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新しい召喚者に会いました(1)

「うにゃーん……! よく寝たーーー!!」


 元気爽快!

 私は猫のように伸びをすると、身体を起こす。

 万能薬の効果なのか、泥のように眠った。

 目を開けたらもう朝で、眩しい朝の光が部屋に差し込んでいた。



「ウィルドさん! おはようございます!」

「よう、おはよう! 元気になったみたいだな! 朝飯作るからちょっと待ってるよ!」

 相変わらず笑顔で親指をたててくるウィルドさんの仕草に、私はすごく安心してる。


「あ、じゃあシャワー浴びてきていいですか? 昨日、そのまま寝ちゃったから」

「――あ、先客が入ってるから順番な」

「先客? 昨日、泊まったお客様いらっしゃったんですね」

 それなのに、私のために店を閉めちゃって悪いことしたなーなんて思っていたのが顔に出たのか、ウィルドさんが、

「ミサトが寝た後に着いたんだ。心配することねーって」

と笑う。


「夜中に着いたんですか。国外からきた人なんですか?」

「そうでもあるし、そうでもないな」

 とウィルドさんは、謎の言葉を吐く。

 ふーん、と首を傾げながらも私は部屋に戻って着替えとタオルをもってきた。

 ちょうど出てきたところで、鉢合わせする。


 同時――私とその相手で揃って声を上げた。


「あっ……?」

「あ、あれ……?」

 お互い、髪の色も瞳の色も、顔の彫りの深さも、身体付きも違うのに感じる親近感……

 グレーの髪にグレーの瞳。

 白い肌。

 そして――服装は、私のいた世界の物とよく似てる。

 つーかこれ「ウニクロ」でしょ?


「なんだ、お互いに召喚者って分かるのか?」

 ウィルドさんが感心するように声をかけてきた。

「やっぱり!」

「そうですよね?」

 びっくりして固まった私に、相手の人――男の人は気安く握手を求めてきた。

「俺、アントンっていうんだ。よろしく!」

「よ、よろしくお願いします。私ミサトって言います」

 お互いに自己紹介。


 言語違うよね? なのに言葉が分かるよ?

 そういえば――今頃気づいたけど、この世界の言葉も最初から普通に分かってたな。


「ミサトは日本人だろう?」

「はい、そうです」

「しかしこの世界に召喚されたら、母国語以外の言葉も分かるようになるんだなぁ」

 アントンも感心するように頷いた。

 これも異世界補正なんだろうな。



◇◇◇◇◇



 まずはシャワーを浴びさせてもらう。

 すっきりしたところで、四人掛けテーブルには朝食が!

 今日のごはんはフレンチトースト、ウィルドさん特製ジャムつき!

 裏の畑でとれた新鮮野菜のサラダに、ウインナーとカリカリベーコン。

 搾りたての果物のジュースに牛乳。

 朝から豪華です!


「……って四人分?」

 しっかり四皿並べてあって、「私そんなに食べないよ?」とウィルドさんを伺ったあと「あっ」って思った。

「アントンさんだけじゃないんだ!?」

 声を上げた時、「いい匂い」「腹減った~」とか、階段から賑やかに降りてくる声が聞こえる。

 私はアントンさん以外の残りのメンバーをガン見。

 先頭から二番目の青年は、アメリカンだし、三番目の女性はイタリア系……?

 それぞれ剣に槍に杖など持ってる。

 向こうも私をガン見しながら「お~」と声を上げたので私も一緒に声を上げる。


 今、店にいるのは――


 私

 ウィルドさん。

 それから城から出てきた、勇者パーティのメンバーであった人達。

 食事をしながら自己紹介をする。


 アントン(ロシア出身)槍使い 二十三歳

 ジョン(アメリカ出身)弓使い 二十歳 茶色の髪に瞳のそばかすでいっぱいの元気な青年だ。

 キアラ(イタリア出身)魔法使い 十九歳 ミラノ系で金髪に青い目で、迫力ある美人だ。なのに気さくに話しかけてくれる。


 ――正直、ミラノ系イタリア人と普通のイタリア人の区別がつかない私ですが……



「はぁ~! うまーい! ウィルドさん! 美味いよ! これ全部作ったの?」

 ジョンさんが身体を震わせ、喜びを表現する。

 うんうん、分かる。ウィルドさんの作ったご飯はおいしーんです!

「足りなかったらいいな。追加作ってやるから」

 ウィルドさん、気前いい。

 誰にも優しいなあ、ウィルドさん。

(そこが良いんだけど!)


「俺、ベーコンとトーストお代わりしていいですか?」

とアントンさん。ちょっと恥じらいながらウィルドさんにお皿を渡す。

「ああ! 腹一杯くいな!」

 それにウィルドさんは超笑顔で応える。

「お、俺も……! ベーコンとウインナーとトースト食いたい!」

「私……サラダ。新鮮な生野菜……久しぶりで嬉しい~!」

 つぎつぎとお皿を渡していくメンバー達。


「任せな! ――ミサトは? お代わりは?」

「え、ええと……わ、私は……」

 正直もうお腹はいっぱいだ。でも、一緒にお代わりをした方がいいかと悩んでしまう。

「そうだ、昨日カフェ・オレ飲んでねーな。飲むか?」

「――はい! それで!」

 ウィルドさんの気遣いときたら!

 痒いところに手が届く! 的な世話女房なスキルにもう私はメロメロだよ!

「カフェ・オレ? あるの? 城にはなかったわ」

 とキアラさん。めっちゃ驚いてる。

「ミサトが教えてくれたんだ。飲むか?」

「勿論よ!」とにっこにこ。


「そういえば、俺たちの世界にあるような食材もあったよな~」

 なんてアントンさんが言い始めて、それからこの世界の食事事情なんかをウィルドさんが教えながら追加の食事を作る。

 そんな楽しい時間が過ぎていった。




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