プロローグ
俺の通う学校は、昔は夏休みでも、自己学習や補習、そして部活で利用する為に、本館が普通に解放されていた。
だが、ある年に奇妙な事件が起きて以降、夏休みの間、生徒はおろか教師までもが、夏休み中、本館に入ることを禁止されている。
そのため、夏休みの間、本館は完全に閉鎖され、それらの活動は別館で行うことになっていた。
ちなみに、噂によるとこの別館は、事件が起きたあと、夏休みの間、本館を解放しない代わりにと言うことで、急いで建てられたものらしく、そのせいかろくな設備が整っていない。
昔は空調なんて、大したものが無くても大丈夫だったかもしれないが、最近の夏はこの机で目玉焼きが出来てしまうのではないか、と考えてしまうくらいに暑い。
そのため、夏休みの間、エアコンが付いてない教室で過ごすなんて、とてもじゃないが考えられないと思っていた。
他の皆も同じ考えだったのだろう。、この夏休み、勉強や部活動を行うために本館を解放してほしい、と生徒たちが訴え、最終的に署名運動まで発展した。
かくゆう俺もこの夏休み、教室を解放することを希望した生徒のうちの1人だ。
別に夏休みの間、家にいてもいいのだが、弟妹たちも夏休みに入る為、家の中が騒がしくなることは間違いない。
勉強するなら学校の方が、分からないところがあってもすぐに先生に相談しに行けるし、本館が解放されれば冷房も完備と言う夢のような環境になるのだ。署名しないはずがなかった。
そして、ついに学校側が折れ、夏休みに本館が解放されることが決まった。