序列自慢
2019 6 27
いままで順調に真面目にきてたのに、次の下描きが一向に上がらない。というか描こうという気が起こらない。これまで自分的に真面目にやってたのに一体なぜゆえに?
ここは英雄たちの選択よろしく心のうちに分け入ってみよう。っていうか、分け入るまでもなく、やる気が出ないだけである。
要は完成度に納得いかない。パクリエイターのくせに生意気に。だが、予想したことだが複雑な表情はやっぱり難しい。何度描き直しても納得いく表情が描けない。怒った顔や泣きそうな顔なんて普段描かないしなあ。描いても楽しくないし。ここにきて不真面目な原画が足を引っ張り始めた。
グラフィッカーの方は真面目にやってた。これは自分でもなんとなく分かる。色塗りは色彩のセンスにさえ目をつぶれば地道な作業の積み重ねで結果が出せる。しかし原画の場合は腕のなさがひと目で分かってしまう。作業を積み重ねればいいのが仕上がるなんてことがないから嫌気が差す。いや、地道な努力しない限り画力なんて向上しないのは分かってるんだけど、ハガキ職人やめた自分にはもうあの頃のような情熱はない。
この悪魔システムは役割分担がいびつだ。一番負担がかかるのがグラフィッカー。次いで原画。そしてシステム周りで最後がシナリオ。言ってしまえばシナリオはシナリオさえ書き上げればお役御免である。見方によっては一番楽なポジションだがそんなことはない。ノベル、ADVはシナリオが命。シナリオがまず天才でなければ他がいくら頑張ってもリカバリは難しい、ってのが持論だ。まあ、自分の場合はシナリオがフツーだからこその悪魔システムなんだけどね。シナリオが凡人なぶん原画、グラフィッカーが数をこなしてがんばれや、って理屈だ。
このシステムの要諦は自分のようにシナリオに自信のない人や開発環境が乏しくても努力次第でどうにかできる、というものなので、その証明のためにもチャレンジしているのである。
この序列はエロゲーメーカーもほぼ同じだったと思う。いや、たまたま自分が愛読してたコラム書いてた人の会社の事情なので全てそうとは言い切れないのだが。
グラフィッカーは売り手市場だったと思う。常に人員を募集してたっぽい。腕が良ければフリーも可、なんて話も聞いたことがある。絵が描けなくてもレタッチソフトの使い方をマスターして、グラフィッカーとしての採用を狙うのはいいかもしれない。地道な作業に耐えうる忍耐は必要だが。
シナリオはちと厳しいと思う。魅力的なシナリオを安定して書けないと採用は難しかろう。メーカーでも盤石の評価を得る叩き上げが一線を張ってたので、そこに食い込むのは容易ではあるまい。
プログラマは専門知識が必要なので狙い目と言える。快適なゲーム作れる腕の持ち主なら引く手あまたであろう。が、これは少々昔の話。現在のように大作級ゲームの受け皿がない上、快適にゲーム作れる制作ツールが出回ってる昨今、それほど高いスキルは必要とされてないかもしれない。もちろん、商業作品なら必須の人材ではある。
原画家も専門職なので外注する場合もあったと思う。会社の顔的原画家さんももちろんいたけど。でも、単価の安い無名の新人が抜擢される場合もあった。魅力的な絵を描ける人ならスマッシュヒットを飛ばす場合もある。ま、そんな有為な人材、そうそう見つかるもんでもないとは思うけど。
音楽もこれまた外注が多かった気がする。ゲーム専門の音楽家さんなんかは独立で仕事を請け負うケースが多かったんじゃなかろうか。音楽部門まで持ってたエロゲーメーカーは寡聞にして聞かない。
これらを考えてみるとフリーゲームの制作現場も実によく似ている。いや、同じようなもん作ってんだから似ていて当然か。プログラム、音楽、原画は最低、外部に頼ることになる。自前で用意できなくても最悪、なくてもどうにかなる。あるに越したことはないけど。
グラフィッカーもフリーの背景素材が配布されてるので外注してるのと変わりない。メーカーだったら背景すら自前で用意しなくちゃいけないから必須だけど、これもフリゲーならいなくても大丈夫である。
忘れちゃいけないのが制作進行を司る監督やプランナーも重要な役どころ。この仕事の良し悪しでゲームのデキ、あるいは完成をも左右するとも言われてる。個人制作のフリゲーでは目に見えないけど、かなり重要なポジションだと思う。実際、メーカーでは偉い人が兼任する場合が多かったし、ゲーム制作の根幹をなす部分とも言える。
自分の場合、とにかくまとめて原画を仕上げて、それをどかっと色塗りに回し、一気に仕上げる、なんて、効率がいいんだか悪いんだかよく分からないルーチンでやってる。もう少し作業を分散してもいいような気もするけど性格なのでどうしようもない。計画性のない自分にプランナーは向いてない気がする。いや、そもそも向いてるポジションなどないのだが。これが作業を分担できるチームなら制作進行の調整も可能なんだろうけど。制作サークルがつくづく羨ましい。
その間、シナリオは何もしてないので常に次回作の構想を練り続けなくてはならない。ゲームのメインとなる部分なのでそのプレッシャーたるや半端ではあるまい。
これがプロのシナリオライターだと監督だったり会社の重役だったりデバッグ作業や広報までやってたりと、割とスーパーマンな人が多かった。シナリオさえ書いてりゃいいってわけではないのである。
でもシナリオに自信のある人はフリゲー狙うのも悪くない。絵が描けなくても写真とか配布されてる素材でも充分勝負できる。なんならキャラグラはシルエット素材でもいい。かまいたちの夜みたいなミステリとの相性はバッチリ。むしろ下手にキャラグラに凝るよりいいかもしれない。実は自分もいつかそんなゲーム作ろうと構想を温めてたりする。いつできるかは分かんないけど。
自分としてはやっぱり監督をやりたい。「キミなら出来るはずだよ」とかおだててチームのやる気を引き出させ、24時間休みなしで制作させてりゃそこそこいいものできるだろう。会社に寝泊まりさせてりゃ社員も通勤の手間が省けて一石二鳥。
シナリオを勝手に手直しして俺色に染め上げ、原画家には自分の理想とするヒロインをとことんまで描かせる。こうして自分好みのエロゲーを作り上げるのである。まさに監督のみに許された特権! 憧れるわあ。まあ、そんな会社、早晩ツブれるだろうけどね!




