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アリス! 明日に向かって走らなかった


「こんなところ! こちらから願い下げよ!!」



アリスは自室にある貴重品をポシェットに入れて・・・と言いたいが そんな貴重品はなかったりする!

王族として ちょっと悲しい!!

書籍は大量にあるが・・かさばるので持っていけない。

財産というか貴重品は・・・いつも身に着けているドレスとネックレスぐらいである。


このドレスは母親から貰ったもの・・いわば形見!

ちょっと流行遅れのデザインではあるが、このドレスだけは絶対に売りたくない

でも、身に着けているネックレスなら売ってもいいかな。思い入れもないし・・・



王族御用達のネックレス・・・それにこの輝き、カットと研磨・・品質は最高のはずである!それにデザインも良い!

一般官僚の給料、一生分に匹敵するのではないかと予想した。

アリスは王族ではあるのだが・・・普通の王族ではない。

いつも一人なので・・・気楽に皇宮内の商業地区をうろつき 物の値段や庶民生活を把握していたのであった。

だから おおよその値段を予測できたのである。

あとついでに・・・皇宮勤めの官僚が庶民なのかというツッコミは無しである!!




とりあえずこのネックレスで資金調達を期待!

・・・と考えてみだが、よくよく考えると無理そうである。


このネックレスには帝国の紋章が刻まれていた。

由緒正しきネックレス・・・しかるべき身分の者が持つべきもの・・・・

売り買いしていいものではないのである。

もしも売り買いしていることがバレてしまうと・・・御用となってしまうであろう!!!


こんな危険な品物・・・誰も買い取らないよね!!

それこそ裏の世界でないと売れない・・・現金化はちょっと難しいかな・・・



しかし、だからといってこの皇宮に留まるのは無理だ!!

生活費のための現金調達に不安があるが・・・なんとかするしかない!! 行こう! 外の世界へ

アリスは自室を出て・・いざ!向かう・・・


◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇



王族たちの住まう宮殿地区、すなわちアリスのいる場所から皇宮大手門まで・・・かなりの距離がある。

人を迷わすラビリンス地区を避け安全な通路・・・別名、皇宮国道を通って1時間弱、

やっと皇宮正面に到達した。



ちなみに この皇宮国道と呼ばれる通路は幅が広く 人の行き来が多い。

国道といっても自動車とか自動者が走っているわけではないです!

あくまでも歩行通路である。


・・・この通路ですれ違うたびに アリスに対して下級官僚たちには頭を下げられるのだが・・

ある程度地位のある人物や貴族たちから・・・目をそらされ、見なかったことにされてしまっている。

相変わらず・・・アリスはいなかったことになってるらしい。



◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇




いつもながら巨大で仰々しい・・・威風堂々!! 圧倒的!!

帝国を象徴する皇宮大手門。

その門の前で・・アリスは立つ!!


木枯らしが吹き荒れ・・・暗雲が立ち込める。おまけに雷まで!!

「うちはやってきた。皇宮大手門よ! ここを抜ければ皇宮の外に出れる 」



そして・・・そのアリスに立ちはだかる数人の黒い影!!

そうである! 彼らは門番!

この皇宮の出入りを見守る防人たち! 

まんだら模様が目立つ羽織を着ており・・・実にかっこいい!!

おまけに浅葱色の羽織・・・幕末の京都かと勘違いしてしまうほどだ。


そんな門番がアリスに声をかけた。

「姫様!! ここから先にいってはなりません。皇宮の外に出てしまいます」


そうである! 当たり前だが・・もちろん止められたのであった!

「う・・うん そうだね」

アリスは笑顔で返事し・・すぐにかかとを返して・・・戻るふりをした。


門番には無視されなかったようである。

おそらく・・・アリスを無視せよとの通達は ある程度内情を知る者、または高い地位にある者に限られているのだろう。



アリスは少しだけ後ろを振り向き・・・彼ら門番を見た。

「もしかしたら・・・うちの存在などいないものとして・・簡単に出れるかなぁと期待したが 無理なのね

う~ん どうしたらいいのやら」



もちろん・・・門番に断られた程度で諦めはしない。

ここにいると・・・いずれ餓死してしまうのだ。

いやいや・・・もっとひどいことになるのではないか!?

物理的に抹殺される。

消される。融かされる。

アリスの背中に冷たい汗が流れた。



何か脱出方法はないのか!?


一応・・・オーソドックスな方法として・・・

夜霧に紛れて皇宮を脱出するとか!?

それとも物資運搬の荷物に紛れて脱出とか!?

地下道を掘る・・・凧を作って空から・・・

棒高跳びで壁を越える・・・



様々なことをあれこれを考えていると・・・フトッ! アリスは母親のことを思い出していた。

「お母さま・・・お母さまが・・なにか重要なことを言っていたような気がする」


なんだっけ!?

なにか大切なこと・・・大切なこと・・・

えっと・・・えっと・・・

まぁ~いいかな! そのうちきっと思い出すに違いない・・・なんて考えていたら思い出した!!


そう・・・お母さまの言ったあの言葉・・・


『困ったことになったら・・・これを使いなさい 』

母親ミリナがアリスに送ったこのドレス・・・

そのドレスの裏地に 母親は何かを仕込ませていたのだ。


「そうだわ! お母さまの・・・」


アリスは着用しているドレスを脱ぎ・・・・ストップ!!ストップ!!

ここは人が往来している皇宮の大手門である。

こんなとこで脱ぐなんて・・だめすぎる!

たとえ年齢が10歳でも はしたない、


それに・・門番も心配そうに こちらを見ている!

第4王女が一人で こんなとこにいると不安だろうね


そういうわけで・・・アリスはすぐに自室へと戻ったのであった。


行きに1時間かかったので・・帰りも1時間かかります!! ご苦労様!



自室に戻ったアリスは さっそくドレスを脱ぎ裏側を調べてみた。

軽く裏地を触ってみると・・・なにか小さく硬いものが入っていることに気付いた。

「これかな!?」


アリスはその硬いものを そっと触る。

「・・・えっ!?」


なにか声が聞こえる・・・だが 外部からの声ではない。

何かメッセージのようなものが 頭の中だけ聞こえるのである。

あきらかに違和感、不思議な状況・・・だが!!

アリスの目に涙がこぼれはじめた。



「お・・・お母さまの声だ!!」

頭の中で囁きかけるその言葉は 母親ミリナの声だったのである。

もちろん・・・アリスの周囲に母親はいない!!

声だけが聞こえるのだ。


「お母さまはどこにいるの!?」

アリスは声を出して尋ねるが・・・答えは返ってこない。

繰り返しメッセージが流れてくるだけであった。


『 アリス!! このドレスの使用方法を教えます・・・ドレスの裏地に仕込んであるダイヤルを・・・ 』




そのメッセージの内容から・・・アリスの愛用しているドレスには秘密があったのである。

母親ミリナが娘アリスに送ったこのドレス!! 母親の形見というべきこのドレス!!

・・・このドレスには、もしもの時の脱出用の魔法が 母親によって仕掛けられていたのであった。


「お母さま・・・ありがとう」

アリスはドレスの裏に仕込んでいる固い何かをさわった。

メッセージによると・・それはダイヤル型スイッチらしい。

慎重にゆっくりとダイヤルを回すと・・・愛用していたドレスが白く輝きだした。


「!?」

アリスは目を丸くして後ずさった。いったい何が起きたの!?


輝きは一瞬の出来事であり・・・すぐにおさまったようである。

そして・・・そのドレスはドレスではなくなっていた!!

形をかえ・・・あきらかに別の物体に変化したのだ。


そう!! メイド服に変形していたのである!!


アリスの着用していたドレスが・・メイド服になったのだ!

おそらくメイドに化けて脱出せよという事だろう・・


「面白いよ お母さま!」

アリスの心臓が高鳴る!!

うちのドレスにこんな秘密があるなんて!!

それにとんでもない魔法機能だ。

たぶん、このようなドレスは世界を探してもないだろう・・・



頭の中で囁く母親の声・・・すなわち母親からのメッセージには このメイドモードだけではなく他の服装にも変化するらしい。

アリスは再び・・メイド服の裏地のダイヤルを回した。


次は・・・一般庶民が着用してそうな服、次はパジャマ!?

次は、完全武装の鎧!? 次は・・・・ウェディングドレス、水着、着物・・・パンダぬいぐるみ


「色々なものに変化するのね!! あと・・ツッコミをいれたいのもあったけど」


アリスはさっそく・・・メイド姿となって、この皇宮からの脱出を図ろうとした時、

頭の中から別のメッセージが流れてきた。


『 アリス!! 安易に皇宮から逃げてはいけません! 皇宮からの脱出は最終手段です。

私はこの皇宮内の奥深くラビリンスにアリス専用の秘密の部屋を確保しました。アリスが成人するまで、その部屋で身を隠すのです 』


「え…!? お母さま・・別の部屋があるの!?」

アリスは 声を出して質問をしたが・・・もちろん返事はない。

近くに母親がいるのではないかという錯覚をしてしまったのである。


アリスの頭の中に囁きかける母親の声は この服に仕込んであるなんらかの魔法機能。

分かりやすく言えば・・録音した母親の声を再生しているのである。


こんな手の込んだ仕組みの衣装を 母親ミリナは娘のアリスを心配して送ったのだ。

もちろん・・・アリスは母親のメッセージに従った。

大好きな母親が言うのだから間違いない!!



アリスは・・・皇宮の外へ脱出するという計画を破棄し・・・

・・・新たなる目的地、母親が用意してくれたという秘密の部屋へと引っ越しすることにした。

おそらく・・・この部屋にいるよりはるかに安全であるはず・・・

なんたってこの帝国随一の魔導師である母親が用意してくれた部屋なのだから!!!










--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


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