2024/5/6
最近は鼻炎がひどいです。
生ぬるい風が直に当たる。太陽は真紅の光を天球に投げかけている。私の視界の範囲内には植物を除いては何も生き物は存在しない。
だんだん地面が近づいてくる、50メートル、25メートル、10メートル....。ドシンという音と少しの振動が感じられた後エアカーの扉が開く。私と相方のルートは外に出る。彼(一応彼としておこう)の名前である『ルート』は仮名だ。私達は彼のいや彼らの本当の名前を言えないのだから。また私とルートは基本的に筆談でコミュニケーションを取る。
もう5ヶ月も私たちはグラウンドを旅してきた。私たちはすっかり親友になっていた。今回はちょっと面白そうな場所があったので寄り道したというわけだ。
その施設の看板には『××××国立物理研究センター』と書かれていた。正面玄関から入りたかったが自動ドアには鍵がかかっていた。『ルート、開けられるかい?』手帳にそう書き込む。彼は銃を持ってドアの鍵を撃った。少々手荒だがこれで扉が開いた。『暗いからヘッドライトをつけよう』ルートもノートを取り出して『了解した』という趣旨の返事をした。このセンターは外部からの見かけ通りかなり複雑で広大な内部構造をしていたので寄り道で立ち寄る場所ではないと思った。
成程ここはオフィスか。本棚に入っているのは物理学や量子論の専門書だな。私はルートにこのことを説明したかったが私は彼らの言葉を完全に理解できている訳ではないので悩んだ。
『これらはこの宇宙の基本的な法則を追求する学問についての書物だ。』結局こういう周りくどい言い方でルートに説明した。
私達はさらに奥に進む。
鍵のかかっていない。両開きの扉を開けるとそこは1つの方向に向き合った大量の机とその上に乗ったコンピュータ、そして部屋の前にでかいディスプレイがある部屋だった。ロケット発射場の管制室に似ている。偶然にも私の目はコンピュータのキーボードの上に載ったあるプリント用紙に写った。内容は以下の通り。
[2008年2月27日 3回目の実験。 照射機から放たれた4本のレーザーはステル球にあたり14秒間に渡って7万カンデラの光が発生した。ステル球は質量の25パーセントを失った。
2008年4月6日 4回目の実験。 前回の実験を教訓にしてレーザーの威力を半分にした。ステル球の材料に濃縮ステルを使用。 ステル球にレーザーが当たり20秒にわたって10万カンデラの光が発生。
5回目の実験 準備中]
なんだ?この施設で行われていた活動に関係ありそうだ。私はさすがにこれ全部をルートに説明することはできない。
施設内を一通り見終えた私達は次に地下に向かう。ここから先は自然の洞窟のように真っ暗だ。ルートに頼み再度鍵がかかった扉を破壊する。
ヘッドライトの光が今はもう活動を停止した機械類を照らす。上と違って地下のエリアはたくさんの装置が並んで工場のようになっている。私とルートが500メートル程歩くと1つの両開きの巨大な扉を見つけた。私に言われるまでもなくルートは扉を撃った。だが開かない。私が扉に手をかけ横に開くと(スライド式だった)意外にも少し扉が開いた。『ルートちょっと手伝え。』ルートも加勢し70センチくらい隙間が空き中に入れるようになった。
そこはとても広い空間だった。そこが円形の構造をしていることに気づいた。また同じくその部屋のほとんどを占めるほど巨大な円形の穴があった。
ここは... 。穴の淵から円筒形の何かが突き出している。ルートが一歩前に出る。『これは恐らく何かの機械だ。この部屋自体が1つの巨大な装置なのではないか?』私は返事をノートに書きつける。『ああ、私もそのように思う。だがさすがに用途まではわからないな。』
調べてみると円筒の装置は全部で4本あることがわかった。全部が穴の中心を向くように配置されている。
穴の深さは10メートルくらいだった。ライトでざっと照らしてみたが何もなかった。
それだけだ。
結局私とルートは『××××国立物理研究センター』が何なのか、かつてここで何が行われていたのか、直接的な答えを見つけることが出来なかった。だがここからいくつか持ち帰った資料は考察のヒントになるかもしれない。
身体に気を遣いながら執筆していきます。