昔の噂
8/14月曜日
「あっついなぁ。」
そう言いながら額の汗を拭う。
じいちゃん家に着いたのがお昼近くになってしまったため、車から出たとたん、太陽に肌を焼かれてしまう。
「じーちゃん久しぶりー。」「遊びに来たよー。」
俺はじいちゃんに聞きたい事があるせいで、少し緊張しながら来たというのに、弟妹達は何の心配も無さそうな、無邪気な笑顔でじいちゃんとばあちゃんに走りよっていく。
「おー。久しぶりだ。よく来たね。さぁ、暑いから早く中に入ってゆっくりしなさい。」
そんな風に出迎えられ、皆で家に入っていく。
そして、そのあとは、毎年の恒例行事を行っていき、なかなか学校の話をするチャンスもないまま時間が過ぎていく。
その後皆で楽しく花火で遊んだりして、あっという間に寝る時間になる。さすがにもう遅いので話をするとしたら明日だろう。
8/15火曜日
結局昨日はゆっくり昔の話を聞く暇が無かったので、今日は朝食の時に、後でじいちゃんに時間を作ってもらえるようにお願いした。
「それで、話とはいったいなんだ。」
そう言われるが、いったいどこから聞いたらいいのだろうか。
「今日は、学校のことでじいちゃんに聞きたいことがあって。」
まずは、通ってた学校が俺と同じ所であることを確認し
「じいちゃんが学校に居たときって夏休みに本館って開いていた?」
と、聞いてみる。
「ふむ、どうしてそんなことを聞くんだ?」
「実は、今本館を開けてることを、学校情報周りの人たちに反対されていて、そんなに反対されるなんて昔何があったのかなって。」
そう言うと、じいちゃんがびっくりしたように
「なんと!この時期に本館を開けてはいけないと言うのを忘れてしまったのか!」
と言う。
「う、うん。他にもなんか変な噂がたってて、それも関係あったりするのかなって聞きたかったんだけど。」
突然剣幕な様子に変わったじいちゃんに怯えながら聞きたいことを全部質問すると
「その噂とは、鐘に関係することか?」
と、逆に聞かれる。
「鐘?あ、あぁ。チャイムのこと?確かチャイムの音がどうこうって言ってた気がするけど…。」
そう答えると
「お前の周りで鐘の音を聞いた後姿を消したものは居るか?」
と、更に聞かれる。
「う、うーん。俺の周りには居ないけど、連絡が付かないやつがいるって。」
「そうか…。もしも、門のそばで普段とは違う時間に鐘の音を聞いたら気を付けろ。」
「じいちゃんの時にもそう言う噂があったの?」
学校で聞いたよりも詳しい噂の内容に思わずそう聞くと
「馬鹿者!!噂なんかではない!!わしの友人が実際に、鐘の音を聞いた後消えてしまったんじゃ。」
と、怒鳴られてしまった。
「き、消えたのはその人だけだったの?」
もう、何を言っても怒られそうだと思いながらかろうじてそれだけ質問すると
「いや、他にも何人か。居なくなった。鐘の音を聞いた者は皆、家に帰ることなく消えてしまった。あの時も、わしと友人、女生徒二人で門を出たとき友人が鐘の音が聞こえたと言い出した。」
と、当時の事を話してくれる
「そのあと、友人は帰り道びくびくしながらも、次の日も学校に来ると言い、いつもと同じ所で別れた。だが、その日友人は家に帰ることなく、学校に来ることも2度と無かった。」
話終えると、じいちゃんはふぅー、と大きく息を吐くと
「あとは、わしが知っとるのは卒業後数年たった頃に夏の間、学校を開けることはなくなったということぐらいじゃ。おそらく噂の出来事が原因だろうがな。」
最後にそれだけ言うと部屋を出ていってしまった。
8/16水曜日
俺は家に帰ってきて、じいちゃんから聞いた話を思い出していると、明日学校に行くべきかどうか悩んでしまった。だが、友人らに約束をしてる以上、少なくとも明日は学校に行って、昨日聞いてきた話を皆に伝えるべきだろう。