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死を殺す男-7-

『吸血鬼殺し編』最終回です。

 休戦協定を結ぶにあたって、|式折々は橘にどうしても伝えなければならない情報があった。


「『吸血鬼殺し』について?」

「そうです」


 式が首肯した。

 (たちばな)が提げたドッグケースの中のモアの表情は、その晴天とは裏腹に曇り空である。

 ちなみにドッグケースは、陽光を避けるための雀の提案だった。


「やっぱり、モアは遊園地で待ってた方が……」

「これはボクの運命だ。それに……もう腹はくくったよ」


 一夜明け、一行は魔法使いの末裔(まつえい)の招集で西区の式邸にやってきた。

 高い塀に囲まれた築百年は経過しているであろうかという邸宅を前にした橘の最初の反応は、ほー……という()め息。

 玄関と思われる太い門柱には『式』と書かれた表札、そして無数の監視カメラ。

 それは見上げる者を氷結させる圧倒的な威圧感。さすがこの街を影で支配していると言われている一族の本家。


 池付き雑木林付きの庭園を進みながら、セーラー服の魔法使いの末裔は一行の先頭で続けた。


「吸血鬼の天敵、化物が恐れるべき死殺しカウンター・オブ・チェイン……その実態は、あなたと同じ呪いを受けし人間です。()()()()さん?」

「彼が、僕と同じ……?」

「同じ、と言えば、その表現は正しくはありませんが。彼が背負う罪は、タチバナさんとは()()()にありますから」

「どういう……?」

「ボクから話すよ、タチバナ」


 モアだった。慣れない籠で窮屈ではないか、揺られて酔ってはいないか心配している矢先で……会話が可能なことは橘だけでなく、式にとっても僥倖(ぎょうこう)だった。

 おしゃべりできる分、このまま彼と引き合わせてもよさそうだ、と。


「タチバナはボク……吸血鬼を助けたことで呪いにかかって、家族と離ればなれになっただろ……? 奴は……『吸血鬼殺し』は人だった時、君と全く逆のことを吸血鬼にしたんだ」


 ……なぜ?

 モアが言わんとしている彼の『罪』を知った橘は純粋にそう思った。


 手段にではない。

 彼をそこまで駆り立てた理由にこそ橘は(おのの)いた。

 

「彼は、どうして吸血鬼を殺さなければならなかったんだ……?」

「人が吸血鬼に勝てる確立は、星が()ちるよりも少ない。吸血鬼には鋼も鉛も通用しないからね。けれど、大切な人のためなら、それがどれだけ望みのない希望でも人は叶えようとする。彼の場合は、吸血鬼に殺された母親のためだった」


『第一の始祖』から受け継いだ記憶によると、彼の母を殺したのは『第十三の始祖』だった。街を丸ごと吸血鬼の都市に変え、(ただ)ひとり趣味で人を殺した吸血鬼である。

 十三番目の始祖が『吸血鬼殺し』に滅ぼされ、何世紀にも(わた)って全盛期だった人()い鬼は絶滅の道を進むことになる。


 自然界では、子どもをライオンに殺された牛は群れ総出で復讐に赴くらしい。

 しかし人は、牛ではない。シマウマだ。ただ逃げ惑い、殺され、喰われなければならない。

 自然の摂理には逆らえない。


 (ことわり)から外れれば、必ず報いがある。


「吸血鬼を一匹でも()()()しまったら、それはもう、獲物じゃない。そんなイレギュラーを世界(ルール)は許さない。復讐者が最初に取り上げられるもの……それは、水だ」


 吸血鬼の血に濡れた者は、血によってしか喉を潤すことができない。肉を引き裂いた者は〈(オニ)〉肉でしか腹を満たすことができない。


 人でなくて、人である。

 吸血鬼のようで、吸血鬼ではない。

 老いず、眠らず、吸血鬼に復讐し喰い殺し続けるためだけに存在する……させられている怪物(ひと)


「……()じ気づいたかい?」


 口角を上げるモア。話し終えたその口調は苦笑していた。


 同情はした。同じ前科を持つ者として。

 大事な人を奪われれば、復讐したいと思う感情はごく自然だった。正常だった。シマウマだって、人と同じくらい賢ければ、その(ひづめ)でライオンを踏み殺そうとする。

 世界は吸血鬼ではなく、吸血鬼を殺した者こそ罪があるとする。

 復讐は連鎖するというけれど、その慣用句は正しかった。


「冗談」


 橘一誠は一蹴した。

 なにがあってもモアを助ける。誰が相手でも、それがたとえ吸血鬼を食べて生きる熊のように大きくガチムチで無茶苦茶な大男でも。


「そろそろです」


 隣街分ほどはあろうかという庭園を抜け玄関へ。掃除が行き届きビカビカに美化された玄関もこれまた広かった。ここだけで家族三人が生活できるほどの規模だった。


「式くん、あれは……?」


 先頭を行く式に橘は指を差して問うた。廊下に並ぶ戸はほとんどが(ふすま)か木造にも関わらず、橘の目に留まったそれだけが頑丈な鉄でできていたからだ。


「地下に続く階段です。この下に式の部屋があります」

「……」


 いつになくそっけなく応える式に、近寄りがたい気迫を感じる(たちばな)だった。


 もう驚くことはないと思っていたけれど、改めて式という人物がより一層(わか)らなくなる。豪奢な屋敷で召使いと共に暮らす高校生。だが本人の部屋は地下の穴蔵だと平然と応える。

 ここで問いただしても、いつもの調子で肩に透かされるだけだった。


「ボクらとどこに案内する気だい?」


 およそ五分廊下を歩いた辺りでモアは警戒気味に式に尋ねた。


「おばあちゃん……式家の当主様に会っていただきます。お二人に挨拶したいんだとか」


 式家の現当主。(しき)折々(おりおり)の祖母。


 ……これほどまでの巨城に住む人が、こんなおじさんに一体なんの用事だろう。

 橘の警戒値(ハザードレベル)はピークに達していた。


「ここが当主の部屋です」


 そう言って式は襖を開いた。ぱあん、と平然と。

 当主の御前に謁見するには、あまりにも不作法であり、不敬だった。


 部屋、と式は言ったけど、そこは部屋の域を超えていた。

 四方を囲む襖に描かれた日本画は芸術とは無縁な橘にも高価であることが一瞬で理解した。

 座敷は宴会場もの広さがあった。()()()といってもいい。ほのかに香る畳のい草は上質で陽の光で小金に輝いていた。

 敷かれた寝床の掛布団はめくれ、いるべきはずの中身はなかった。


「ようこそ、おいでくださいました」


 京言葉の(なま)りがある優雅な一言。

 縁側に腰かけ景色を眺め、一行の気配に振り返ったのは着物姿の老女だった。とても影でこの街を支配しているとは思えない質素な紫の寝間着の、やわらかく微笑む。


 だが油断は禁物。

 式の口癖を借りるなら、人を見た目で判断してはいけない。


「この家の現在の当主、式静可(しずか)と申します。橘様とモア様、お二人の噂は式さんから拝見して、一度お目にかかりたいと思っておりました」


 手をついて頭を下げられるので、思わず橘もお辞儀を返してしまった。


「ちょっとぉ、タチバナさんが困惑してるじゃないですかぁ」

「あらあら、怖がらせちゃったわねえ」


 (おび)えた橘を面白がって笑い合う二人の式。

 そんな二人を前に橘はさらに悲鳴を上げた。


 静可に近付いた折々が、着物に手を突っ込み、その乳房をもみほぐし出したのだ。


「ちょっ、なにしてるの!?」

「どうしたんですかタチバナさん、そんなに慌てて」


 きょとんと丸い目をさせる折々は、なおもその手を止めなかった。

 もみもみ、くりくり、ぽよぽよ……。


「橘様は愉快な御方ですこと」


 対する静可は、孫の手を撫でながら呑気にそんなことを言う。首を回せないモアは目を動かしながら橘同様に赤面し、雀は呆れたように感嘆の溜め息を吐いた。


「おばあちゃんと孫のスキンシップがそんなにもおかしいですか? ……あっ、また少し大きくなりましたか?」

「ひゃっ!? そういう式さんは、前より手際が雑になったんやないの」


 おかしい。そうこの場で即答できればどれだけ気が楽だったか。

 静可と折々の戯れは、祖母と孫と呼ぶには、あまりにも熱々(しんみつ)過ぎた。



「はあ……坊ちゃん、静可様。客人がお待ちです」

「そうだったわね。ありがとう、式さん、雀ちゃん」

「でしたね……ああそうだ。これ」

「……これは?」


 式が祖母に被せたのは、ヘッドホン型のノイズキャンセリングだった。


「これでぐっすり眠れます。それじゃあ行きましょうか」


 雀に急かされ一行が部屋を後にしようとした、その時。


「橘様、モア様」


 静可に呼び止められ、橘は振り返った。

 灰色の瞳に映る一人、そして彼の連れた小さな〈(オニ)〉。


「もうご存知かもしれませんが、あの人は気難しくて。大雑把で、肝心なことはなにひとつ言ってくれない。世捨て人を気取るくせに、でも……頼まれてないのに誰かを助けてしまう。苦労するでしょう、いっしょにいると」

「え、ええ……」

「ずいぶん待ったけど、それだけは結局直らなかった……。友だち少ないから、これからも……わたしの代わりに式さんをよろしくおねがいします」


 両手をついて頭を下げる静可。

 

 彼女の心意……式家の因縁にまつわる真実を橘一誠とモアが知るのは、今この時ではなかった。


「……はい」


 橘はそう返事するしかなかった。()()


+++


 会議の席は、陽当たりから一番遠い座敷に設けられることとなった。

 モアもだったが、吸血鬼(ヴァンパイア)の血肉を取り込んでいる『吸血鬼殺し』も紫外線への耐性を焼かれるほどではないが少しばかり失っている。


 対話は、論理的な判断ができるよう双方が最も快適にいられる空間にのみ生まれる。圧力(プレッシャー)で片方を有利にする、そんな八百長(まが)いな交渉(パワーゲーム)で成立した約束なんて長続きしない。それは、戦争のルールだった。


 主催者であり演出家である式折々は、それを理解していた。


「では。これより『 橘一誠と第二十の始祖 二名の処遇 』についての話し合いを始めます。双方、悔いのない議論をどうぞ」


 式が開式の挨拶を済ませた。


 漆の卓に向かい合う『吸血鬼殺し』。


「議論の余地など不要。そこの吸血鬼、そして貴様らは、今この場で処断する」


 隣に座る彼の僕。十字架(サーヴァント)の牙は今は包帯で塞がれていたが、主人の合図一つで屋敷の人間を皆殺しにする準備は整っていた。


 会議場の内外には式家を護衛する黒服が配置されていた。今回のために街の各所から集められた精鋭であった。


 モアの首は卓上のクッションに据えられるように置かれていた。

 自身の身体を奪った男の殺意を前に、ないはずの全身が悪寒に震えた。


「まあまあ、そう興奮しないで。お茶でも飲んで落ち着いてください」


 式が(なだ)める。


『吸血鬼殺し』が真に警戒すべきは、この魔法使いの末裔を自称する高校生だった。


 吸血鬼を食糧にする『吸血鬼殺し』の放つ殺気は、全ての生物から体温を奪う。生まれつき備わっている本能的な危機が刺激されるからだ。


 現に吸血鬼(モア)は天敵を恐れ、初対面だった橘も断末魔の悲鳴を上げ今にも部屋から飛び出していきそうに膝の上に載せた(てのひら)の指先が震えていた。

 例えだが、山中で野生の虎とばったり鉢合わせしたような感覚だった。


 だというのに、このおかしな餓鬼(ガキ)は。大渦のような殺意の中心で、へらへらと笑いながら、しかも吸血鬼しか口にできない『吸血鬼殺し』に洒落まで……。


『吸血鬼殺し』は本能で悟っていた。

 虚勢ではない。式折々は本心()()口にしていると。


「タチバナさんも、そんなに怖がらないでいいんですよ。ここは安全です」

「式、くん……」


 手に手を添え震えを止めると、萎縮した橘の心が少しずつ(ほぐ)れていった。


 しかも……先ほど式に『()()()()』と言われた。

『吸血鬼殺し』にとってこれほどありえない非常事態はなかった。


 殺意に気付いていながら、この場で彼が一番落ち着いていた。


 吸血鬼を狩ること数百年、数え切れない日の出と月の満ち欠けを見た。呪われた不死の人生で多くの出逢いが()った。人も、吸血鬼も。


 これだけは断言できる。


 この(しき)折々(おりおり)という子どもは……間違いなく、人だ。


 だが『吸血鬼殺し』の()る人という生物とはあまりにもかけ離れ……吸血鬼などよりよっぽど異質で、未知で、狂気で、()()であった。


 久方ぶりに感じるこの感覚。野生に満ちた原初のものではなく、フラットな理性が揺らぎ生じる直感。

 

 男は今、目の前の未知に()()()()を抱いていた。


「あ、あの……!」

「なんだ?」


 式の言葉で冷静さを取り戻した(たちばな)だった。


「『吸血鬼殺し』さん……で、いいですか……?」

「好きに呼べ。(オレサマ)も貴様を好きに呼ぶ。して、なんだ。()()()()()


 彼は吸血鬼の天敵。肉親を吸血鬼に殺され、モアの命を狙っている。


 そんな男に、こんなことをお願いするのは、どこか白々しく橘は直前で思った。


「モアを……彼女を、許してくれませんか?」


 ここに来るまでに心中で何度も反芻(はんすう)したからか、口にした言葉が重かった。


「確かに彼女は吸血鬼、けれど……まだ誰も殺してません。僕と彼女は、うまくやっています」

(うそ)をつくな」

「嘘……いや、僕は嘘なんか」

「お前のことは、そこの餓鬼から聞いた。お前は家族と縁を切り、吸血鬼と廃墟で暮らしているそうだな」

「それは……仕方なかったんです。モアを救うには。家族には(わか)ってもらえました」

「どう解ってもらえた? 人喰いの〈(オニ)〉を選び、自分たちを見捨てたお前を」

「……!」


 式を見る橘の目には(うら)みとやるせなさが渦巻いていた。


 余計なことを告げ口された。


 だが橘を断じる『吸血鬼殺し』の言い分は、至極真っ当だった。


「貴様は、虫を見つけるとどうする?」

「虫……?」

(ハエ)蜘蛛(クモ)、ゴキブリ、なんでもいい。虫を見つけた貴様は、次になにをする?」

「なに、って……」


 殺す。(ハエ)は叩き殺す。蜘蛛(クモ)は殺虫剤で。ゴキブリは餌で毒殺する。

 百人いればもっとアイデアが浮かぶ。


「見つけた虫に餌を与え育てる人間はいない。まして、害虫を助けるために築き上げたなにもかもを放棄する人間も」


 仮にそんな人がいれば。

 はっきりと言おう……()()()()()()()


『吸血鬼殺し』の問答はさらに続く。


「虫は貴様になにをした? ……なにもしていない。ただ生きて、そこに存在しているだけで殺される。それだけ理由があれば十分。害虫(ヴアンパイア)は存在こそが罪なのだ」


 橘を見上げるモアの瞳が重く、徐々に沈んでいった。


「貴様は、一日にどれだけ食べる? 今まで何回食べた? こいつらは貴様と同じ量だけの人間を殺し、犯し、喰う。今は貴様の血で満足しているが、いつか、だが必ずほかの人間の味に興味を持つ。貴様だって、毎日同じ食事じゃ飽きるだろ?」


 ……駄目だ。反論できない。否定できない。


「今ならまだ引き返せる。その首を(オレサマ)に寄越せば、ここにいる人間の命は奪わない。お前は家族の待つ元の日常に帰るんだ」


 自分に、橘一誠に……吸血鬼は救えない。


 吸血鬼()


 一体、何度間違えれば目を覚ますのか。


 吸血鬼を救う? ……‟ちがう”。


 橘が救いたいのは、本当に助けたいのは()()()()()()()()()


 現実から目を逸らすな。


 見た目に騙されるな。


「……僕が、モアを人間に戻します!」


 橘は気が付くと、全員の注目を浴びていた。


「タ、チ……バナ……?」

「貴様、今なんと言った?」

「人に戻れば、吸血鬼じゃないモアはあなたに()われずに済む。だったら……僕がこの()を人間に戻します!」


 再度(ふたたび)、そう宣言する。


「どうやって?」


 吸血鬼とは、死後に人がなる化物だ。


 人が吸血鬼になった例は億ほどあれど、過去、人に戻った吸血鬼はいない。吸血鬼を人に戻すとは(すなわ)ち、死者を生き返らせるという意味だ。


「どうやって?」

「わかりません! わかんないですけど……必ずやってみせます!」


 モアは唖然(あぜん)とし、雀は背後で呆れ頭を抱え。


 だが、式折々ただ一人だけは、どこか誇らしげに鼻を高くしていた。


 そして……。


「……くっ……くく、かか……ははは、あははは……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハあーーーーはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」


 大地が震えた。空間が裂けた。卓が、湯呑みが、急須が粉砕した。頭を押さえる橘の耳から血が流れ落ちる。苦悶の表情を浮かべるモアの瞳が紅い涙を流す。胃の腑を潰された如きの衝撃に(すずめ)は床に朝食をぶち撒けた。鼓膜が破裂した黒服たちが木偶(でく)のように倒れる。


 その様を、十字架、そして式だけは涼しい顔をさせ見守りながら、()()する男が落ち着くのを待っていた。


「はあー……くくっ」


 一息()け。


「久しぶりに、笑ったぞ」


 口端を緩ませたまま『吸血鬼殺し』はそう言った。


「つまり貴様は方法を知らず、手がかりを知らず、だが吸血鬼を必ず人に戻すと、そう断言するのだな」

「……はい……!」


 先ほどとは打って変わり、水を打ったような静寂。


 朦朧とする意識の中で、だが橘一誠の信念に揺らぎはなかった。


「三ヶ月だ」

「えっ?」


「三ヶ月だけ待つ。三ヶ月経って、そいつがまだ吸血鬼なら(オレサマ)が喰う。……()()()()()()


 かくて、休戦協定はここに締結した。


 吸血鬼とサラリーマンの夏は、もうしばし続く。

もうちょっとだけ続きます。

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