銀杏塗って、また塗って
「うー、酷い目にあった」
センゴクは留置場から出てきて帰路についていた。
と、突然――そこに影が横切った。
セ「うぬっ……なにやつ?」
その影は何か超自然的な方法で影を晴らしていった。
白髪交じりの老人が現れた。
謎「やあやあ! 君がセンゴク君か!」
セ「誰だ。お前は」
謎「はっはっは……。俺はお前を知っているが、お前は俺を知らない」
セ「だから誰だといっているんだ!」
謎「俺がヘンリーに忍術を教えた」
セ「なんだと……(ブ○ーチ風)」
謎「はっはっは。どうだ!」
セ「何の恨みがあって……俺はお前のことは知らないぞ」
謎「そりゃそーさー! 俺もお前になーんの恨みもねぇし! ヘンリーがどうやって実力つけたか考えようとしたけどなーんにも思いつかなかったからよぉ(代弁)――俺が出てきたんだ。どうだーくだらねぇだろ!」
センゴクは道端に落ちている石を拾いジジイに投げつけた。
拾う――投げる。
拾う! 投げる!
ひ ろ う 。 な げ る 。
「すみません。ごめんなさい。突然出てきてすみません。生まれてきてごめんなさい」
謎のジジイは平身低頭でセンゴクの足元に土下座をしていた。
「忍者なんだろ? 他に何を教えたんだ?」
「秋せつらの糸とか」
「なんで魔界都市ブルースなんだよ! だいいち忍者じゃねーだろ!」
「誰か忍者と言った? 俺はただの家なき男だ」
「さっき言っただろ!」
「俺は忍術って言ったんだよ。忍者じゃねーし!」
「忍術使えれば忍者なんだよ! 国勢調査的に」
「ありえねー! そんな調査しているはずねーだろ! 国に謝れ国に」
「税金払ってないや……」
「じゃあかしーわぁ! 消費税は少なくとも払っているぞ。知っているのか! 消費税って知っているのか!」
「!!!!! ってうるさいぞ」
「おめぇだって使ってんだろうが! 急におとなしくなるんじゃねーぞ」
「やめたまえ」
「あっ、このやろう本格的にやり始めやがったな。なんだお前、マスコミに叩かれたら急に善人面するヒールか?」
「俺は俺を肯定する」
「ザ・○ールド・イズ・マイン馬鹿にしてんのか!」
「それにトシ、顔変わりすぎ」
「黙れー! それと、読者置き去りになっているぞ!」
十分後。
センゴクが家なき男をリンチすると、ヘンリーとは留置所で会った事を聞き出すことが出来た。その後にヘンリーに自分の技を教えたらしい。
「早くもジャンル不明」
センゴクがそう呟いた。拳には家なき男を殴った血がついている。それを洗い落とそうと公園に入った。
水道を探していると、銀杏の香りが漂ってきた。
「ニャー」
そこには銀杏拾いをしているホームレスと一緒に銀杏を拾っている妹がいた。
学校の食堂。
「アーたん」
「アーたんって呼ぶな」
パァン。
アッシュは反射的に音のするほうを見た。
そこには銀杏を電子レンジで加熱している妹ちゃんがいた。
「くさっ! ちょっ! ちょっ!」アッシュはあたふたして妹を取り抑えてレンジを止めた。妹は引きずられてセンゴクのところまで来た。
周りの学生から「臭い臭い」と抗議の声があがっている。
「食うんだ」
「そりゃ食うでしょ」
センゴクはどこからかペンチをもってきて殻を割って食べていた。どうせ誰かから盗んだものだろう。
「ニャー」妹は野生化していた。
「センゴクの家系は野生化するとみんな猫になるのか……」
「何か言った?」
「いいえ」
野性値とか言い出したら、頭が疑われるので言うのを止めた。
「少し頭がおかしくなったけど、さすがはわが妹」センゴクは妹ちゃんの髪の毛を撫でて、尻に手を添えた。
アッシュに殴られた。
「なにするだー」
「妹の尻を触るな!」
「違うよ。尻ポケットに物が入っているんだよ」
センゴクは抗議をしながら尻ポケットからあるものを取り出した。
タイガーマスク。
「よかったね」
「いやいや、俺にとっては死活問題だからね」
「読んでいる人全員がどうでもいいと思っているよ」
「なにそれ酷くない?」
作者もどうでも良かった。むしろ触れたくない。
「ヘンリーが秋せつらの糸を使えるようになったって? ガン○ムに乗っても勝てないじゃん」
「グリフィスとか、ダーク・シュナイダーとか、アマテラスとか、アーカードの旦那とか、人修羅とか、すべてを破壊するものとか呼ばないと勝てないレベルだよ。あと、バットマンとか」センゴクはいろいろな作品の最強キャラを言った。
「バットマンも勝てるんだ」
「補正かかっているから勝てます」
「ほぼ生身なのに?」
「勝てます」
「なんで?」
「主人公補正」
「そんなわけで……アッシュに頼みたいことがあります」
「はあ」
「ヘンリーをストーキングしてください、出来れば殺して。俺は姉ちゃんを探すから」
要求が苛烈だった。
「何故に?」
「だってアッシュはストーカーの名手じゃ――」
「誤解をまねくような言い方をするな」
「好きだった先輩の後を何十回つけ――」
アッシュの攻撃。大変だ。センゴクのみぞおちにはいった。
「だ ま れ」
「本当だからいいじゃん」
「良くない。あれは忘れてくれ」
アッシュは後ろを向いて、歩き出した。
「どこへいくの?」センゴクが咽びながら言った。
「ヘンリーを壊してくる」
音をたてずにアッシュは走り始めた。