学園と聖女と王女様 その1
あのクーデター事件から・・・一ヶ月後。
首謀者であるユセル大公は 行方不明とされていたが・・・
・・・実のところ、ラビリンス地下20階の説教部屋で・・絶叫をあげながらの拷問中である。
そのため当分・・・行方不明扱いとされるであろう。
ついでにいうと・・・その説教部屋に一緒になって落ちていったナイフ伯爵は・・・殉職ということになっている。
ヴェーラ皇太子としては・・・ある種、裏稼業をしている伯爵が居なくなって・・わずかに安堵していた。
「あのような・・・裏の人間は私たち王家にとって汚点になりかねない!!
使い勝手もよかったが 元来・・・存在すべき者ではなかったのだ」
その他・・・ユセル大公に味方した貴族の大半は爵位の剥奪・・・領地の召し上げなど、重い罰を与えられたのである。
そして・・・このクーデター事件を陰ながら解決した・・・とある少女は世間的に全く知られてはいなかった。
・・・というか決して知られてはいけないのだ。
なんたって・・・クーデターの最中にドサクサまぎれに大暴れ・・"王座の間" を完膚なきまでに破壊し・・・宝石類を盗んだのだから!!
その上! ルーラー教の偽巫女となり 兵士たちから お布施を強要した容疑もかかっていたりする。
ついでに言うと・・迷いの森、いや~ん♪全裸事件の首謀者でもあった。
そう!この・・とある少女!
すなわち、アリスフィーナ姫ことアリスは まさに、叩けば埃がでまくる悪事のデパート!
まるで悪役のような彼女は・・・現在、とある場所に立っていた。
その場所とは・・・
・・デカデカと王立カールレン学園と書かれている巨大なアーチ型門前・・・
ここは皇宮内の施設の一つ・・・王立カールレン学園前であった。
アリスの父親であるルティス皇帝からの勧めもあり・・・この学院に来たのであった。
ハッキリ言ってしまえば・・アリスはあまり行きたくない!
魔導鍛錬用チェイサーによって 夢の中で20年分の教育を受けたのに なぜ今更!?という思いでもある。
あと・・・どうせ学園なんて、貴族間のグタグタ人間関係で大変な所だろうという予想もあった。
・・・とは言いつつ・・ちょっとぐらい学園体験して・・・いやならやめればいい程度に考えていたのである。
とりあえず・・・アリスの向かう先は・・公共施設である学園のため 今回の身だしなみはちゃんとしている。
王族としてのドレス衣装を久しぶりに着用しており
正式な王女・・アリスフィーナ姫バージョンの姿をしていたのであった。
今は昼間のせいか・・・学生の姿は見られない。
というか・・門前から見える風景は・・・森の中を通じる広々とした道しか見えないのである。
おそらく・・学園の本校は はるか向こうなのだろう。
とりあえず・・アリスは学園の門番に入学手続きができそうな所を聞いた。
アリスが向かう先は・・・・本校とは別方向の建物。
門番の話では・・・そこが事務所らしい。
アリスは・・・周囲の森を散策しながら・・・門番に聞いた小道を歩く。
陽射しが心地よい。快適な温度。この空気感・・・
・・・地下であるラビリンスでは味わえない感覚である。
小鳥のさえずりをBGMにして アリスは気分よく小道を歩く。
すると、なにやら人の声がしてきた。
女性の声が多数・・・しかも荒々しい声である。
もめごとだろう・・・もめごとに巻き込まれるのはごめんだ!
さっさとこの場を去ろうとすると・・
アリスの目前・・・目の鼻の先を何かが通り過ぎていった。
それは人の頭ほどの大きさの丸い塊であった。
そして・・その丸い物体が 近くの木の幹に衝突すると、
水風船がはじけるがこどく、水をばらまいた。
水球!?
おそらく魔法である。 水系統の魔法で、水の塊を撃ちだす魔法。
人に当たれば・・濡れネズミのように 水にしたたるいい女になる魔法でもあるw
「えっ!」
アリスは・・・水球が飛んできた方向を見ると・・
薄桜色のヘアカラーが特徴的な・・この学園の女生徒がこちらに向かって走って来たのだ。
しかも・・泣きながら・・・
そして・・アリスとその女生徒は ガール・ミーツ・ガールでガチンコした。
「いたーい」
「ご・ごめんなさーい・・いえ! 助けて!」
その少女は・・即座にアリスの背に隠れた。
何かのもめ事がしらないが・・・完璧に巻き込まれたのか!?
そう! 巻き込まれたのである。
アリスの目の前には・・・威圧感たっぷりの・・・この学園の制服を着た女生徒10人が立ちふさがっていた。
「聖女候補に選ばれただけで いい気になるんじゃないのよ!」
「平民の分際で聖女!? 笑わさないで」
「男たちに色仕掛けしていることは分かっているのよ! 特にエルレ王子に対してナレナレしいのは許せないわ」
「泥棒猫!」
「ソフィア!・・この学園から出ていけ!」
アリスの背にかくれ・・身を縮ませている少女はソフィアというらしい。
しかも聖女候補らしいが・・・アリスには聖女という聞きなれない役職名に首をかしげる。
・・・・というか 私を盾にして、わが身を守る少女がはたして聖女にふさわしいかという疑問もあるが・・・
10人の敵役たっぷりの女生徒と・・・縮こまり怯えるソフィアと言う名の少女・・・
そして・・そのど真ん中にはさまれるアリス。
「わ・・・わたしは・・・色仕掛けなんて・・・それに聖女なんて・・」
消え入りそうな声が・・アリスの背中から聞こえてくる。
それに・・そんな声ではあの敵役の女生徒たちには聞こえないですよ!!
== 貴族の女子軍団 VS 平民のくせに聖女一人 ==
よくありそうな学園物語の一場面から退避するため・・アリスはそそくさとその場から離れることにした。
カニ歩きのように・・・横へとスライドしてもめ事から避けようとしたら・・・足をつかまれた。
なんと両手でがっしりと挟み込んできた。
そう! 聖女候補らしい・・ソフィアが泣きながら・・・アリスの足にしがみつく。
もはや・・聖女候補というより・・子泣き爺
でもこの子泣き爺・・・けっこう大人の雰囲気をだした美人だ・・・アリスとはベクトルが違う少女である。
なるほど・・・この雰囲気で男性を誘惑したのだな!!
ちょっと不機嫌になるアリス。
ロリロリなアリスにとって・・・ものすごく羨ましい!!
「ちょっと・・・離してください!!」
「いや~ 助けて~ いかないで 捨てないで~」
危機迫ったソフィアの顔に・・・アリスは思わず恐怖した。
というか・・知り合いでもない見知らぬ王女に助けを求めないでくれ!!
そんなグタグタの中・・・敵役のたぶん貴族女子軍団の一人がアリスに指刺してきた。
アリスの姿は・・上級階級が身に着けるに十分なドレス姿なのだが・・・
ここにいる貴族女子軍団にとっては・・流行おくれのお粗末なドレス。
流行おくれのドレスを身に着けているようでは・・・貴族ではなく平民であろうと予想したのであろう。
間違っても・・王女であるなどとは思わなかったのである!
「その姿~ あなた、平民ですね! まぁいいでしょ!
匿っているそこの女をさっさと差し出して立ち去りなさい!」
「そこの子泣き爺もどきも大概だが・・あなたたちも 大変失礼ですね!」
アリスも負けずに指さす・・・・完全にこの争いに巻き込まれ・・戦闘態勢にはいった。
「ふん! だから知能の低い平民はだめなのよね。
仕方がないわ 教えてあげる! わたくしはティオニアス公爵家のゼノルビア!
この帝国を支える公爵家・・・あなたのような平民など ひとひねりなのよ」
高らかに宣言したその女生徒・・・アリスに目前に並ぶ敵役の女生徒の中で・・・
・・・・一番よく目立つ金髪の縦ロール、それに着用している学生服も他の生徒と違い質がよさそうだ。
だが・・・アリスは首をひねる。
「ティオニアス公爵!? そんな公爵家・・あったかな」
貴族関連の知識が乏しいアリスとはいえ・・この発言に ゼノルビアは怒りを爆発させてしまった。
ティオニアス公爵家を馬鹿にされたのだ!!
「だから・・・平民はだめなのよ! この帝国を支える名門のティオニアス家
知らないの!? 知らないの!? 勉強不足もいいとこね!!
しかたがないわねぇ! そんな・・貧相でお粗末なドレスを着てるようじゃ・・頭も空っぽ!!」
「な・・・なぁ・・うちのドレスを・・・このドレスはお母さまの形見・・・」
アリスは・・・お母さまがくれたドレスを貶され・・・カチンときた!
たしかに このドレスの意匠は古い・・・5年以上前のドレスだから仕方がない。
そのかわり・・・魔法が仕込まれており形体が変形する国宝級の魔道具でもあるのだ。
だが・・アリスにとってそんなことはどうでもいい・・・お母さまからくれたドレスを貶された方が問題だった。
だが・・・その上・・・ゼノルビアは言ってはならない言葉をかぶせてきた。
「お母さま・・だって!! ほっほほ・・・所詮、平民! 娘にその程度のドレスしか送れなかったなんて・・・笑っちゃうよね」
つられて・・周りの貴族女子軍団も「ほっほほ」と笑う。
すると・・・
アリスの顔が・・・真っ青になっていく・・
「お、お母さま・・・」
そう! お母さまを平民出といって馬鹿にした貴族たち・・・
平民出といって・・・
きっとこのゼノルビアとかいう女の親・・
・・・ティオニアス公爵も きっとお母さまを平民出と言ってさけずんだに違いない。
アリスの心の中のデス・リストに記載されていない貴族の名前だが・・・とりあえず抹殺適用者と認識した。
「許せない!」
アリスの精神の糸が切れた。
ついにサイコパスに変貌したのだ。
アリスは目前の生徒たちを凝視した・・・殺意を宿した目で!
ついに始まった!
血の雨の地獄!
学園は血の粛清におおわれる!!
アリスの周囲は・・・赤い霧につつまれた。
それはそれは・・・・まるで人の血のごとく・・・
そして・・・その霧がはれたとき・・・そこにはアリスが一人だけが立っていた。
「・・・やってしまった! うちはとりかえしのつかないことを!・・・・でも まぁいいよね この程度」
アリスは過去を振り向かない!! 振り向くなアリス!
アリスは・・・目の前の貴族の女生徒たち・・・
ついでに足にしがみつく・・・子泣き爺もどきの聖女候補ごと・・まとめて時空転移でとばしたのであった。
ラビリンスの奥深く地下5階の広場・・・兵士たちの下着が散乱しているあの地点へと転移させたのであった。
そして、転移させられた女生徒たちは 兵士たちの下着から臭ってくるあまりの悪臭に絶叫するのである。
「きゃぁ~ なにここは」
「く・・・くさいわぁ くさすぎる」
「ここは・・・あっあああ~」
「や・・やめて~えっっっ」
悪臭濃度100%・・・気絶寸前のトンデモ悪臭危険地帯!?
アリス! 渾身の仕返し。
ついでに聖女候補も巻き込んで地獄に叩きこむ!
ちなみに この女生徒たちは・・・ラビリンスの安全装置によって6時間後には・・無事に迷いの森へと転移することが出来た。
だが・・・ここで問題が発生したのだ。
聖女候補のソフィアを虐めていた・・貴族の女子たちはラビリンスで6時間、滞在してしまったため、
追試試験を受けることが出来ず・・・学年を進級できなかったのである。
一年間・・・やりなおしてね!
ようするに・・・本試験で点数を落とし・・追試試験をするような成績不良のダメな貴族生徒は
平民出であり優秀なソフィアに嫉妬したあげくにイジメまくり・・・
ついでに王女のアリスフィーナにまで喧嘩を吹っ掛けたため 追試試験にいけず・・・めでたく落第したのであったw
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




