王族対決・アリス戦記
== 戒厳令中にも関わらずメイド少女が皇宮内を走り回っている。ただちに捕縛せよ! ==
命令を受けた十数人の兵士たちが・・・通路をひた走るアリスの前に立ちはだかったのである。
そして戦闘の開始・・・
爆音、怒号、叫び、悲鳴が皇宮通路をこだました。
これは夢なのか!? こんなことが可能なのか!?
まるで木の葉のように 兵士たちが吹き飛ばされていた。
「どわぁぁぁあ」
「ぐわぁぁぁぁ」
「や・・やばい! あのメイド! やばいぞ!!」
「ば・・・化け物!」
「にゃはははははは~ 無駄無駄無駄!」
空中を舞いちる兵士の中を 高笑いしながら中央突破していくメイド姿の少女。
もちろん・・・この少女はアリス!
アリスの天下無双伝説のはじまりだぁぁ
島津の退き口を彷彿させるような戦いが展開されていく。
立ちふさがる敵など重力波で粉砕だ。
「アリス隼人とは うちのことよ!!」
ズドドドゥゥぅ―ン
ドカーン
バシャ―ン コロコロコロ・・・
兵士たちが次々と吹き飛ばされていく・・アリスの歩みは止まらない。
だが・・・兵士たちも 手をこまねいて 見ているだけではないのだ!
「単独で あの少女と対峙するな! 包囲して足止めするのだ。
あの少女の足が止まった時、魔導師部隊で直撃を加えろ」
クーデター軍は・・・その数と組織力を活かし・・・反撃が始まった。
・・・だが、圧倒的有利なのは 依然としてアリスである。
アリスには脳内ナビがあるのだ。
周辺地域から集まってくる兵士たちは・・・アリスの脳内ナビで赤く点滅し・・・
どの方向からどの通路を通ってきているのか・・即座に判明するのだ。
そして・・・アリスは気づいた。
敵はどうやら・・うちを包囲するつもりね!!
あまい あまい! 甘酒なみにあまい!
そんなにうまくいかないわよ!
アリスは・・・包囲されないようにしながら、守りの少ない通路を選んで突破していく。
もちろん! 敵兵を見かけたら吹き飛ばす。
少しでも数を減らすのだ。
ただし、決して大人数を相手しない! 重力波で蹴散らせる程度の相手のみ戦うのである!!
これぞ! 各個撃破作戦・・・・脳内ナビというチート性能を使い・・・数的有利な敵を倒すのだ!!
ズズズッズズズ・・・
「ぐぅぁぁぁぁ」
「ぎゃぁぁぁ」
「あのメイド女はいったい!?」
「魔導師部隊が壊滅した! あの女! 無詠唱魔法を使っているぞ」
「だめだ! 食い止めきれない」
かなり強い魔力波動の動向に気付いたアリスは・・そちら方向へ向かってとりあえず重力波の乱れ撃ちをした。
うん! なんとなく危険を感じたのだ。
やらないとやられるという予感。
アリスはその予感に応じて・・・乱れ撃ちをしたのだ。
重力波の三弾撃ちである!!
無数の重力波の弾頭が まるで壁のように・・・あるいは塗り壁のように・・クーデター兵士たちに向かって飛翔していった。
ドっドドド~ ずとぅぅん!
遥か向こうで白い煙が吹きあがる!
アリスにとって・・・なにが起きたのか分からないが・・・・とりあえず敵を撃破したという手ごたえはあった。
「よし! 状況終了・・・次なる作戦に移行する」
重力波三弾撃ちによって・・・クーデター軍の切り札、魔導師部隊がほぼ壊滅した。
魔導師部隊は・・・あのメイド少女からの先制攻撃によって反撃もままならず
一方的に吹き飛ばされてしまい、壁にめり込んでしまったのだ。
魔導師たちによる 血みどろ壁画の出来上がりである。
「ひ・・ひどい! あの女は・・・!!」
「 強すぎる!! まずいぞ! ユセル大公閣下にだけは近づかせるな 絶対近づかせるな 必ず殺せ!」
時より聞こえてくる兵士たちの会話から・・・・そうとう慌てていることにアリスは気づいた。
それに・・この兵士たちは弱すぎる。
皇宮の近衛兵じゃないと・・・こんなに弱いのかと考えたが、
近衛兵は・・・こんな兵士に負けてしまい、宮殿を占領されてしまっているのだ!!
・・・ということは この兵士たちもある程度強いはずだよね!?
でも うちはわりと簡単に兵士を吹き飛ばしている!!
そうなると・・・うちって強い!?
いやいや、油断は禁物だ!!
ようするに うちは敵が攻撃する前に先制攻撃している。
互角に対峙したらおそらく負ける!!
特に・・・純粋な腕力勝負だと・・・まちがいなく負けるよね。
そう!・・・接近戦に持ち込まれないように 重力波で圧倒するのだ。
うちの魔導力は強力。
昔のように無能者と呼ばれたころとは違うのだ。
それになによりも有利なのは・・・脳内ナビ!!
敵兵士の位置をたえず確認できる。
油断さえしなければ 捕まらない・・・そして アウトレンジ攻撃で相手を簡単に粉砕できる。
もし・・・上手くいかなかったなら 皇宮ラビリンスの奥深くに時空転移すればいい。
そうすれば・・・どんな敵だって追いかけてこれない!!
勝てる! 勝てるぞ! よし! 復讐を始めよう・・・
アリスは脳内ナビを使い 付近の地図を拡大していく・・・
皇宮全体の拡大地図の中で・・・赤い点が多数集まっているところこそ・・・敵の本拠地!
すなわち・・・ユセル大公の居場所
アリスは脳内ナビで・・・赤点が多く集まっている地点を発見した。
「見つけた!! うちの敵はそこにあり!」
アリスは・・・目的地をターゲットロックした。
そして・・・走る!!
メイドスカートをたなびかせながら・・・アリスは走った!!
立ちはだかる兵士たちを重力波で吹き飛ばしながら・・・敵本拠地に向けて進む。
基本的戦法は・・・敵の兵士に囲まれない。
囲まれる前に突破しつづけるのだ。
皇宮内では・・引き続き、重力波の振動と兵士たちの悲鳴が鳴り響く・・のであった。
ユセル大公側の兵士たちも・・皇宮内をかけめぐるメイド少女の補足に失敗しつづけていた。
クーデター軍は当初・・・1万名はいたのだが・・
・・・ユセル大公の指示により 皇宮の奥深く・・大深度ラビリンスへ逃げ込んだ皇帝を追跡するため
次々と騎士や兵士を送り込み続けてしまった。
隊長ゲルラに5000
次にナイフ伯爵に2500
その後、追加の兵を送り続けた結果。
ユセル大公が動かせる手元の兵力は五百を切ってしまっていたのであった。
広大な皇宮内で 走り回るメイド少女をたった五百人で追いかけるには・・・あまりにも無理すぎた。
現実問題として・・・五百人、総出で追いかけるわけにもいかず・・実質百名ほどで追跡しているのが実情である。
「まだ つかまらないのか!」
「あの少女・・・かなりの上級魔導師だ!」
「あんな魔法・・・見たことない!」
アリスを追跡する兵士たちの絶望ともいえる発言。
実際・・・一般の兵士ではアリスを捕えるのは無理すぎた。
次々と兵士たちを突破していき・・・アリスはターゲットとした地点へと到着する。
「敵・・・ユセル大公は・・・あのドアの向こう」
通路を駆け走るアリスの目の前に重厚なドアが出現した。
よし! 特大の魔法を撃ちこむ!!
アリスは両手を大きく広げると 目の前の空間がゆがみだし・・・黒い何かが浮かび上がり始めた。
それは・・・まるでブラックホールのような禍々しさであった。
「超重力弾・・・セット!・・・重力圧縮・・・ターゲットオープン・・・出力100%・・・耐重力バリア確認」
その黒い・・何かは・・槍のような形に変化していく・・・そしてその槍先には ターゲットとなる重厚なドア!
「超重力弾! 発射」
轟音が鳴り響き・・白い蒸気と巨大な旋風が通路をひた走る。
視界が真っ白でなにも見えない・・・そんな白い霧の中から 発射の衝撃で尻もちをついた少女の姿が確認できた。
その少女とは・・・もちろんアリス。
アリスの目は・・・完全に勝ち誇った目をしていた。
超重力弾と呼ばれる・・・巨大な質量をもった槍が重厚なドアを破壊し・・・その向こうがわの部屋をも破壊したのだ。
尻もちをついたアリスは立ち上がり・・・すぐに部屋へと入った!!
そして・・・アリスが見た・・・
超重力弾によって吹き飛ばされた兵士たちが 全員、床や壁に叩きつけられていたのである。
アリスの目的・・・ターゲットは そんな雑魚兵士ではない!
宿敵!! ユセル大公
ユセル大公への仕返し。
アリスは部屋を見渡したが・・そこにユセル大公がいない!
なぜだ!? 本拠地に大公がいない!?
逃げられたのか!?
アリスはあらためて・・・・床を見ると 倒れて呻いている兵士たちがいた。
・・・そして、散乱した食べ物が散らばっている。
肉やスープ、あと野菜やらなにやらが・・・床や壁にこびりついていたのである。
「ここって・・・もしかして、兵士たちの食堂なの!?」
よく見ると・・・部屋のすみっこ・・・超重力弾の被害を受けていないカウンターのようなところで・・
おびえた顔をしたおばさんが鍋をもちながら・・・呆然と立っていた。
うん! あのおばさん・・・この食堂の調理の人だよね。
とりあえず・・・一般の人が被害を受けてなくてよかった。
アリスは そのおばさんに笑顔とサムズアップを送り・・・即座にその場を去った。
脳内ナビで・・赤い点が集まっているからといって本拠地とは限らないのだ!!
うん! 間違いは誰にもある・・・・ユセル大公は他の場所にいるのだ。
いったいどこに!?
アリスによる食堂襲撃爆破事件によって・・・ユセル大公の兵力は・・・約半分の300人にまで減ってしまった。
とんでもない事態である。
そして・・すぐにその知らせは 王座の間にいるユセル大公へともたらされた。
「ヤバイ! すでに皇太子軍は皇宮内に入りこみ・・・奇襲攻撃を仕掛けたに違いない
おそらく・・・皇太子は数千の兵力を投入した可能性がある」
食堂の爆破を皇太子軍の襲撃だと勘違いしたユセル大公は・・・すでに逃げ腰になっていた。
大公の率いた兵力の大半が・・・皇宮ラビリンスに飲み込まれ・・帰ってきていない。連絡もない。
このままでは・・・ヴェーラ皇太子軍に補足されたあげくに・・・俺は殺される!!
「に・・・逃げるぞ! 俺はこんなところで死ぬわけにはいかない」
ユセル大公は残り少ない側近と・・・数人の騎士をともなって玉座の間の扉を開けた時・・・
・・・そこに見なれない少女がいた。
そう! ユセル大公はアリスと鉢合わせしてしまったのだ!
そして・・アリスも驚いた。
黒マントに黒衣装、黒帽子に目元だけ隠す黒マスク・・・実に中二病的人物
間違いない! こんな痛い人物は叔父にあたるユセル大公しか思いつかないのだ!
そう!
ついにアリスは伯父を発見したのだ
中二病心をくすぐる格好をしたユセル大公!!
そんな伯父を・・・アリスは睨み・・・ そして! ハタと気が付いた。
「うちも・・・あんな格好をしたい」
アリスも・・また同じく、痛い中二病だったのである。
年齢的に・・・そんなことをしたがる年頃なのだが・・
アリスは・・すぐに・・メイド服の裏地にあるダイヤルを回した。
アリスの着用している服は 母親から貰った変形ドレスであり・・・即座に形体をかえることができる。
アリスは・・・光に包まれ変身したのであった。
「正義・・・この世に正義がある限り・・・正義の味方は現れる・・正義に変わって仕返しよ!」
アリス・・・おもわずアニメ的なセリフを適当に言い放った。
とりあえず・・・仕返しは正義らしい!
ユセル大公の目の前に現れたのは・・・赤いマントに赤い衣装・・・赤いスカートに目元だけかくす赤いマスク。
「レッドレディ・・・ここにて参上」
身体をクルクルと回し・・・空中浮遊魔法を駆使した・・・アニメ的ポーズを演技していた。
あげくに・・・BGM的なものまで口ずさんでいたのであった。
アリスは・・・実に嬉し気な顔をしながら 中二病にひたっていたのである。
「なんだ・・・この変な少女は!?」
ユセル大公は・・・思わず叫んだが・・・
・・・実際の話、ユセル大公も同じような恰好をしてたりしている。
大公はおそらく 自分のへんな恰好には気付いてないのだろう。
ちなみに 側近は なんとか笑いを堪えている。
どちらにしろ この王族二人は・・・やはり遺伝子的に近い間柄であった。
それよりも・・・ユセル大公は・・・この少女の顔・・・どこかで見たような気もしていた。
誰だったか思いだそうとしても思い出せない。
この5年間・・・姿をあまり現していないアリスは・・・第四王女として忘れ去られていたのである。
ユセル大公の側でひかえる側近や騎士は・・目前の少女にとまどっていた。
大公の指示さえあれば いつでも攻撃できるように とりあえず鞘に手をかけている。
ユセル大公は・・目前の少女を見て・・しばし沈黙がはいった。
たしかに・・あの少女はおかしすぎると同時に・・・自分と同じ何かを感じた!
それとは反対に・・危険な何かも感じたのだ。
それは違和感・・・なにか普通と違う違和感なのだ!!
「この少女の雰囲気・・・あの女・・ミリナ! あの女魔導師と似ている・・・まるで本人!?
まさか!? 生きていたのか!? だが年齢が違う!
どちらにしろ・・・ この少女・・・普通の魔導師ではない! 危険な匂いがする」
ユセル大公は 一流とは言えなくても・・・それなりの魔道師である。
・・目の前の変な演技をしている少女の異常性・・・
・・・そして かつて帝国最強と言われたアリスの母親、ミリナ側妃との共通性を感じたのだ。
「いかん! この少女は危険だ・・・・逃げるぞ」
ユセル大公は かかとを返すと素早く・・玉座の間へ逃げ入った。
玉座の間の出入り口は・・・この扉だけではないのだ。
他にもいくつかの扉がある。
とにかく・・・この危険な少女から一刻もはやく逃れるのだ。
"逃げろ"の発言で戸惑う側近や騎士たちだったが・・すぐさま大公の後を追った。
・・もちろん、玉座の間の扉を閉めることは忘れない。
一方・・・アリスは、すこし演技に夢中になってしまい・・・ユセル大公の動きを見逃してしまっていた。
気が付いた時には・・・玉座の間の扉が再び閉まっていたのである。
「ちょっと・・・逃げるなぁ!!」
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




