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アリス! 明日に向かって走れ

本編の始まりだ~


アリスは貧しいのである!!

第4王女なのに貧しいのである。

お手軽価格のお食事処""峠の茶屋""にさえ お金がなくて食べに行けない。

王室から・・・生活費を貰っていないのである!!

そう!・・・アリス、すなわちアリスフィーナ姫はあたかも存在しないような扱いを受けていたのであった。


そんな扱いを受けた原因はアリスの母親のミリナ・・・

・・・ヴェイネス帝国皇帝ルティスの側妃という立場であるのだが 残念ながら彼女の出自は平民であった。

それ故に 皇室内におけるアリスの立場は大変弱く、有力貴族の後ろ盾がなかったのである。

そんな立場でありながら・・・アリスには別の意味で期待を持たれていた。



""アリスフィーナ姫には膨大な魔力と魔法の適正があるかもしれない!!""

帝国における期待の星になる可能性があったのだ。



それは何故か!?

アリスの母親であるミリナは・・・このヴェイネス帝国における最高の魔導師だったからである。

二つ名を・・・殲滅の女神


敵対勢力を丸ごと・・・魔獣集団を丸ごと・・・またはドラゴンを・・・殲滅させ抹殺させた恐るべき魔導師!

この帝国随一の最強戦力!! 国士無双! 傍若無人!! 最終兵器!! やりたい放題!!

そんな母親ミリナと皇帝ルティスの間に生まれたのがアリスだった。


そして・・・もちろんのこと、アリスは期待された。

母親並みの膨大な魔力と魔法の適性を・・・!!



だがしかし・・・アリスが4歳の時に受けた魔力検査で、衝撃的事実が判明した。

まさかの・・・・真実である。


----アリスには魔法の素質がなかった!! ----


つまり、攻撃魔法が使えない!

母親ミリナのような トンデモ魔導師になれないというわけである。



魔法には・・・4大元素として大きく4つのカテゴリーに振り分けられる。

それは火、水、風、土と呼ばれるものである。

それら4つのカテゴリー全て・・・マイナス要因だと判明したのであった。

ズバリ言うと・・・魔法が使えないということである!!



この事実を知らされた皇帝ルティスは愕然とした。

そして再び検査するように命じたが・・・答えは同じであった。

「・・・・期待してたのだがなぁ! 優秀な魔導師の血を王族に入れたかった」


この皇帝の発言に対して 母親のミリナは何も発しない。

ただし・・・落胆しているようには見えなかったのである。


魔法の4大元素とは・・魔導師の主流である攻撃系をつかさどるカテゴリーである。

このカテゴリーは あくまでも攻撃魔法を考えた時のカテゴリーであり、

戦闘以外の魔法を考慮に入れていない。

4大元素以外にも・・・一般的には知られていないが電磁、時空、精神、闇などの魔法が存在しており それなりに有用である。


アリスには4大元素の素養がないだけで・・・全ての魔法が使えないわけではない。

数多くあるカテゴリーのどれか一つに 適合するに違いないのである。


いや!! そんなことよりもアリスが特質すべき点は・・母親ゆずりの膨大な魔力量を引き継いでいることであり・・

もちろん母親ミリナも知っていた。



もしも逆に4大元素カテゴリー、つまり攻撃魔法の素養があることにされると・・・戦場のような危険な場所に送り出される可能性がでてしまう。

そんな危険な目にアリスを巻き込ませたくはない!!

そんな母の思いから アリスの適正がマイナス要因と判明して 一安心するのであった。


「アリスはこれでいいのです! 魔法なんて覚える必要はありません!」



◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇




母親ミリナが健在であったのなら・・アリスはある程度の立場を保つことができた。

帝国随一の最強戦力!! 国士無双!である""殲滅の女神""の娘として、皇室内で大事にされていたのだ。


だが・・・そんな幸せも短かった。

母親ミリナはこの帝国における最高戦力の魔導師・・・ 

・・・側妃でありながら 対外戦争、魔獣退治に駆り出されてしまう。

そして・・・ついに悲劇が起きた。

母親ミリナは 国をも滅ぼしかねない超巨大ドラゴンとの対戦中に行方不明となってしまったのである。



その時、アリスは10歳。

母親ミリナの悲報を聞き悲嘆にくれ・・数日間泣き続けたのだ。


そして・・・その頃からアリスの周辺で異変が起き始めたのである。

それまで 優しく接してくれていたメイドや執事の態度が悪くなりはじめたのだ。

・・・何かを尋ねても返事もなく無言、それどころか暴言を吐きアリスに辛くあたるようになった。 


まさに手の平返し!!

母親ミリナが行方不明になったとたん・・・扱いが酷くなったのである。


「王族に平民の血は必要ない」

「青い血が汚れる」

「魔法がつかえないくせに・・」

「汚れる・・・触るな! なぜここに平民がいるのだ」





王室内では母親ミリナへの風当たりが強かったようである。

しかし ミリナは帝国最強の魔導師・・・へたなことが出来なかった。

一説では・・・ミリナ一人で1万の兵に匹敵するとまで言われていたからである。


だが・・・その母親が居なくなってしまった以上・・・ミリナへの反発が娘のアリスに降りかかってきたのであった。

嫉妬なのか・・・恨みなのか・・・それとも王室伝統を破壊する異分子としてか!?

とにかく・・・アリスは邪魔者として徹底的に無視された。アリスという人物が存在しないかのように・・・


パーティなどの招待状なんてもちろん来ない。

国家行事の出席要請もない。

家庭教師も来なくなった・・・それはうれしい!



だが・・・時には物理的に殴りかかってくるような人物もいた。

それは・・レイルビット伯爵!!

辺境に領地を持つ領主・・・何かと評判の悪い男。


通路ですれ違った際、この男は周囲に人がいない事を確認したうえで

アリスの髪を引っ張った上で腹パンしてきたのだ。

完全な暴力行為である!!



子供ゆえにアリスの体重は軽く・・・簡単に吹き飛ばされ転倒、痛みのためうずくまってしまう。

・・・息ができない。

「はっ はっ~ うっ~」


そんなアリスを頭上から・・・にやけ顔で覗く伯爵。実に楽しげだ。

「ふん! ゴミだな・・ゴミ」

10歳のか弱き少女に対して このような惨い行為、 後ろめたさのかけらもないようである。

しかも・・・この後、アリスが誰かに この事を訴えかけたとしても 

誰も耳をかさないだろうと見越していた。



アリスは痛みをこらえつつ見上げた。

・・・奴の顔、レイルビット伯爵に対する殺意がこみ上げてくる。

「お母さまにさえ・・・腹パンされたことないのに!!」

奴を殺す! 一族ごと・・・いや!  奴の領地! その住民、一人残らず・・・

アリスの心の中におけるデス・リストの上位にレイルビットの名前が赤字で記された。



伯爵のように殴りかかってくる人物は僅かとはいえ・・・皆無だったわけではない。

もちろんアリスは危害を加えてきた者、全てをデス・リストに刻みこみ・・復讐を誓うのである。



このような数々の嫌がらせは・・・誰かの手引きによって 徹底的になされていたようであった。

いったい誰が首謀者なのかは推測で語るしかないが・・・

アリスの目には・・父親であるルティス皇帝の弟君、ユセル大公が怪しいと見ていた。

なんたって・・・母親ミリナを一番毛嫌いしていたからだ。




とにかく・・・これ以降、アリスは孤独な生活を強いられるようになる。


「誰も返事をしてくれない。誰もいない・・・無視されている!」


アリス付きメイドも執事も姿を現さなくなってしまったのだ。

・・・しかも アリスの自室から貴重品を盗んでいったようであり・・・貴金属品がなくなっていた。


「大変!どうしましょ~ お母さまの大切な指環とかネックレスが・・・」


母親ミリナが世界中のあちらこちらで見つけてきた危険で危ない呪われた遺物、

それらをいずれ解呪するために保管していたのだが・・・どうやら、それらを盗んだらしい。

おそらく・・呪われているとは知らなかったのだろう。


ちなみに・・・アリス付きのメイドや執事は全員、行方不明となり生死はいまだ不明、たぶん呪われたのかな!?



そういうわけで アリスは生活のすべてを自分でこなさなくてはならなくなったのである。

平民なら普通の事であるのだが・・・・部屋の掃除も風呂に入るのも・・服を着がえるのも・・自分ですることになった。






帝国随一という魔導力によって影響を及ばしていた母親ミリナの消失は・・

・・・またたくまに王室内でのアリスの立場が失われたというより・・立場そのものがなくなってしまった。


攻撃魔法が使えず、しかも平民の血が流れているアリスは・・ヴェイネス帝国の王族にふさわしくない。

高貴な血筋・・青い血を汚す姫だ!

そんな姫の存在を容認するわけにはいかない!!

アリスことアリスフィーナ姫は・・・王室内でいない者扱いされるようになってしまったのであった。



でも・・・アリスにとって少しありがたかった。

風呂や掃除など面倒ではあったが・・・それ以上にうっとおしい礼儀作法などのレッスンをしなくてもよくなったのである。

一日中・・・自分の好きな本など読んで ベットでゴロゴロできるお気楽な生活。

ほとんど部屋から出なくなったのであった。


真夜中まで起きていても文句は言われない。

朝どころか・・・昼まで寝ていても文句は言われない。

風呂とか洗濯はちょっと面倒だけどね!


ちなみに・・・アリスの部屋は風呂つきなので問題ないのであった。



◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇




ところが! ついに・・アリスにとって生命の危機になりかねない事態となってしまった。

たとえ無視されていたとしても・・アリスの自室前には 無言のまま料理を乗せたワゴンだけは置かれていた。

食事だけは提供するが・・アリスと直接接触しないというスタンスである。


だが・・・その食事さえ出されなくなった。


アリス・・ついに選択を迫られる。

このままでは餓死してしまうであろう。


というか・・・この皇宮から

今すぐ出ていけということなのか!?


アリスは手に拳をつくり・・・決断する。

よろしい! ならば出ていこう・・・出て行ってやろうじゃないの!!


このような場所、こちらから願いさげよ!!

アリス・・10歳にして旅立ちを決意する。







--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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