表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LastLove  作者: 龍桜嘉
1/1

〜出逢い編〜

私とあなたとの出会いって、突然だった……。


甲野先生、覚えてる?私、あなたと出会ってなかったら、両親に勧められてた人と結婚してたかも……。


「ほら、ローズ!甲野先生が呼んでるぞ〜!」

「え〜!今、忙しいの!」

「行ってあげなさいよ!」

「しょうがないなぁ……」チェリーがそう言ってなかったら、私は学院長と仕事してたかも…。

「で?甲野先生は私をとこに呼び出してるの?」

そう聞くと、チェリーが笑っている。

「ちょっと、何か企んでるでしょ?ひょっとして、甲野先生が私について何か言ってるとか?」

「さぁ〜。それはどうでしょう?とりあえず、屋上に来てくれ、だってサ」


私は、屋上に行き、甲野先生を捜す。

(……いないじゃない!ったく、忙しいのに……)

「誰かをお捜しですか?そこのお嬢様?」

背後で声がする。振り向くと、甲野先生がそこに立っていた。

甲野雪彦先生は、聖マリア.クルーズ女学院の美術科教員で、日本人なのに、周りでは

「英国紳士」なんて、呼ばれてる。歳はちょうど、45歳。美術の先生にあるような、美しい物が大好きな、気のいいおじ様的な人。

「仕事中、呼び出して悪かったな。」

「……いえ、別に…。」

(何を考えてるのかなぁ……?)

「単刀直入で、すまない。お前さんが好きだ……もちろん、この歳だ。無理とわかっている。だが、私は本気だ…。」

いきなり、

「好き」って言われても私は、どう応えていいか正直、戸惑った。

「甲野先生、いきなり『好き』って言われても困ります。少し、時間をください」

「そんな時間、与えると思うか?」

そう言って、甲野先生は私を抱き寄せて言った。

「愛していいなら、時間なんていらない。」

そう言って、私にキスをする。体が甘く痺れ、力が抜けていく。甲野先生は、体をそっと離すとこう言った。

「私が、怖いか?」

「………」

初めてのキスだったせいか、言葉がでなかった。甲野先生は、私に囁く。

「あとで、私の部屋に来てくれ」

「…はい…」


その夜、私は甲野先生の部屋に向かった。私達の学校は、全寮制だが、教員と一緒に卒業までいれるシステムになっている。甲野先生の部屋は、教員寮の2階の奥。

「甲野先生?私です……。ローズです……」

「鍵なら開いてる。入ってくれ」

思ったより広い部屋。ニスの匂いが鼻をつく。

「すまない。こんな、せまっくるしい部屋で。散らかってるだろう?」

「いえ、そんなに狭くは感じません。でも、なぜ私を部屋に?」

「ここじゃあ、なんだ。付いてきてくれ」

そう言って、甲野先生は私を別の部屋に連れて行く。

「甲野先生?さっきの部屋は?」

「私の仕事部屋だ」

甲野先生は、仕事部屋から普段使っている部屋に連れて行った。仕事部屋より広い部屋。窓が少し開いている。甘い薔薇の香水のような、匂いがする。甲野先生は、私を抱き寄せるとそのまま、ベッドに倒す。

「こ、甲野先生?」

「『愛してる』と言ったろう?」

そう言って、私にキスをする。

(…ダメ、力が入らない…)

「初めてだから、どうしていいかわからない。だが、優しくすることはできる。いいか?ローズ?お前さんが、言ってくれないとお前さんのような乙女を抱くことができない」

「好きです……。甲野先生、好きです」

そう言って、私にキスしながら服を脱がす。

「んっ……」

目を閉じていても、甲野先生の存在を感じる。大きな手が私の胸に触れる。体を離そうとすると、力が抜けて、甲野先生に抵抗ができない。

「ローズ……」

「あっ……」

耳元で囁かれ、乳房を口に含まれてそのまま、意識が飛びそうだった。

「あ……ん」

(これが、甲野雪彦先生なの?)大人の力にかなうわけがなく、ただ、快楽に身を委ねるしかなかった。

「すまない。ローズ…これ以上いくと、歯止めが利かない。それでもいいか?」

「歯止めが利かないなら、いいです」

そして、甲野先生はキスをする。それは、どこまでも、甘かった。


次の日、この日は少し、肌寒かった。

「もう冬かぁ〜……」

チェリーが、半袖の制服の上から、寒そうに腕をさすった。

「冬って言ってたって、まだまだ先の話でしょう?」

「そうだけどさぁ〜…」

「寒がり」



「もうすぐ冬だから、遊びに行きたい?」

甲野先生は、美術の成績をつけながら言った。

「ほら、私って行動的なイメージないてしょ?だから、遊びに行きたいなぁ〜…なんて」

「……少し、考えさせてくれないか?」

(……そうよね。一応、教員ですもの)

「あっあのね、別に無理しなくても……」

「……うん、空いてる」

「えっ?」

「だから、暇ってことだ。だから、どこ行きたい?」私は少し考える。

「……あなたの行きたい所なら、どこでも」

甲野先生は、笑いながら

「おいおい、お前さんが言い出したんだろう?」 「まぁ、そうだけどさ…」」

甲野先生は私を抱き寄せて囁く。

「なら、お前さんを好きにしていいんだな?」

「……そっそんなこと、言ってないでしょ!あっ……」

「そうか?そんなこと言ったような気がするがな」

甲野先生は私にキスをして、囁く。

「可愛いんだな。お前さんは」

「そっその手には、乗らないわよ!」

甲野先生は、私を押し倒した。キスはどんどん激しさを増した。舌が絡み、下着に手を掛ける。キスだけで力が抜けて、快楽の底に落とされてしまう。「今夜は、最後までやってしまおうかなぁ?」

ドキッとするほど、甘い声で囁く。

(……もしかして、本気?)

「大丈夫だ。優しくする。安心しなさい」

そう言ってキスすると、脚に手を伸ばす。脚を触られると、肌がそれだけで敏感に反応する。

「んっ……!」

私の中に、甲野先生の指が入る。太くて、少し、ゴツゴツした節くれだったような指。粘膜が指に絡み、体が熱くなった。(ヤダ……こんなに濡れてる)

少しでも理性を保とうするが、甲野先生の手つきで理性が飛びそうだった。「ダメだな〜。こんなに濡らしてしまうなんて」 「そっそんなこと言ったって……あっ!」

「すまない。痛いか?」

「大丈夫……。大丈夫だから……」

「そう言って、本当は痛いんじゃないの?お嬢様?」

甲野先生はそう言って、そっと、脚から秘部へと、舌を這わせる。

「ローズ、もう限界だ。そろそろ、入れてもいいか?」

「……せっ先生もう欲しい……」

自分でもとんでもないことを口走る。甲野先生は、

「痛いと思いますが、我慢してくださいませ。お嬢様?」そう言って、私の中に甲野先生の指と比べ物にならない質量が入る。その大きさに、私は息を呑んだ。

「…まずいな〜…。全部入った。力を抜いてくれ、よけい痛い思いするぞ?」

「…むっ無理。んっ……あっ!」

「動くぞ?」

そう言って、私の上で動く。圧倒的な大きさなだけに、息もつけない。甲野先生の顔は、少し歪んでいる。

「くっ、かなり締め付けてるなぁ〜……。力を抜いてくれ、少しでいいから。なっ?」

「あっ……あん!あっはっ!」

「なんなら、騎乗したっていいんだよ?」

「へっ変態!」

甲野先生は、私の上に覆い被さり、口元を少し歪めて笑った。妙に、色気を感じた。

(……ダメ、もういきそう……)

ゆっくりした動きだが、それだけでもすぐ、いきそうだった。

「…すまない。ローズ、もう私も限界だよ…。そろそろ、中に出してもいいか?」

そろそろ、先生も限界に近づいてるらしい。たぶん、先に昇天してしまいそうな気がする。

「だっダメよ…!!一緒にイッチャおうよ……」

また、とんでもないことを口走る。

「言ったね?」

そう言って、キスしながらゆっくりと腰を動かす。先に昇天したのは、私だった。

「あっはっ……あん!」



気がついたら、私は眠っていた。隣にいるはずの先生がいない。甲野先生は、窓際に立っていた。パイプをくゆらせながら。その後ろ姿がお父さんみたいだった。

「甲野先生?」

「あれ、起こしてしまったか?すまないなぁ〜。起こしてしまって」

「別に、いいのに。疲れていただけ。だって、あんなに激しいなんて思ってなかった私がいけないの」

「ローズ、ちょっと来てくれ」

「?」

甲野先生は、私を呼んだ。何だろう?

「目を閉じて」

私が目を閉じると、耳元で囁いた。

「もう、いいよ」

目を開けると、窓の外は雪が降っていた。

「これを見せてやりたかったのさ」

外は何もかも、白かった。

「甲野先生、こんな私が恋人でいいの?」

抱き寄せて囁く。

「当たり前なことを言うな。別に、いいんだよ?嫌なら、私と縁を切ったっていいんだよ?」

「そんなこと、できない。私は、あなたの側にいれるだけでいいの。それだけで、私は幸せなんですから」



「えっー!!ローズって、もう甲野先生とやちゃったの!?」

「声が大きい。誰かに聴かれてたら、どうするの?」

ここは、聖マリア.クルーズ女学院の中庭。私とチェリーはよく昼休み中に、話している。なぜか、私達以外の人は、ここには来ない。いつも、アフタヌーンティーを飲みながらチェリーと話す。

「で?どうだった?初体験は?」

「あんたって、本当、甲野先生と同じ。変態ね?」

「ぶ〜……。ただ単に知りたいだけなのにぃぃ……」

「それが変態だって言ってるの!」

チェリー・クラウド=キャンベルは、私の大親友でなんでも、話せるたった一人の人間だが、度を越すと、私はかなり突っ込む。でも、ケンカをしている訳ではない。コミュニケーションだ。


ある日、甲野先生は出張で彼の母国、日本に一時帰国という形でヨーロッパの美術品の美しさについて講演会を行いに行った。

「大丈夫だ。どうせ、4泊5日の一時帰国だ。心配しないでくれ。安心しなさい」

「だけど……」

私が不安そうに言うと、彼は私の肩に手を置いて言った。「『安心しろ』って、何度も言ってるだろ?大丈夫。講演会が終わったら、すぐ戻ってくる」

「……本当ね?」

彼は私を強く抱き締めて言った。

「本当は私だって、お前さんを連れて行きたいよ…。日本の美しさがどんなものか、見せてやりたいよ……」

「いつか、連れて行って。日本に」

「約束する」

そう言って、彼は私にキスした。もう、永遠に会えないとでも言うように。



「ありゃあ〜甲野先生が出張しちゃってるのか〜…」

「…講演会を兼ねての一時帰国だって。1泊2日もできないハードスケジュールだって」

「『心配しないでくれ、私はすぐ戻ってくる』とでも言われたんでしょう!羨ましいな〜恋人がいる人って…」

「何?皮肉言ってるの?あんただって、ちゃんといるじゃない。アルベルトが」

チェリーの恋人、アルベルト・ライプニッツは、隣の男子学院の生徒。

実は、聖マリア.クルーズ女学院と聖サニー.ロック男子学院は、渡り廊下で繋がっていて、行事事などを一緒に行う事が多い。そのため、カップルが多いのだ。甲野先生は、男子学院の美術科教員だが、女学院で授業をするのも少なくない。だが、保健室はひとつしかないため怪我人もとても多い。女学院と男子学院、それぞれの学院長は市に知って掛け合ってるらしいが、ロンドンの市議会議員は、

「建設費用は、これ以上出せない」

との事。保健室はそこそこ広いし、ベッド数もあるにはあるが、体育祭での怪我人が多く、ベッドが満床になってしまうそうだ。

「保健室のマドンナ」と呼ばれている、メアリー・シックネス先生は、

「私1人で大丈夫。怪我人が出ないことが私の願いだけどね」

なんて、言っている。私はごくたまにしか保健室を使ったことがない。だが、ほとんどの生徒の中で男子学院の生徒が利用者数が多い、とメアリー先生は愚痴をこぼしている。




そんなある日、甲野先生が日本から帰国して来た。講演会の主な会場は、芸術大学だったらしい。

「真剣に聞いていた」

彼は帰国早々言っていた。

「先生?疲れてない?もし、疲れているなら早めに休んだらどう?」

甲野先生は、何も言わず窓の外をじっと、見つめていた。

「甲野先生?どうしたの?」

「……いや、なんでもない。お前さんの言うように、早めに休んだほうがいいか考えてたんだ。帰国して来たばかりだからな」

そう言って、私をベッドに押し倒した。

「ちょっと!離してよ……あん!」

「すまない。今日は、歯止めが利きそうにない。しばらく、お前さんを見てないからなぁ」

「でっでも、私まだ授業があるの!お願いだから、離してよ……。あとで、出来るんだから、ね?先生?」

「今じゃなきゃ、ダメなんだ。頼む」

なんだか、今日の甲野先生は様子がおかしい。日本で何かあったのだろうか?

「……だっ、大事な授業なの……お願いだから、離してよ……」

「片桐先生には、私から言っておく」

そう言って、いつもより激しいキスをする。私は、呼吸が出来ない。息を吸うために唇が離れた瞬間、私は甲野先生から自力で離れた。

「いったい、どうしたのよ!?」

「……すまないが、今は言えない」

「学院長に何か言われたの?」

「………」

「答えて!」

「…学院長に何かを言われた訳じゃない。私自身の問題なんだ」

「……どういうこと?私には、理解出来ない」

「……ただ単に、お前さんが恋しかっただけさ。心配しないでくれ。ただし、歯止めが利かないのは、本当だ」

「でっでも、私まだ授業があるし……」

「たまには、ズル休みしたらどうだ?片桐先生には、『風邪気味』とでも言っておく」

甲野先生にしては、珍しい発言だった。今日は、本当に歯止めが利かないらしい。私をもう一度押し倒し、さっきより激しくはないが、甘いキスをした。脚に手を伸ばし、下着に手を掛けた。すでにそこは濡れていた。

「おいおい、キスだけでこんなに濡れているのか?指が奥まで入ったぞ?」

「……だって、先生がいきなりキスして来たから……あん!」

「ほう、ここ感じるのか?」

そんなことを聞かれると、体が熱くなった。

「……変なこと聞かないで!……んっ」

キスをしながら指を奥まで入れる。

(……ダメ…もう限界……)

これ以上、指を入れられたら理性が飛びそうだった。

「……イクのか?」「………もう限界………」私がそう言うと、甲野先生が妖しい目つきで私を見つめた。

「…まだまだ、子供だな。体が大人でも、心はまだまだお子様だな」

そう言って、私の中に入ってきた。制服のスカートが、濡れてもしょうがなかった。

(……どうしよう、このまま、イッテも、いいのな〜?)

「……ダメだ、ローズ。私も限界だ。中に出すぞ?」

何回か動いたあと、先生が顔を歪めた。私は、そのまま昇天した。




気が付いたら、夜だった。私も甲野先生も寝てしまったらしく、来訪者が来たことに気がつかなかった。






ある日の早朝、甲野先生がいなかった。

(もう職員室に行ったのかしら?)

サイドボードを見ると、メモ用紙に書かれた手紙が置いてあった。

『おはようさん。あまりにもお前さんが気持ち良く寝ていたので、そのまま職員室に行きます。今日は、土曜日だ。ゆっくり休みなさい。何か用があるなら、職員室に来なさい』

見慣れた彼の少し斜めった字。そういえば、今日は土曜日だ。甲野先生の言うように、ゆっくり休もう。

コンコン

誰かが扉を叩いた。こんな時間に誰だろうか?

「開いてますよ。入ってきてください」

入ってきた人物に、私は驚愕した。

「片桐先生!どうしたんですか?こんな時間に?」

「ローズさん、少しお話してよろしいでしょうか?」

「なんでしょうか?」

片桐先生は、後ろ手に扉を閉めた。

「あなたに、恋人がいることは知っています。そんなあなたに言うのもどうしようか迷ったんですが……。区切りをつけたくて、今はっきり言います。あなたが好きです。苦しいくらいです」

「……ごめんなさい。片桐先生。私には、甲野先生が……」

「知っています。甲野先生がどれだけあなたを愛しているのかも。ですが、僕にはあなたしか見えないんです!」

片桐先生は、いつもと少し違った。目つきは、男が女を見るときの目つきだった。

「…ローズさんお願いします!僕とお付き合いさせてください!」

「……ごめんなさい。あなたとは、お付き合いできません。自分の恋人で十分です」その一言が、片桐先生に大きな衝撃を与えたようだ。

「片桐先生、本当にごめんなさい。私には、甲野先生しか見えてないのかもしれないです……」

「……そうですか、僕は、何を考えてたんだ?恋人がいる人に知って告白するなんて……」

「片桐先生には、素敵な人がいるじゃないですか」「?」

私はクスクス笑った。

「保健室のメアリー先生ですよ!」

「……でっでも、メアリー先生には、旦那さんがいるって……」

(まさか、あの噂を本気にしてたんだ……)

『あの噂』と言うのは、

「メアリー先生には旦那さんがいる説」のことだ。ほとんどの生徒がこの噂を本気にしている。まさか、片桐先生も本気にしていたとは……。(…まぁ、おもしろいから、いいか)

私は、そう思うことにした。












次の日、甲野先生が遊びに行くと言って、私を誘った。

「どこに連れていってくれるの?」

朝から尋ねているが、さっきからずっと黙っている。口元には、少し笑顔が浮かんでいる。よほど、楽しい所なのだろう。

「ローズ。目を閉じて」

私が目を閉じると、

「そのまま、前に進んで」言われた通りにすると、

「そこで、止まって」

「甲野先生?いったい、どこに連れていってくれるの……?」

「目を開けて」

目を開けると、目の前は遊園地。

「ここに来たかったんだろ?」

「どういうこと?なんで、行きたかったとこ先生が知ってるの?」

「内緒」

そう言って、私をエスコートをするかのように腕を差し出す。

「さぁ、参りましょうか?お嬢様?」

「はい!」

何年ぶりだろうか?遊園地に来たのは。たぶん、ずっと昔だろうか?

両親が、若いときだった。

(懐かしい……)

昔の思い出が甦った感じがした。

「なんだ、泣くほど嬉しいか?」

「そうね……」

甲野先生は、私にキスをすると、

「喜んでくれて、私は光栄にございます。お嬢様」

「大袈裟ね、さっきから」

「これくらいが私にはちょうどいいくらいだ」













学院に戻って来ると、甲野先生は遊園地で買ったウサギの耳のカチューシャを着けてくれ、と私に頼んだ。

「何故?」

「ローズに着けてほしいからっていうのと、可愛いから」

仕方なくカチューシャを着けると、

「こっち来て」

「?」

そして、そのまま私を押し倒した。

「ちょっと何よ!?」

甲野先生は私にキスをすると、

「そんな風に顔を赤らめるローズ、可愛い」「…変態」

「…当たり前のことを言うな」

そのまま、甲野先生は私の下着に手をかけ、

「お前さんだって、欲しがってるじゃないか」

「やっ…………ちょ………ダメだって……んっ‥」

「もうここが濡れてる。つまり、もう私が欲しいのか?」

「そんなこと……言ってない……あっだめ……」

「まだ、イカせない。イクのはその後」

そう言って、甲野先生は指を二本に増やし、私の中を弄る。

「もう、奥まで入った。どこが一番感じる?」

私は、気持ちよすぎて声が出ない。

「もう、入れていいか?」

「……早く……入れて」

そう言うと、彼が私の中に入ってくる。

(……ダメ……もうイクかも……)「……まだ、ちょっと力が入ってるんじゃないか?」

私は、これ以上にはない快楽を味わった。低くて、甘い声で囁かれると、鼓膜が甘く震える。優しい手付きで胸を弄られると、快楽の底に落とされる。手付き、声、息遣い、そのすべてを残さず拾いとり快楽に変えてしまう。ちょうど、絶頂に達したときだった。

「……すまない、ローズ。しばらく、このままでいていいか?」

私は何も言わずに頷く。私は少しずつ理性を取り戻し、甲野先生に話しかける。

「……先生?」

「?」「……結局、お風呂には入ってないね……」

「どうして?」

「……なんとなく」

「…誘ってるのか?」

突然そんなことを聞かれると、体が熱くなる。

「……!?そんなことしてないって!」

「…欲しがってるくせに」そう言うと、繋がった部分を軽く揺すった。

「………あっ……!!」

「……可愛い声が出るじゃないか」

耳元で彼が囁く。

「……変態」

「…だからって、止めることはないからな」

そう言って、ゆっくりと腰を動かした。

「………!?あっ………!だからって、そんな奥まで入れないで……」

少しかすれ声で甲野先生は耳元でクスクス笑った。

「……!?」

「……感じるのか?」

そう言うと、私にキスをした。甘い甘いキスだった。







翌月の最初の週、甲野先生は私を連れて、美術館巡りをしようと言って、学院の連休を使ってフランスへ連れて行ってくれた。

「ルーブル美術館は、全部の作品を見るのに5ヶ月かかるそうだ。だから、フランスの人々は何を見るのを決めてからここへ足を運ぶそうだ」

私は、フランスに来るのがこれが最初だったがルーブル美術館のことはある程度知っていた。だが、甲野先生の口からルーブル美術館について改めて聞かされると、いろいろと新しく知ることがたくさんあった。

「……そんなにかかるんだぁ……」

「一度でいいから、お前さんを連れて行ってやりたかったのさ」

その後、私達は館内を巡り、あの有名な名画、

「モナリザの微笑み」を2人で見た。謎に満ち溢れた微笑みは、私の心を見透かしているかのようだった。

「ローズ、今度はイタリアに行こうか」

「決めるの早過ぎ」



とにかく、フランスの冬は寒過ぎる。防寒対策したって、寒さは身にしみる。

「大丈夫か?ローズ?寒くないか?」

「…少し、寒いかなぁ〜?」

私がそう言うと、甲野先生が背後から抱きついた。

「…あったかい?」

「うん……あったかい」

「ホテルは予約した。今から、行く?」

甲野先生がそう言うときは、私を抱き締めようとする。

「行く!だって、寒いもん」

ホテルの部屋は、最上階の一番端っこの部屋。着いてすぐに、甲野先生は、キスをする。

「…限界だよ」

耳元で囁く。ベッドに押し倒すと、深く舌を入れる。体が痺れて、力が抜ける。

(…ダメ……キスだけで、力が、抜ける……)

「…もしかして、もう限界?」

いたずらっぽく笑う先生の目元が色っぽく、妖艶だった。「……!?まっ、まさか!そんな事、ないですよ……」

「お前さんが敬語のときは、限界の証拠」

私は、顔が赤くなるのを感じた。甲野先生は、私にキスして、

「…限界なのは、私も同じ」

「だ、ダメ!」

「?」

私は、先生に抱かれるのを拒んだ。

「どうして?こんなに、濡れてるのに?」

「……もう、終わりにして欲しいの」

「!?な、何故!?何故急にそんな事言い出すんだ!?」

「お母さんが言ってたの。『甲野雪彦は、女を弄ぶ、最低な男だ』って……」

「マリアナが……!」

「だから、別れて欲しいの」

甲野先生は、私の嘘に騙されたようだった。

(…簡単に騙されるなんて……)

「ローズ、嘘だろう?エイプリルフールじゃないぞ?」

「……本当に私がそう言うと思った?」

この一言に、彼はほっとしたようだった。口元に寂しい微笑みを浮かべながら……。















「…もしもし?お母さん?私よ、そう、ローズよ……娘の声も忘れたの?どうしたの?お父さんが、お父さんがどうしたの?」

『……驚かないで聞いておくれ、ロッドは、お父さんは、山の中で遭難死したんだよ?』

―遭難死――――

一番聞きたくない、お父さんのこと――。

私の父、ロッド・アレンジは、山岳民族について研究する国立大の教授だった。連休を利用して、研究室の人達と、アジアの山岳民族の研究をする為に、世界最高峰のエベレストの麓に住む民族の集落に行っていた。

――まさか、本当に死ぬとは、思ってなかった。『…お葬式、なんだけど……ローズ、来れるかい?』

「…………お母さん、考えさせて」『そうだね。いきなり来い、って言われても困るよね』

「…考えさせてね」
















「どうした?」

「………お父さんが、遭難死したの……」

「ジェットが……遭難死?」

甲野先生は、そういって、私を抱き締めた。

「ジェットの忘れ形見が、お前さんだったとは……」

「どうして、お父さんのこと知ってるの?」

「そりゃあ、ジェットと私は同級生だからさ」

そういえば、お父さんと甲野先生は同級生だと聞いたことがある。もし、甲野先生が私のお父さんだったら?






そんなの、考えただけでも、おかしなこと。






あなたが望むなら、私はあなたのものになってあげる………。







そう、言いたかった。けど、言えない。重い沈黙に耐えきれず、甲野先生が口を開いた。


「最後の別れだ。ジェットに挨拶くらい行って来たらどうだ?」

「嫌!」

甲野先生は、驚いて私を見る。

「何故?何故、そうやって行くのを拒む?」

「本当のお父さんじゃないから、って言ったほうがいいかしら?」

「………!?」

確かに、ジェット・アレンジは本当のお父さんじゃない。実際、私のお父さんがいないってことを聞いたのは、私がこの学校に入学する、少し前のことだった。






突然の出逢い、突然の別れ。私達の仲が引き裂かれようとするとき、あなたはどうしますか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ