峠の茶屋で朝食を
調理人ラーイン・・燃え上がる!! ラーインは燃えているか!?
颯爽と飛び上がり ラーインは調理器具のスイッチをオンにする。
この調理器具は魔道具であり・・・温度調整など朝飯前!!
魔導波動による電子レンジもどきの器具もある。
水道も完備、こんな地下深くにまで水道を引いているのだ。
食器もそろっており・・・あげくに食器洗い魔導機まである。
調理し放題の設備!!
こんなラビリンスの奥深く・・・人も寄せつかない迷宮の深部に これだけの調理設備がそろっていたのである。
さすが帝国の皇宮というべきか・・・それとも人知を超えた不思議ラビリンスの作用か!?
ラーインは設備類を見て・・感動し・・やる気150%に上昇中。
「俺の店より・・・設備がいい! これは・・全力を出せということなんだな!!」
いよいよ調理の開始だ!
だが・・・ラーインは普通の調理師ではない!!
この皇宮で、いや! この帝国で名の知れた人物である。
そう!! ラーインはこの世界を変える画期的料理法を考案したのだ!!
それは魔法と料理の融合・・・
誰もが考えもしなかった新発想!!
この世界では・・・魔法とは戦うためのもの!!
即ち戦争のための武器であり 戦争のための兵器である。
そんな魔法を料理のために活用するなど・・普通は考えつかないのであった。
異世界風にいえば・・・戦車砲を撃って鍋焼きうどんを作る。ミサイルを打ち上げ焼肉定食!
だが・・・ラーインはそんな無茶を実現したのである。
まさに時代を超える偉人!!天才である。奇才である!!
元をたぐれば・・・
かつて・・ほんの昔、とある女魔導師から・・・わずかとはいえ魔法の手ほどきを少しだけ受けた。
そして・・ラーインは その手ほどきから魔法に興味を持ち
その魔法から新しい発想とアイデアを思いついた。
それが・・・魔導料理!! 魔法と料理の融合だ。
ちなみに・・・教えをうけた女魔導師は自らの名前を語らず去っていった。
◇◆◇◆◇◆
ラーインは・・・・両手を合わせて目をつぶる。
これは瞑想である。
ラーインはアリスのように、いや! 普通の魔導師のように十分な魔力を持っていない。
そこで・・その魔力をおぎなうために瞑想を行うのである。
ラーインの身体が熱くほてりだし・・・ほのかに光だす!!
そして・・・身体全体の輪郭がぼやけだした。
魔力が全身を駆け巡りだしたのだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その光景を見てアリスは 喉を鳴らした。
「これが・・・魔法!?」
帝国随一の魔導師である母親の娘でありながら・・・魔法を間近で見たことがなかった。
遠くから様子を眺める程度だったのである。
そういう理由から・・アリスは本当の魔法を知らなかったともいえた。
・・・・本当の魔法を知らずに 魔術本だけで魔法を取得するのは どだい無理な話だったのだ。
だが・・・ここに参考にすべき魔法が アリスの目の前で展開されていた。
料理人ラーインによる瞑想・・・そして魔法の実戦!
とりあえず・・・ アリスは同じような動作をして真似てみた!!
まずは模倣だ!!
そう! 瞑想である。ラーインがおこなってるような瞑想をしてみた。
アリスは両手を合わせ目をつむる。
だが・・・それだけでは魔法を行使できない。
恰好だけ・・・真似ても無駄だとはわかっていた
うん!!・・・ここから何かが必要のはず!
何が必要なのだ!?
分からない!
分からないが・・・・
とりあえず・・・試してみる!!
""アリスでもわかる初級魔術本""で書かれている内容を実行してみた。
自分が・・おバカなゴブリン(アリス)になったかのように想像する!!
シチュエーションは・・・真っ暗な洞窟!! 明かりの魔法が必要だ!!
自分の体内魔力を手のひらに集めるように想像する・・想像する・・・想像する・・・・想像するのだ!!
・・・・アリスは何かを感じた。
今まで生きてきて初めての感覚。
「これが・・・魔力!?」
アリスは慎重に魔力の操作を行う。
ここまでうまく出来たのだ!! 失敗したくない。
アリスは手のひらに魔力を集中すると・・・うっすらと光だした。
いける!! うまく行けそうだ!!
アリス・・・初めての魔法行使である。
手のひらから・・小さいが・・光り輝く球体が飛び出し・・明るく輝く!
やった! 間違いない! これが光球に違いない!
照明の魔法・・・やった~!!
今にも・・・小躍りするぐらいの喜び。
「あっはははは~ えっへへへへへ」
おもわず・・変な声をだしてしまい・・・調理中のラーインに見られてしまった。
いったい・・・何をやってるんだという目をしている。
「お嬢さん!! そんなに俺の料理が嬉しいのかい ちょっと待ってくれ」
「いや・・いえ・・・ありがとう」
ちょっと・・・はずかしいアリス、顔を赤らめながらテーブルに座るのであった。
火、水、風、土など4大カテゴリー系統の魔法の適性をマイナスとされ
アリスには魔法は使えないとされていたが・・・
明るく照らす照明の魔法である光球を生み出すのに成功した。
光球魔法は・・・カテゴリーとしては光系統であり 4大カテゴリー系統以外の魔法である。
アリスは・・4大系統以外の魔法なら問題なく使えることが証明された。決して魔法が使えないわけではない!!
しかし・・・光系の魔法には攻撃魔法が含まれず・・・
重火力・攻撃魔法主義の帝国では・・・光魔法は魔法と認識されてはいなかった。
----- おまけ劇場 ------
ラーインが・・かつてとある村の食堂で料理の修行をしていた頃、
魔獣退治のゴタゴタで知り合いとなった・・とある女魔導師がいた。
黒髪の美人だった。あんな美人は他にはいない!
ラーイン・・ちょっと惚れてしまう。
しかしながら、重要なのは美人ではない。
俺は・・・その女魔導師に軽く魔法の手ほどきを受けたのだ。
ちょっと難しかったが・・・俺はなんとか頑張って・・基本的な魔法をつかえるようになった。
たしかに・・基本的生活魔法なのだが 俺はその有用性に気付いた。
これはもしかして・・・・凄いことになるかもしれない。
それは・・・料理と魔法の融合である。
魔法を料理に使うスパイスのように活用できないのか!? 味を引き出すことはできないのか!?
料理の修行をしてた俺だからこそ勘付いたのかもしれない。
・・俺は色々なことを試した。試行錯誤をした。
そして・・・ついに俺は魔法と料理を合わさった魔導料理を作り上げたのだ。
その後・・・俺の新境地的料理は評判となり・・・誰からかの推薦によってカールレン皇宮内で店を持てるまでになった。
皇宮内で店が持てるきっかけとなったあの女魔導師・・・結局、彼女の名前を聞き忘れてしまっていた。
ついつい「魔導師さん」と呼んでしまってたからだ。実に残念だ。
名前ぐらい聞いておけばよかった。
でも・・・たぶんかなり有名な魔導師だと思う。
一人で・・・空飛ぶワイバーンを倒してたぐらいだからなぁ
俺の村だけではなく・・慌ててやってきた領主様まで驚いていた!!
◇◆◇◆◇◆
そうそう・・あの女魔導師から このリュックを貰ったんだよね!
ホント、驚いたよ~
なんたって このリュックは魔導製・・・しかもかなり高価なはずだったからだ。
「このリュックを君にあげるよ」
「ちょっと待ってください!! こんな高価なもの いただけません!」
「ワイバーン退治の手伝いのお礼だよ」
「いや・・俺! 荷物運び程度なのに・・・こんな高価なものは・・」
「そーだね! いずれ私の娘が君の世話になるとおもうよ・・その時はそのリュックを使って便宜をはかってほしい」
「む・・・娘!?」
「私の娘・・・アリスっていうのよ!」
ラーイン・・・美人魔導師に娘がいることを知る・・・人妻だったのだ。
ラーイン・・・ショック!
ラーイン・・・夢破れる!!
ラーイン・・・プロポーズする前に振られたのであった。
その後・・・あまりのショックで 女魔導師の言葉は覚えていない。
何かの予言か!? 娘が世話になるってことは・・・もしかして俺の嫁に!?
いや・・・さすがに歳の差が離れすぎてはいないか!
などと・・・妄想するラーインだった。
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)