最初からこうするつもりだったのbyココア
不運悲劇の連続で心が壊れたあたし。
縁結びの影響か知らないけどテイゴが変な告り方してきて、
それがもうおかしくておかしくて仕方ない。
火事も忘れておちょくってたら急に誰か飛んで来るし、テイゴがそいつを銃撃するし、
しかもそいつは不死身のフジミヤよろしく平気そうにしてる。
そういやフジミヤ、今何してんのかな。
あのクソチビクマ子とナカヨクシテるの?
……クソ馬鹿。
「あの、この火事を起こしてるのは誰ですか?」
「お前随分物知りだなおい随分。
それよりお前不死身かよお前」
「知ってどうすんのか知らないけど、あそこで寝てるのがそうよ」
あたしは少し離れた植え込みの中を指差した。
植え込みの中にはハツカが倒れてる。
ふーん、あいつまだ生きてるみたいね。
誰かさんは「ありがとうございます」とあたしにお礼をしてから植え込みへと走った。
白い病衣に血が滲んでるけど、銃で撃たれた感じがまるで無い。
あいつも超能力者で、しかもフジミヤと近い能力なのかな。
「テイゴと違って随分礼儀正しい……あれ?
あいつ……あいつ白雪王子じゃない!
なんで植物人間がこんなとこにいんのよ。
うっそぉ? 超展開だわ超展開!」
「知ってんのかココアちゃん知ってんのか?」
「病院で植物人間してた筈よ。
少なくともつい今朝まではね」
「あいつも超能力者なのかあいつも?」
テイゴが白雪王子に銃を向けた。
もう撃つ気無い癖に。
「さあ?
てかあんた無駄弾使わないって言ったのに適当にぶっ放して、
しかもホントに無駄にしちゃったわね。
あはは」
「うるせえぞココアちゃんうるせえぞ」
「あれぇ?あたしにそれ向けてどうすんの?
惚れたんじゃなかったっけ?ねえねえ」
銃を向けられてるってのに、あたしは自分からテイゴににじり寄った。
イかれちゃったのもそうだけど、テイゴ弄りが止まらないの。
「何だよココアちゃん何だよ」
「そもそもあんたさぁ、どうしてハツカを撃ったの?
相手がお巡りさんとかならまだ分かるけどさ。
沸点低すぎじゃない?」
「俺には時間停止がある俺には。
だから俺がルールで俺が法律だだから。
脱獄だって逃亡だってし放題なんだよし放題」
「あんなんでも一応あたしのツレなのよね。
どうしてくれんのよ?」
「今更何だよ今更」
確かに。
今更何言ってんだろあたし。
もう自分で自分が分からなくなってきた。
理性が押し出され、膨れ上がった感情だけが肉体を突き動かしてる感じ?
やっぱり分かんない。
「おい熱いっておい!」
何が怖いのか、テイゴはあたしに合わせて後ろに下がり、
もう少しで炎に触れてしまう所まで来た。
「は?だから?
時間停止でも押し倒してレイプでも何でもすれば良いじゃない。
あんたがルールで法律なんでしょ?」
「ココアちゃんに惚れたんだよココアちゃんに。
だからレイプとかしたくねえし撃ちたくねえだから」
テイゴはあたしを回り込んだ。
さっきまでの位置関係が逆転し、あたしの後ろが炎になる。
「あたしを焼きたい?
この炎で」
「ちげえよ。
ココアちゃん、俺と付き合ってくれ俺と」
「本気で言ってんの?」
「こんなに強く惚れたの初めてなんだよ惚れたの。
物とか金には不自由させねえから物とか金には。
俺のオンナになってくれよ俺の」
あたしはどっか壊れちゃったけど、
ハツカや白雪王子に銃をぶっ放した奴なんかのオンナになる気はこれっぽっちも無い。
正気か狂気か、これってどっちだろ。
「ま、でもどうせ焼け死ぬんだし、ちょっと遊んだげるわ」
テイゴの足元に座る。
惚れられてるせいか、銃を向けられたりはしなかった。
チャンスね。
「ココアちゃん何すんだよココアちゃん」
「何って、あんたの頭ん中を埋め尽くしてるアレよ」
テイゴのジャージを両手で下ろす。
「ちょっ!」
「は?あんたブリーフ?
恥ずかしくないの?」
「ちょっとココアちゃんちょっと!」
テイゴが左手をあたしの頭に添え、やんわり押し退けようとしてくる。
「散々セックスアピールしといて、今更何焦ってんのよ」
ブリーフの前面をめくり、テイゴの息子さんを引っ張り出した。
まだ半立ちだけど先輩のよりは小さいかな。
「でも心の準備が、あっ……」
先端にキスをした。
10日モノがどうとか言ってた割にはそこまで臭くない。
先輩に即尺させられた時はこれよりもっと酷かった。
今になって思えば、あいつとの間に愛なんてカケラも無かったね。
「あ、勃った」
「そりゃ、オトコだからそりゃ……」
「でもあんたこんな非常事態なのに、よくビンビンに出来るわね。
生存本能がどうたらって奴?」
手で軽くしごいてみる。
やっぱり先輩よりも小さい。
デカけりゃ良いってもんでもないけど。
「ココアちゃっ!?」
少し舐めただけなのに大袈裟。
でも発言を中断させるのは面白い。
やっぱあたしってSなのかな。
「そんなに気持ち良い?
もしかして初めて?」
「そっちこそ……っ!?」
頭全部を口に含んでみた。
唾液はなるたけ多く出しておく。
忘れたいのに、先輩にしつこく言われた事がまだ染み付いてる。
「……ぷはっ」
唾液が糸を引く。
すぐに切れたけど。
「ココアちゃんマジどうしちまったんだよマジ」
「いやいや、あんたがしたがってたんじゃないこう言うのを。
まさかホントに初めて?」
「童貞じゃね、っ……」
ちょっと強めに握ってみた。
ニチャッとやらしい音、あたしが付けた唾液のせいだ。
「はい喋らせませーん。
ハツカを使えなくさせたのはあんたなんだから、
責任とってオモチャになってもらうわよ」
「ココアちゃんマジビッチココアちゃん……」
「ビッチ?先輩のせい。
あたしを都合良い、それこそ使い捨てオナホとしか見てなかった先輩。
あーあ、ちょん切られて死ねば良いのに」
あたしは(未成年だけど)やけ酒でも煽るみたいな気分で、
テイゴの息子さんを一気に飲み込んだ。
喉が肉で埋まり、少しだけ吐きそうになる。
一度半分くらいまで頭を引いた後、先端に舌を這わせながらゆっくり沈む。
「ココアちゃんそれヤバイココアちゃん……うっ!」
うわ早。
「ちゅぽ、ちゅぽ、ちゅぽっ」
始めてしばらくは優しめに、出そうな時はガンガンやってあげると喜ばれる。
先輩だけかと思ってたけどテイゴにも有効っぽい。
出てる最中は止まらずに、徐々に遅くして。
1発目だからか結構多い……。
胃がムカムカしてくる。
「ココアちゃん!?」
ハツカが大きな声を出した。
あんた死にかけじゃなかったの?心配して損したわ。
あんたが思ってるよりあたしは汚いし、良い子でもないからね。
「うわっ!」
今のは白雪王子?
あたしの後ろの炎が勢いを増した気がする。
背中がちょっと熱い。
この火事はハツカの超能力が起こしてるらしいけど、急にどうしたの?
目を覆いたくなるようなあたしが、あんたの心をかき乱したって?
「うっ、ココアちゃんまた……っ」
そろそろ再開。
直後はデリケートにしないと怯んじゃうだけ。
しばらくはねちこくしてあげる。
実はこれくらいが逆にウケ良かったりしてね。
地味だけど。
「ココアちゃん!どうしてそんな奴と!」
「大人しくしないと!
あなたはケガ人なんだよね」
うっさいなあ。
あたしはこうなのよ。
こうまでしても駄目だったのよ。
「……ずちゅるるるっ」
吸ってみた。
もう元気になってる。
少し早いかも知れないけど、いじめてあげよう。
「うああっ……」
脳死で頭を前後させる。
自分がペースを握ってるならそんなに苦しくならない。
「ココアちゃん!どうしちゃったのさ!」
あんたこそあたしごときに必死過ぎんのよ。
てかそんなに元気ならこの火事なんとかしたら?
あたしは別にどうでも良いけどさ。
「あっ!」
テイゴがあたしの頭を左手で押し付けた。
喉奥で出されたら飲み込まざるを得ない。
さっきは自分の意思だったけど。
「ん……んく……」
薄眼を開き、テイゴの右手をチェックする。
拳銃は握ったまま。
……もう一押し。
「ちょっ!?」
あたしはテイゴの背中を掴んで押し倒した。
力尽くでそうしたと言うよりも吹けば飛ぶ、あたしにされるがままって感じ。
口をモゴモゴさせ、舌で満遍なく唾液を纏わせた。
「……ふう。
次は手でシてあげる」
「次ぃ!?」
「溜まってるんでしょ?
3発くらいイケるって」
あたしの右手は問答無用。
唾液をローション代わりにして、搾り取るように。
「ほら元気じゃん。
あ、アレやったげる」
手の上下は程々にして舌を併用。
先輩が好きだったプレイだ。
こいつにははどうだろうか。
「あっ!それヤバイそれ!」
「気持ち良いの?」
顔を見てみる。
もう下半身の事しか考えられない、そんな感じの蕩けた顔だった。
男は簡単で良いわね。
あたしは舌を加速させた。
「あ!ヤバイもうヤバイ!」
早過ぎ。
「ほら出してよ。
噴水みたいにさ」
右手を全開にした。
すぐ疲れるからあんまりしたくないんだけど、ラストスパートって事で。
「あっ、あっあっあ……」
「うわ」
3発目。
引くくらい高く飛んだ。
噴水は冗談だったんだけど。
そして、拳銃を握るテイゴの右手が緩んだのをあたしは見逃さない。
右手をまだそのまま続けて、左手で拳銃を楽々奪う。
一説によると、男が出す時の知能指数は普段100前後なのが2とかまで下がるらしい。
『パァン』
てな訳で、あたしはテイゴの右手に発砲した。
「ぎゃああああああ!」
「ばーか」
テイゴは血を撒き散らし、右手を押さえて転げ回っている。
一瞬で少しだけ移動した……かな?
微妙過ぎてなんとも言えない。
「いでえ!いでえいでえ!」
「ひょっとしてあんた、今時間止めた?」
「があああああ!いてええええ!」
「最初からこうするつもりだったの。
こうでもしないと時間停止には勝てないからさ」
「ぢくしょおおおおおお!」
下を出したまま悶絶するテイゴを見下ろしながら、
クマ子の棒付きキャンディを取り出した。
口直し口直し。
包み紙を歯で引きちぎり、そこから爪でめくる。
咥えると、桃かなんかのフルーティな香りが口の中に広がった。
勿論香りだけじゃなくて、ベタベタした甘味もまた良い。
「あー、生き返る……」
クマ子め、次に会ったら3本は引ったくってやるから。
てか死ね。
フジミヤも……ってあいつは不死身か。
「ココアちゃんさん!」
「ちゃんかさんがどっちかにしてよ。
何?」
「ハツカさんが呼んでるんだよね」
「ああ……」
結構ひどい事言っちゃったし今更何するでもないけど、
顔見せてやるくらいはいっか。
テイゴもすっかり大人しくなったし。
あたしはハツカの方へ歩いた。
「ココアちゃんさん」
「だからどっちかにしてって」
「さっきあの人としてた遊び、なんて言うんですか?」
「……は?」
ひょっとして白雪王子、残念系イケメン?
「ココアちゃん……スカッとしたよ」
ハツカは相変わらず寝転がってるけど、笑ってる辺り意外に元気そう。
顔色は青っぽいけど。
「そもそもあんたがさっさと逃げてりゃ良かったのよ。
せっかく芝居してやったのに」
「演技なのは分かってたよ。
でもどうしてもほっとけなくってさ……」
やっぱりあたしは演技が下手なんだろうか。
別にその道を極めるつもりもないけど、2人から同じ様に言われるとヘコむ。
「つまんない意地張っちゃって」
「ハツカさん、炎が……」
キョロキョロしてる白雪王子に釣られて辺りを見渡すと、
あちこちで燃え上がってた炎が見る見るうちに小さくなっていく。
改めて、この火事は超能力者が起こしてたんだと実感した。
「ココアちゃんが大逆転してくれたお陰さ。
オイラ、今すっごく暖かい気分だよ」
「それは良いとしてハツカ。
最初にナンパして来た時の火もあんたの仕業だったのね」
「ギクッ」
「ギクッて……それ声に出して言う?
あたし達がエピローグ気分を味わっていると、
やや丸っこいシルバーの自動車が植え込みを
『バキバキバキバキ』と破壊しつつ大胆に登場した。
結構遠くだから慌てる事もないけど。
弾が残ってるかはさておき、なんならこの拳銃もあるし。
「誰か降りてくるわね」
「あれ……カイリだよね!?」
白雪王子が自動車の方へ走り出した。
白い病衣姿だけど確かにあれはカイリだ。
入院してた割に元気じゃないの。
カイリと白雪王子は友人だってウララさんが言ってたわね、そう言えば。
「何しに来たんだろ」
もしかしたらまだ何か起こるかもと思って、
あたしはパーカーの内側に拳銃を忍ばせておいた。