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必殺・裏稼業  作者: Taylor raw
横綱仕置
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汚い相撲

 支度部屋に入り、水筒を口にする張天山に付き人の多賀崎は会釈し、そろそろ取り組みの時間であることを告げる。


「横綱、時間です」


 機嫌が悪そうに立ち上がった張天山は着物を脱ぐと花道へと向かう。


「ふん、土俵を賑わせてる奴がおるようじゃのう」


 恐る恐ると言った体で湧く観衆の声を聞きながら多賀崎は答える。


「……はい 伏虎がやはり強いようで」


 花道に出ると観衆達が多いに沸いている。

 何番か前に伏虎が華麗な技で沸かせた熱狂はまだ冷めやまないようだ。


「ほう、明日からはヤツの取り組みを見ておく」


 そう言う横綱の背中に背筋に寒気を覚えながら、多賀崎は頭の中で算盤を弾く。

 伏虎は強い。

 この場所で一敗でもしてくれるだろうか。

 ……もし伏虎が強すぎれば


 腹の中で覚悟を決めながら多賀崎は頷く。


「……はい」




 観衆は花道を進む張天山を見ると様々な反応を見せる。

 この力士ほど評価に明暗が分かれる力士は居ないだろう。


「お、出てきた! 悪たれ張天山だ」


「チッ! 嫌いだが毎年安定して優勝しやがるから賭け札買っちまったぜ」


「俺はあいつの汚ねえ取り組みも好きだがな」



 土俵に上がり四股を踏みながら、張天山は舌を鳴らす。


「……ふん 相変わらずうるせえ奴らだ」


 二人の力士が出揃い、行司が間に入って仕切りが始まった。


「東ぃーー! 三角山部屋! 横綱! 張天山〜〜〜‼︎」


「西ぃぃーー! 山川部屋! 前頭三枚目! 塩谷〜〜〜!」


 初日の張天山の相手は若手の塩谷である。

 はっきり言って八百長を使うまでもない相手だ。


 沸いていた観衆がしん、と静まり返りその時を待つ。

 二人の力士の見えない闘気がぶつかり合うように揺らいだ気がした。


「見合って、見合って! はっけよーい……!」


 緊張の一瞬、二人の力士が開始線に拳をつけた瞬間、それは始まる。


「のこった‼︎」


 行司の合図とともに塩谷は一気に懐に飛び込もうとした。

 しかし、次の瞬間、顎に激しい衝撃を受け、塩谷の景色が揺らぐ。


「うぐっ⁉︎」


 張天山の肘が塩谷の顎をかちあげたのだった。

 脳を揺らされ、動きの止まった塩谷の廻しを掴み張天山は上手に振りかぶる。


「こなくそが……!」


 そうして、勢いよく塩谷を土俵の下へと投げ飛ばした。

 行司が軍配を張天山に上げ、勝ち名乗りを決める。


「張天山〜〜〜‼︎」


 確かに張天山は強い。

 しかし、これはとても褒められた相撲ではなかった。


 観衆は騒めき、今の取り組みをある者は検証し、ある者は呆れてため息をついた。


「おいおい、肘からかちあげやがったぜ⁈」


「相変わらず汚ねえ相撲をとりやがる……」


 土俵の上で多賀崎から水を受け取り、張天山は観衆を見下ろすように密かに唾を吐く。


「フン! なんぼのもんじゃい……!」

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― 新着の感想 ―
[一言] 横綱相撲とは言い難いですね。
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