないわちょっとベランダでタバコ吸ってくる。」と団長は行ってしまった。
「でも、親は僕が殺したんだよね……だから幼馴染みの子には会えないや」と言いたくないことを伝えると光樹はいきなり壁に背中と両腕を押し当て、唇をせがんできた。いや、厳密には無理やりディープキスをしてきた。だが、相手は男だとわかっていながらも僕はそのキスを続けてしまった。
「んっ、んーッ、んはぁー」このキスは全てを包み込んでくれる優しさで少し酸っぱい味だした。
いい感じの雰囲気の中、彼はキスをやめてしまった。舌が絡み合っていたため顔を離すと少しお互いの唾液が1つの線のように伸びたがすぐに糸が切れてしまった。
「これで少しは、気持ちが楽になったでしょっ。」と彼は言った。
「う、うん……」僕はなんとも言えない気持ちになったが、嬉しいのと悲しい中間にいる気分だった。
するとガラガラと言う音と同時に団長が部屋に入ってきた。
「話は終わったか?」と言い、タバコを吸いながら部屋に入った。
「はい……」と光樹はいうと、布団に入ってしまった。
すると団長が僕に近づいてきて囁くようにこう言った。
「辛かったな……それでキスはあたしとどっちがうまかった?」と最初は真剣な顔で聞いてきたがだんだんニヤニヤしながら聞いてきた。
「だ、団長です……」と僕は咄嗟にドキドキしながら言った。
すると、団長は何も言わず僕の頭を2回ぽんぽんして布団の中に入ろうとした。
「団長!団長はなぜ自殺志願者なんですか?」僕は以前から気になっていたことをこの機会に聞いてみた。
「えーっ、それ聞く?」と少し笑いながら言った。
「仕方ないなぁ、あたしはね……死んで当然の人間だったの。私の本職は殺し屋、正確には政府に雇われた暗殺者だった……」という衝撃的なことを知った。なんせ、政府の犬を倒したいと言っていた団長が政府に雇われたスパイだったから。
「でも私はみたんだ、金、情報、権力などが全て公務員が牛耳っていたことを、自分の努力や死に物狂いでやってきたことは全て無駄であり、それを知った私は絶望したがその時決めた。下剋上だ!ってね。」と軽々しく話してくれた。
「じゃぁ、なんでいつも明るく接してくれるんですか?暗殺者って暗くて怖いイメージだったけど」と僕は話した。
「どうせもらった命、使い切ってから死のうと思ったら暗くいるのもどうでも良くなっちゃったからね」と話してくれた。
「さぁ、さぁ、早く寝な……ぐぅ」と寝てしまった。
11月27日僕たちが会って6ヶ月が経ち、あっという間な6ヶ月だった。
「おい、起きろ」と光樹が起こしてきた。
「飯をよこせ」と光樹が言ってきた仕方なく起きると、パンを焼いている団長の姿があった。
「おい、団長が今作ってるじゃんか」と言うと光樹は首を振り、僕の顔を光樹の両手で固定され昨日と同じくキスをされた。
「おっ、起きたか。光樹は寝起きだとキス魔になるらしい。あたしも朝キスされた。」と団長が言った、僕はキスで窒息死しそうであったがギリギリのところでキスが終わった。
「何すんだよ!」と僕はそう言い放って顔を洗おうと行くために洗面台へ移動した。ついてこないか心配だったが、標的は団長の方に移ったらしい、これは光樹のお手伝いロボットは大変だなと思った。
数時間後、みんながいつもの時間に揃ってやってきた。
「よし、みんな揃ったな。明日がとうとう決戦だ!この日本変えるために死ぬ気でやるぞ!」と団長が指揮をとり、みんながおーっ!と言った。
「いいか、ロボットの核は胸元だ。家にいるお手伝いロボットのちょうどネクタイのところだ。相手は足を狙ってくる必ず気を付けるように。」と団長から厳密な注意をされた。
「ドローンはどうするんですか?核のついたドローンは」とソラ言った。
「それは、最初に仕掛ける。ロボットの動きがピークとなる9時にこれを飛ばす。そして残ったロボットや軍事ロボット、自衛隊や警官などを私たちが叩く。」と一連の作戦を教えてくれた。
そして、全ての作戦や銃やナイフ、手榴弾などの武器の準備が終わり、僕たちはゲリラハウスに寝泊まりをした。
11月28日午前7時、私たちは早めの準備をし、武器などを手に取り持ち場へと立った。僕たちは渋谷に建っている雑居ビルの屋上で見ている。
「ドローンを動かす。」と団長が言い、約30秒後に核爆弾が投下された。団長いわく、この核は放射物質を出さない謎の爆弾らしい。
ドーンと言う音と、ともに団長が大きな声で言い放った。
「みんな、バラバラにつけ!すぐ自衛隊と軍事ロボットが来るぞ!」と核の音と聞こえてきた。
僕たちは直ぐに団長の言うことを聞き、僕は遠くにある建設中のビルの中の3階に登っていった。
――とりあえずここならロボットがどこにいるかわかる。
その時、僕は何かあった時に助けるため双眼鏡を使い辺りを見渡しみんながどこにいるのかを確認した。
すると、バンと言う音とともに僕の目の前で銃弾がコンクリートに当ったのがわかった。僕は直ぐに隠れた。
その時、遠くの方からさっきの音とは比べ物のならない音が鳴った。撃ったのはソラのスナイパーの音だと思った。
僕も、負けじと銃を持ちロボットの核の部分を撃ち続けた。撃っていてわかったのが、ロボットは顔を吹き飛ばされても、撃ち続けてくることだ。
20対ぐらい倒したであろうか、スクランブル交差点の方を見ると光樹が戦っているのがわかる。僕も何か貢献しないと思い、腰に引っかかっている手榴弾を手に取りピンを外し光樹に当たらないように投げた。見事に的中したが、どこかで叫び声がした。双眼鏡で見ると薫が倒れていた。ロボットのスナイパーが撃ったらしい、さらに薫の方にロボットが行くのを見た。僕は声が出ずに、その場で何もできずに遠くで薫が叫び声を上げながら、ロボットに囲まれるのを見てしまった。
「えっ……」僕は双眼鏡で薫が殺されたのだと思い思わず声が出てしまった。周りを見るとみんな何事もなかったかのように戦っている姿が見えた。僕はそれを見ておかしいと思ってしまった。
すると、遠くから手榴弾が飛んできた。僕はコンクリートの壁に隠れたが気絶してしまった。
「……せ、……覚せ、……目を覚ませ!」と団長の声で僕は目を覚ました。見ると団長は悲惨な姿でコンクリートの壁に背をもたれていた。よく見ると団長の腕は折れ、足は銃弾の撃たれた後があり服は血で滲んでいるのがわかる。僕は1時間ほど気絶していたらしい。
「やっと、目が覚めた……動けるか?」と団長は苦しそうな声を出していた。
「はい、動けます。団長その怪我……」僕は団長の痛々しい姿を見て酷い罪悪感を感じてしまった。
「ちょっと……厳しいな。時間の問題かも知れねぇ……」と団長は荒い呼吸で言った。
「すいません、僕が気絶したばっかりに……」
「そんなことねぇよ、お前は良くやってる。こんな逃げたいだろうに……お前に渡したいものがある。私の方に来られるか?」と団長は呼吸を整えながら言った。
「はい……」僕は団長の言葉に素直に聞くことしかできなかった。
「手を出せ」と団長は言い、僕はドキドキしながら手を団長の方に出した。
手にずっしりとした重い、菊の花に似た懐中時計を僕の手のひらに落とした。
「いいか、これは公務員時計と言われるものだ……きっとお前を救ってくれる。」と団長は最後の力を出すように言った。僕は、この言葉を聞いて団長と話すのは最後なのだと悟った。
「ありがとうございます……」僕はそう言い胸ポケットに入れた。すると、団長は体の力が全て抜け切ったかのように座りながら倒れてしまい、雪が降ってきた。
下から人間の声がする。野太く怖そうな声が下から上へ響いてくる。多分、いや確実に団員ではないことを僕は察した。
「急げ、こっちへ来い!」とキツイ口調をしながら下の階段から上がってきた。
階段の下から上がってきたのは警視庁のような服を着た、40代半ばぐらいの痩せ型の人が出てきた。僕はてっきり警察官や自衛隊のような強く訓練されている人がくるのだとばかり思っていた。
「おや、あなたが日比谷奏さんですね……初めまして、私の名前は山桐 大輔警視庁をやらせてもらっています。」と丁寧に僕の目を見つめながら話しかけてきた。後ろにはロボットが三人おり逃げられない状況になっていた。だが不思議だなぜ俺の名前を日比谷奏と言っている、だが、今ここで違うと言ってしまうとやばいと直感で思い咄嗟に嘘をついた。
「なぜ、俺の名前を知っている!誰から聞いた!」僕はいつもより強い口調で警視庁を威嚇した。
「あなたのお仲間から直々に来たからです。」と謎の返答が返ってきた。
「その仲間の名前は、なんて言うやつだ!」と僕は少し怖く嫌な雰囲気の中その人に聞いた。
「確か、白い髪の女性ですね。名前は知りません。」とそのことを聞き、一瞬で誰かがわかった。ソラだと。
「最後の言葉は今も覚えています。団長、健斗、誰か助けて!ってね」とその警視庁はソラの真似をし始めながら言い、僕は腹が立ったが、それよりも最後の言葉という言葉がとても引っかかる、まさかと思い警視庁に聞いてみることにした。
「なぁ、ソラはどうした?まさか……」と僕は言うと。
「あぁ、死んだよ。14時45分死亡が確認された。他にも、一番最初に死んだ背の小さい奴あいつは12時17分、あの女装野郎は15時43分……」と僕はみんなが死んだのだと知り、僕の頭が真っ白になった。
「でも、一番めんどくさかったのは、あの女装野郎だな。ちょうど、このビルみたいなところで銃を撃たれた肩を抑えながらこう言ったんだ。お前らに殺されるなら僕は自殺する。好きです……健斗くん。ってな。俺はこういう奴が一番嫌いなんだよ」と警視庁は言った。僕は光樹のことを本気で好きだったのかもしれない性別とかの問題ではなく恋愛として一人の人間として、僕は何を思ったのか体が勝手に動いて、手に持っていたナイフを警視庁の顔に投げ、ハンドガンを取り出そうとした。だが、この警視庁は僕を柔道技で取り押せられ、ロボットたちは僕の頭にアサルトライフルのようなものを突き付けられている。僕はこの時死ぬのを覚悟していた。
「うぁぁぁぁ!」僕は自分の体を制御できなくなっていた。かなりのパニック症状が出ていたのだと思われる。すると、ロボットが持っている銃のストックと言う部分で僕の頭は殴られた。かなり、強く殴られたせいなのか、脳震盪のようなものが起きている。
「おい、こいつ……時計を持ってやがる。チッ、こいつを連れて行け!」と言う声と共に僕は気を失ってしまった。
「起きろ!」と言う声がした。あの時団長が起こしてくれたときよりなぜかはっきり聞こえた。
目の前にいたのは、あの警視庁と警察官、検察官や裁判官らしき人までいた。なぜか僕が気絶している間裁判があり、僕が起きた時には、判決が決まっていたらしい。
「判決!日比谷奏を懲役12年とする!」と裁判官が持っているハンマーのようなものを叩き、裁判の結果を告げられた。僕は頭の中の整理がされておらず頭の中が真っ白だった。
「よかったな、懲役12年で普通だったら、1000年はくだらなかったんだ。だが、憲法が変わり公務員や元公務員は懲役20年以下にしなければならない。こんな憲法作ったせいで……まぁ、今回の被害はあまり人間が関わらなかったから12年まで下がったんだ。よかったな、奏。」と言いさり警視庁は、そそくさと出ていってしまった。
僕は、団長に感謝している。今度は、僕が団長の代わりになるのだと……。
だが、12年の年月はとても長かった。何をしてもムチで叩かれ返事はYESのみ食事が来ないこともあった。
12年後、僕は壁の外に出た。
「ありがとうございました……。」僕は頭を下げロボットにそう言うと。ロボットは何も言わずに敬礼をしていた。この時も雪が降っていた。
「団長ありがとうございます……」と僕は独り言を言いながら。奏の家へ行くことにした。
夜、ガチャと開けるといつもの変わらない団長の部屋があった。まだ少し、団長の匂いや光樹たちの匂いが、かすかに残っている。暗い部屋の中、僕はキッチンの方に行くと団長が吸っていたタバコが3本ほど残っている。僕はそれを手に取り団長がいつもキッチンの換気扇の下にある椅子へ座って、タバコを吸った。タバコを吸っているといつもの団長が戻ってきたような気がして、初めてキスをした時の味に少し近かった。2本目はベランダで吸った。初めて光樹とキスをしたのを思い出した。今思えばかなり衝撃的だった、壁に両手を押さえられて強引にされたという、僕の中ではかなり甘酸っぱい青春だった。
僕はスマホを取り出し、SNSを開き文章を投稿した。
死にたい人集合!俺たちを苦しめた日本を懲らしめよう。
僕は、この文章を投稿したあと、残りのタバコを東京ゲリラメンバーが初めて会った時に撮った写真の前にそっとタバコを置いた。