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もしかして俺様が不利なのかbyカイリ

クソ不死身くんをぶっ飛ばした後、俺様は動けず座り込んでいた。

さっきのパンチはほぼ全力。

最強のカイリ様でも、息が上がっちまう。


「ったくよぉ」


あの野郎、不死身だからってわざわざ自分からボコられんのかよ。

アタマ下げりゃあそれで終わりだろうが。

殺せとか言い出すしよ。

訳分かんねえよ。

絶対ラリってるだろ。


不意に風が吹き、俺の自慢のリーゼントを揺らした。

廃ビルの中に風だと?


「あー、あれか…」


そういやクソ不死身くんをぶん殴った時に、壁に穴が開いたんだったな。

穴の向こうの外の景色が良く見える。

風はここから入ったのか。


にしても、すげえパワーだよ。

これなら地元どころか全国制覇も楽勝だ。

勢い余って殺さねえように加減が要るな。

さっきは全力出しちまったが。


不死身でもこれなら死んだんじゃねえかな。


『ダッダッダッダッダッ』


走る足音が聞こえる。

こっちに来るみてえだ。

まさかな…。


いや、そのまさかだった。


「カイリィッ!」


自分で開いた穴の外から、クソ不死身くんが飛び込んで来やがった。

フラフラだったくせに、今はやたら威勢が良い。


「てめっ…」


俺様目がけて猛ダッシュしてるんで、立ち上がって避けようとしたが、遅かった。


「うおおおお!」


『ドンッ』


クソ不死身くんの体当たりに、俺様は突き飛ばされる。


「がぁっ!」


「第3ラウンドだ、カイリ!」


こいつ、やる気満々だな。


「てめぇ、またぶっ飛ばされに来たのか!?」


そんなら俺様も起き上がり、クソ不死身くんに反撃だ。


「うぜえんだよぉ!」


低い姿勢で駆け寄り、クソ不死身くんアゴにアッパーをぶちかます。

クソ不死身くんは真上に飛んで行き、余裕で天井にぶつかった。

天井のコンクリに亀裂が入る。


「やべぇ!」


クソ不死身くんが落ちて来るのは当然だ。

だが、同時にコンクリの破片も降り注ぐ。

天井を砕いたのはまずかったな。


俺様は大きい破片を避けるが、小さいのは多過ぎて無理。

腕でガードするしかなかった。


「ぐ…」


しまった、隙だらけだ!


「食らえ!」


案の定、着地済みのクソ不死身くんのミドルキックをモロに受ける。


「ぐほっ」


パワーは俺様の方が上なのに、立ってられる蹴りじゃねえ…。

俺様は倒れ込む。


この喧嘩、もしかして俺様が不利なのか?


「効かねえんだよ。

どんな馬鹿ヂカラも。

串刺しでもな」


クソ不死身くんは偉そうに腕を組んでいる。


「ふざけやがって…」


「今日からカイリに代わって、俺が番長か!」


「黙れっ!」


それはさせねぇ。

俺は最強であり続ける。

親友、オサムの為に…。


「うおおおおお!」


俺様は余裕ぶっこくクソ不死身くんに、お返しのミドルキックをくれてやった。

キックが当たる寸前、奴が呟く。


「まだ分かんねえの?」


直後、クソ不死身くんは壁に激突。

その衝撃で廃ビル全体が揺れた。


「はあ、はあ」


普通の人間なら、トマトみてえに潰れてるはずだ。

それなのに奴は、クソ不死身くんは平然としてやがる。

まだ立ち向かって来やがる…!


「てめぇ、何がしてえんだよ」


「俺か?俺はただ、お前が負けを認めればそれで良い。

たったそれだけだ」


「俺様は最強なんだよ!最強じゃなきゃいけねえんだよぉっ!」


「なんで最強じゃなきゃ駄目なんだ?」


「てめぇにゃ関係ねぇ!」


クソ不死身くんとの距離が縮まる。


「お前も誰かを守りたいのか?」


そうだ。

俺様はオサムを守りたい。

だが、それをこいつに言うのはシャクに触る。


「べらべら喋ってんじゃねぇぞ!」


俺様はまた、クソ不死身くんを殴り飛ばした。

段々パワーが出なくなってきたが、それでも壁までぶっ飛ばすには十分過ぎる。

うずくまるクソ不死身くんが、また起き上がろうとしている。


その時だ。


『ガッ』


俺様のアタマに強い痛みが走る。

たまらず倒れる俺様。


「っ、てぇ…」


何が起きた?


「血ぃ?」


アタマを押さえると、手に少しだが血が付いている。

俺様からちょっと離れたとこに、バスケットボールくらいのコンクリの塊が落ち、土が跳ねた。


そうか。

さっき砕いた天井から俺様のアタマへ、コンクリの塊が落ちたんだな。

俺様が馬鹿ヂカラで暴れたせいで、この廃ビル自体がもうボロボロなんだ。

元々ボロかったしな。


「ッハ…」


ツイてねえぜ。

なんだそりゃ。


「カイリ!」


うっせぇぞ、クソ不死身くん。

やっべ、意識が遠のく。

体が動かねえ。

ガレキがどんどん降ってきやがる。

俺様の処刑場が、俺様の墓になるとはな。


悪りい、オサム。

先に逝くわ。

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