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アリスフィーナ/迷宮の伝説


カールレン皇宮内の各部署に繋がる主要通路・・・別名、皇宮国道。

今日も・・多くの人たちが忙しく行き交う。


迷路のような皇宮内にて 迷子にならず比較的安全に目的地へ導く通路である。

しかしながら・・この安全な皇宮国道には 数多くの脇道が交差していた。

問題になるのは この脇道である。


安全そうに見えても この脇道に一歩入れば・・・そこはラビリンスの罠。

へたに入り込むと簡単に出れなくなってしまう可能性があるのだ。



そんな脇道へと・・・恐れもせずに堂々と入り込むのはアリス。

脳内に響く母親の声に従っているのだ。


脇道に入るとすぐ横の壁にはポスターが張っていた。

""ここから危険! 入るな""

おまけに・・・ドクロマークも付いている。


""お父さん! いかないで""

""家族が心配しているぞ!""

""考え直せ! 引き返すのだ""


微妙な意味合いのポスターが増えてきた。

なんの警告なのやら!? 



もちろんアリスは・・・そんな微妙なポスターを無視して奥地へと進む。

アリスに恐れはない!


脳内で母親の声が鳴り響いているからだ。

これは・・・ドレスに仕込んでいる魔法機能の一つであり、いわゆる車内ナビのようなもの。

もちろん作成者は・・・母親であるミリナ。

魔道具の作成も得意だったのである。

ただし・・・これは魔道具なのであって そこに母親がいるわけではないのである。


アリスは・・・

脳内で囁きかける母親の声に従い 母親が用意してくれたという秘密の部屋へと向かっていった。




◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇



皇宮内でも比較的安全、迷子になりにくい上層部と呼ばれる地域ではなく 

皇宮国道から かなり離れた区域、大深度ラビリンスと呼称される迷子率100%の迷子地帯。


ときおり・・物好きが または探検家、ただのオッチョコチョイがはいりこみ・・・迷子を楽しめるアトラクション地帯!?

または・・騎士やら兵士たちが訓練替わりに入りこみ・・サバイバル訓練にも使われたりしている。


実際・・・アリスの目の前では・・兵士の何人かが匍匐前進しながら通路をはいつくばっていた。

その兵士の上官とおもわれる者が・・・「突撃! 突撃!」という叫び声もついでに響き渡っている。


どうやらこの辺りは・・・兵士たちの訓練ラビリンスのようだ。

アリスは・・・兵士たちの邪魔にならないように別の脇道にそれることにした。


するとその脇道のかなたから 黒い物体が ものすごい速さで駆けより・・・そして去っていった。

官僚の一人が泣き叫びながら走り去っていったようである。しかも・・・ドップラー効果付きで!!

たぶん迷子だろ! ご愁傷様!!



通路でときおりすれ違う迷子たちをしり目に・・・脳内で響く母親の車内ナビ!?に従い・・アリスは突き進むのである。


『 アリス!! 次の十字路を右へ、次は左、正面の行き止まりの壁だが・・その壁はダミー、壁を素通りして、道なりに2分 』

まさにナビである!! 脳内ナビ!!


それに・・・この皇宮ラビリンスは とんでもない摩訶不思議ゾーンということが明らかになった。

壁が素通りできるのだ。壁なのに壁ではない!

・・・あと 各所に時空ワープなんてものが存在した!!


そんなこんなで・・・壁を素通りし・・・ワープ!! またワープ・・・

ドアを開け階段を降り・・地下へ地下へ・・・そのまた奥にいったら またワープ・・・







そして・・・ついにたどり着いたのだ!!

果てしないラビリンスの そのまた果てに到着したのだ!


ここの大深度ラビリンス・・地下10階(推定)、ワープなど不可解な場所があったため階数は推定しかできない!!

そこに・・母親ミリナが設けた秘密の部屋がある。


こんな奥深くにまで来るような者はいないだろう!!

通路が入り混じり、時空がゆがんでいるため・・・へたに入り込むと遭難してしまう。

脳内ナビによって導かれたアリスだけが到達できる深部。


たしかにここは 人も通わぬ僻地!?なのだが・・・さすがに皇宮通路である。さすがに帝国の中枢!

地下なのに・・・通路全体が明るく照らされていた。おそらく魔導照明なのか!?

その上、ロルルン調と呼ばれる様式で描かれた壁面装飾も素晴らしく 気品の高さをうかがえる。


そして一番の謎!! 人がいないのに 通路が清潔に保たれている。

なぜか!? 掃除がなされているのである。

しかもカビ臭くもなく それどころか香水の匂い!?、お香なのかな!? 


「うん! いい香り・・・心が和む!! 」

アリスは・・・心地よい香りにつつまれながら・・・目的地に到着した。


ここが・・・ 母親が用意したアリスのための秘密の部屋。

いわゆる 秘密の部屋のアリスである!!



「ここが・・・お母さまの!!」


期待と不安・・・わくわくな気持ちを抑え・・・ナビが導いてくれた部屋のドアを開けた。


ギッギギギ・・・チャリン!! チャリン!!

ズドドドッドドド ドカーン!!


ドアベルが鳴る。

不穏な音がした気もしたが・・とりあえず無視!

そう! これはあくまでもアリスを歓迎する音である。



そして・・・

アリスは見た!!

ドア向こうの未知なる世界!!

ドアを抜けると・・・そこは狭かった!!



某異世界基準から言うと・・・四畳半。

畳は敷いてないけど‥四畳半程度の広さであった。


しかも!!


狭い部屋のくせに・・・天蓋付き豪華ベットが狭い部屋のほとんどを占有するように その存在をアピールしていた。

「えっと・・・なにこれ!?」


思わず口をあんぐり・・・茫然自失!!

ツッコミが欲しいの!? ツッコミがほしいの!?  誰にツッコミを入れたらいいの!?

もちろん ここにはアリスしかいない。


だが・・・母親の声をした幻聴が聞こえてきた。

『 このベットは良いベットなのよ・・アリスにプレゼントしないと!! 』


母親ミリナの配慮・・・

・・・寝る時の寝床ぐらいは 王族らしくということで・・このような豪華ベットを設置してたのであった。



とりあえず・・・アリスは部屋へとはいる。

いちおう、四畳半しかないとはいえ、玄関のようなものがあり、靴を脱ぐスペースがあった。

この部屋は土足厳禁である。


妙にどこか異世界のとある国のようだ。

もちろんアリスは靴を脱ぎ・・・ベットにコロコロと転がった。


子供のようにベットに向かってジャンプのようなことはしない!!

お母さまからのプレゼントされたベットなので 大事に使うつもりなのである。


アリス・・・ベットで堪能中。

いい寝心地である。布団もフカフカ。

魔法がほどこされた特殊羽毛で作られており 劣化もせず防虫作用。

しかも 体を包みこみ疲れを取り去る不思議布団。


アリス・・・布団によっておもいきり癒される!!


しかも・・・この部屋は空調がきいている。

狭い部屋なのに・・・空気の流れが良い! しかも涼しい風。

その上 ここは地下10階・・・真っ暗のはずなのに部屋が明るい。


アリスは 周囲をぐるりと見渡すと・・・大きな窓があった!!

その窓から眩しい太陽光と涼しい風が流れ込んでくる。


ここは地下10階なのに窓から光が!!

この皇宮の七不思議・・・時空がゆがんでいるのである!!


部屋は地下10階だが・・・外の景色は上層階からの見る眺め。

母親ミリナは なんてすばらしい部屋を見つけたことだろうか!!



「ありがとう! お母さま・・・狭い部屋なのは気にしません」

でも・・・やっぱし狭いのを気にするアリスであった。

特に、部屋の大半を占めるこの天蓋ベット!

おかしすぎるよ!!

素敵なベットであるが・・・部屋の広さにあっていない。


茶室なみに狭い部屋に豪華な天蓋ベット・・茶道ならぬ、寝道とか確立してしまいそうである。



  


そんなアリスは・・・寝転がりながら天蓋ベットの側面をさわると なにやら引き戸のような手触りを感じた。

「ベットの下に何か!?」


アリスは・・あらためてベットの側面を見ると やはり引き戸のようなものがあった。

何かが入っていそうである!


「そうだよね! お母様が部屋とベットだけしか用意していないわけないよね。

他にも何かがあるはず!」


アリスは引き戸を開け・・・ワクワクしながら中身を見ると・・・書籍がずらりと並んでいた。


その書籍のほとんどが魔導書関係・・・であった。

「この書籍・・・ミリナ{著}と書いている・・・お母様の本なの!? どうして」


アリスは思い出す。

母親ミリナから 魔法関係のことを教えてもらった記憶がない。

この帝国随一といわれた魔導師を母に持ちながら アリスは一切の魔法を教えてもらえなかった。


・・・というか、魔法関係から遠ざけられていたといってもいいほどである。


たしかに・・・皇宮内でのアリスの評価は攻撃魔法を使えない無能者であった。

だからといって 魔法関係のことを教えてくれなかったのはおかしすぎる。

光球など 照明程度の簡単な魔法ぐらい教えてくれても良かったはずなのに・・・

・・・・それすら教えてくれなかった。


だが・・この部屋には、大量の魔術本があった。それも著者名が母親の本が!!

この本を読んで勉強するんだよ! といわんばかりに・・・・


「うん! お母様・・・勉強する!! 」


母親の思惑からいうと・・・この皇宮から外の世界に出る前に ある程度の魔術をマスターしてほしいとの想いがあったのである。

娘の身を守るため・・・強く生きるため・・・





実を言うと・・・

母親ミリナは・・・娘アリスに魔法を教えたくなかったのである。

娘を魔導師にするつもりはなかった。

危険な戦いに身を投じるようなことを娘にさせたくなかったのである。


しかし!! 娘アリスがこの部屋に逃げ込むという事態となれば 生きる糧として魔法が必要となる。

そういう事態に備えて・・・・母親ミリナは多数の魔術書をここに収めていたのであった。







--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


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