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前歴自慢



 2019 5 7


 エロゲー誌だから読者コーナはヌルかろうという安易な思い込みこそヌルいと言わざるを得ない。

 投稿する奴は端からエロやエロゲーには一家言あるし、18歳未満お断りなもんだから読者はみんな目が肥えてる。小学生レベルのネタなんか通用しない。かといってエロいことさえ書いてりゃOKなんて決してない。ワビサビ、作法をわきまえた奥ゆかしい下ネタにこそ風情があるのである。それが大人の嗜みというものだ。


 結局、ハガキ職人として念願のデビューを果たすも、すぐに天狗の鼻をへし折られることになる。いや、そもそもそんな立派な前歴、ありもしないのだが。


 自身の甘い見通しを激しく悔い、そのままフェードアウト、となると思うのだがそうならなかったのは、やっぱり業界特有のいかがわしさ、甘美な魅力、そして実用性にあったように思う。また、読者コーナーもアングラな魅力に溢れていた。

 一般紙では絶対できないような際どいネタもエロゲー誌なら許される部分もある。全くエロくない、コンシューマー業界の裏ネタ的なものでも許容される。そんな大人な世界にも一種の憧れを抱いた。また、一般のゲームやアニメ誌でも十分通用しそうなネタを書く奴もいたし、プロ並みの画力を持つイラスト投稿者も当然いた。もうお前らプロに行けよ、と、勝手に敵愾心を燃やしてみたり。

 

 トップクラスの常連を神セブンとか四天王とか名付けて、そいつらの足元に食いつこうと頑張ってた時期もあったし。まあ、向こうはこっちなんか眼中にもなかったろうけど。


 そんな世界で、とりも直さず自分の武器ひとつで挑みかかった当時の自分をホメてあげたい。毎月毎月、悔しい思いも恥ずかしい思いもしたけれど、自分のセンスのなさを呪いもしたけれど、そいつらと同じ誌面で戦ってる! というのは大いにモチベーションになったし、よくあれで心をへし折られなかったと自分でも感心する。


 それだけでもなく感謝もしている。あの時、諦めなかったから今の自分がある。パロネタ投稿者としてまともに取り組んだこともないイラストまで描き始めてくれたおかげで数年後、まさかゲーム制作という夢が叶えられるとは思わなかった。しかもその経験がこうして今のネタになってる! ううむ、これはちょっと違うか。


 とにかく、このハガキ職人時代が今の自分の制作の大きな背骨になってるのは間違いあるまい。それがなかったら今頃、何を楽しみに生きてるやら。

 また、エロゲー誌の読者コーナーの水も、自分に合ってたと思う。


 コンシューマーゲーム誌だと、なんというか、先鋭的な投稿も散見されて、ちょっと引いてしまうこともあるんですね。でも、エロゲー誌の読者ってのはなんか暖かみがあって、居心地がいいというか、良識的な気がする。まあ、誌面には鬼畜系ゲームとか載ってて、そういうものでしか発散できない人というのも確かにいて、そういう人たちはおしなべて良識的な気がするのである。


 性格と性癖が必ずしも一致しないのはすでに世間が知るところである。


 そういう意味においても、自分がエロゲー誌の常連の一人になれたというのは、とても幸運で幸せなことだったと思う。


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