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生き残りたいっ、まだ生きてたくなる♪

「おーい、ジョーダン」

「どうしたの?」

「どうやったらこの悪夢は終わる?」

 センゴクは幻想を見ていた。目の前にはジョーダンはいないし、あるのは真っ青な空を染める夕陽だけだった。手には女物のパンツ、体には何もつけていない。そして、センゴクの家までは歩いて十数分のところだった。アッシュは扉を開けてくれなかった。



 センゴクは祈った。

 蛇を育てたザ・ボスの顔を思い浮かべて誓った。

 必ず帰る――死亡フラグのような決意だった。



 センゴクは暗くなるのを待った。日が沈むまで、十分。足元を悠々と歩く蟻を睨み、羽虫に肌を撫でられながら、合戦の時間を待った。



 時間になった――センゴクは道に躍り出た!




「ぎゃああああ! 変態っ!」




 すぐに見つかった。

 とことんついていない男だ。

 振り向くとランドセルを背負った小学生女児だった。センゴクは顔を隠し、落ち着かせようと声をかけた。



「無かったことにしてくれないか?」



 それは無理な相談だった。



「いやあああ! 近寄らないで」

 女児の攻撃、給食袋を投げてきた。センゴクは受け取ると、給食袋を開けて中の白衣を取り出した。袖を通し――メリッ! 背中の部分が避けてしまった。



「やはり駄目だったか」

 服が欲しいです。安西先生。そんなことを考えながら、センゴクは破れた白衣を腰に回して、何とか股間のモノを隠した。



「すまない。あとで返す」センゴクは借りたものは返す主義だった。



「そんな汚いものいらないっ!」



 センゴクは日本特有の家のフェンスを利用することにした。フェンスをよじ登り、草むらに身を隠して、ゆっくりと匍匐前進をする。帰り道の途中に、スーパーがあったのでダンボールをゲットしたセンゴクは、箱の中に入り、スネークまたは箱男の気分を味わっていた。



 センゴクは案外楽に帰れると思った――だがそんなに人生は甘くは無かった。



「おねえええええちゃあああああん」

 先ほど白衣を投げつけてきた女児が家に逃げ帰り、空手を習っていたお姉ちゃんに変態と会った詳細を話していた。彼女の名は、いやニックネームは――イノキ。ニックネームがついているので、当然センゴクが通っている大学の関係者である。センゴクとは話したことはないが、同級生なので何度か教室で顔を見ていた。ちなみに、建築学科は女子が少ないので、必然的にアッシュとは友達である。



 センゴクはダンボールに入り、意気揚々と歩道を歩いていた。俺は箱男だと何回も念じながらセンゴクは突き進んだ。ちなみに箱男の詳細を知りたい人は安部公房の同名小説を読むよろし――あしからず。



「変態男どこだぁぁぁ!」



 センゴクはダンボールの中でイノキを確認した。頭のコンピュータが音を立てて彼女の情報を引き出した。イノキは空手で全国へ行ったこともある猛者で、活発な女性で大和撫子のような容姿である。ヘンリー以下数々の色男がその心を射止めようとしたが、全て跳ね除けてしまった。文字通り――告白をした男は拳で跳ね返されたのだ。



 俺は箱男だ! 見つからない。



「そこか!」

 センゴクの入ったダンボールは蹴られた。センゴクは飛び上がると、フェンスの上までゴキブリのような動きでよじ登った。箱男は迷信だったようだ。



「えっ、センゴク?」



 ばれた。



「貴様、見ているな!」

 センゴクはターザンのように腰布を巻き、手の平で顔を隠していた。まさにジョ○ョ立ちだ。

 それにしても、跳ぶ時も顔を始終隠していたはずだが、何故かばれてしまったのかが分からなかった。センゴクは考えるのを止めて、イノキの処分を考えた。



 息の根を止める。



 それしかない。ここで殺さなければ、一生を豚箱の中で過ごす羽目になるかも知れない。親も兄と姉も悲しむだろう。だから殺すことを決意した。



 これでいいのか、この小説の主人公は――。



「センゴク、どうしてそうなったかは知らない。でも、私の大切な妹の目を汚した借りは返してもらおう」

 イノキは冷静に深呼吸をして拳を構えた。おそらくイノキは倒そうとしていただけだろう。だが、センゴクはイノキを亡き者にしようと考えていた。その意識の違いで――。



 両者の力は拮抗していた。



「URYYYYYYYYYY!」

 センゴクはフェンスから飛び上がった。一撃で殺す。肘を突き出し、全体重を乗せて首を折ろうとした。イノキはその動きを見て、冷静に半歩引き、センゴクの腹へアッパーカットをした。



「きかぬ……きかぬのだ!」



 センゴクは腹を抱え、涙目になってイノキに言った。



 完全にきいていた。引用されたラオウもガッカリの弱さだった。



「センゴク、ここで終わりだ。馬鹿みたいにパロディ台詞を言うのもここまでだ」



「退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ! ここで負けたら、俺の人生はすべてが終わりだ。うううううううううううううう――畜生!」

 センゴクは逃げ出した。言っていることとやっていることが完全に違っていた。

「逃げるんだよぉ!」

「待て、センゴク!」

 イノキはセンゴクを追いかけたが、猫のようにフェンスを登るセンゴクはすぐに姿を消した。太っているくせに動きが異常に早いのは、昔はスポーツマンだった時の余剰金だろう。

 イノキは舌打ちをして、アッシュに電話をかけた。そして、センゴクの家を聞き、先回りをすることにした。



 一方、イノキの電話を受けたアッシュは顔面蒼白になっていた。



 アッシュはセンゴクを少しばかり外に出して頭を冷やさせようと思っていたのだ。だが、幼馴染の考えは斜め上を行ってしまった。まさか、裸で帰るとは思っていなかった。イノキには別の家を教えたが、おそらく野生の勘でセンゴクを見つけてしまうだろう。色々考えて、アッシュは決めた。



「待っていろ! センゴク」

 腐っても幼馴染だった。センゴクの脱いでいった服を鞄につめてアッシュは走り出した。外に出ると、パトカーがいたるところに止まっていた。

「だあぁぁぁ! 何であんなアホが幼馴染なんだ!」



 そのころセンゴクは駄菓子屋の前にいた。

今回のパロディネタ:メタル〇アソリッド、北〇の拳、ジ〇ジョ

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