プロローグ
未完成
木製の床がガタゴトと揺れている。薄い布の仕切りからは茜色の空が垣間見える。
――何が起こっているのだろうか。ここはどこだろうか。
そんな思考を張り巡らせながら四肢を動かそうとするも、体の自由が利かないことはすぐに分かった。どうやら手足を縄で縛られているようだ。突然の非日常感に、こみ上げてくる恐怖で声が出そうになった瞬間、床の揺れが収まった。外から女性の声がする。
「私たちは冒険家ギルドの人間よ。誘拐した子供を開放しなさい。」
聞こえてきたのはRPGや刑事ドラマでしか聞いたことのない単語だ。状況を把握するために、縛られた手足をうねらせて移動し布の外を見やる。そこには一人の女性と数人の仲間、および外套をまとった十人ほどの人影を確認することができた。この場合、外套の集団は俺を誘拐した盗賊グループのメンバーといったところだろうか。
双曲剣を携えたリーダー格の男が威勢よく声を発する。
「数人の冒険者ごときがこの人数を相手できるとでも思っているのか?」
「これが最終勧告よ。子供を開放し、降伏しなさい。」
警告とともに盗賊の一人が女性剣士に襲い掛かった。女性剣士は両手に握りしめられた短剣による突撃をひらりと躱すと、容赦なく空いた背中に剣を突き立てた。