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お使いクエスト面倒くさい

「という事になりまして。」

俺は幽鬼の王城に帰ると一通りの事を師匠に説明した。

「ほう。」

「ちなみにカラスの女王に謝ったりは?」

「ありえんな。」

だろうな。

そういうと思ってたよ。

「じゃ、じゃあ仕方ないので、俺だけ先に三剣人の世界に帰りますね。」

「却下だ。」

「えっ・・・。」

却下って、予想外の回答きた。

「正道、お前はこの世界に何をしに来た?」

「しゃべる鎧にぶん投げられて、ここへ来ました。」

「・・・。」

俺は正直に答えたのだが。

師匠は何か言いたそうだった。

「ま、まあ、鎧からは師匠が消滅するのを何とかしろとか言われてまして、それは、何とかしましたよね、俺。」

べちょちぇちょにしちゃったけどね。

「私を連れて帰るという選択肢は無いのか?」

「そう言われても、謝る気はないんですよね?」

「当然だ。」

「それじゃあ、俺には、これ以上どうしようも・・・。」

「あっちをどうにかしようと努力はしないのか、お前は。」

「そう言われても、カラスの女王様が言われることは、至極まっとうな事ばかりで、師匠が謝るしか・・・。」

「それだけは、絶対にありえん。お前がどうにかしろ。」

何言ってんの、この理不尽な師匠は・・・。

嫌だもう・・・。

置いて帰りてえ・・・。


俺はレトと二人になった時、ボソッと相談してみた。

「なあ、俺だけこそっと帰ってもいいかな?」

「何言ってるんですか、正道さん。アレも連れて帰ってください。」

「どうやって?」

「・・・。」

「まずは、お前が謝ってみるか?」

「正道さんが、そうしろというなら、そうしますよ。」

素直なレト。

チクショー、何で男ボディなんだコイツっ!


作戦その1

レトと一緒に謝ってみよう作戦。

「以前は、軽率な発言をしまして申し訳ありませんでした。」

宣言通り、黒竜に乗って俺とレトは、天狗山へと来てみたが、大騒ぎになった。

カラス達は騒ぎ出すわ、カラスの女王は慌てるわと、それでもなんとか、謝罪の場を設けて貰った。

「もうよい、貴様がそういう奴だというのは、知っておる。」

カラスの女王は簡単にレトを許してくれた。

「それでは、女王、正道さんと剣豪の歪みの使用許可を。」

「それはならん。」

「何故ですか?剣豪が気に食わないのはわかります。しかし、この世界に居ない方がいいでしょう?」

「全盛期の剣豪ならいざ知らず、あの程度なら、居ても困らん。」

「正道さん、駄目みたいです。」

「そ、そうだな。」

「正道、アレに頭を下げらすのかと思っていたぞ。」

カラスの女王が、そう言ってきた。

「買いかぶりすぎです。あんな強情で、頑固な理不尽な人を、俺如きが説得できるわけないですよ。」

「確かになあ。」

カラス女王は、そう言って笑った。

「それでも、剣豪を説得できるのは、弟子の正道さんだけですよ?」

「レト、今、何と言った?」

「へ?」

ヤバくね?俺、弟子って言ってないよ。

「正道、貴様は、剣聖の孫なのであろう?」

「はい、その通りです。」

「何故にあんな理不尽女の弟子なんぞに・・・。」

「いや、まあ・・・色々ありまして。三剣人の世界に来た時に初めて会ったのが、師匠なんですよ。」

「なるほどな。」

「そもそも、ばあちゃんが、剣聖ってのも知りませんでしたし。」

「ふむ、納得した。」

「納得ついでに、使用許可をくれたりしませんか?」

「それはできない相談だ。」

そう言って、カラスの女王は、笑みを浮かべた。

なるほど、俺に説得させて、どうあっても頭を下げさせたいみたいだな。

ハッキリ言って、無理ゲーだそんなもん。

「正道、次はどんな手で来るか、楽しみにしておるぞ。」

カラスの女王って暇なのか?


さて、城に帰った俺は正攻法で頼んでみる事にした。

「師匠、一生のお願いです。俺の頼みを聞いてもらえませんか?」

どうせ聞いちゃくれないだろうなあ。

「可愛い弟子の頼みだ、聞かない事もない。」

マジで?

「しかし、いいのか?正道。一生のお願いとは、一生に一度だぞ?」

「そ、そりゃあ、もちろん。」

聞いてもらえるなら、二度三度と聞いてもらいたいが、世の中そんなに甘くねえ。

とういうか一度でも聞いてもらえるのが、奇跡だろ。

「じゃあ、心して頼み事を言うんだぞ?」

「はい。あの・・・。」

「私はてっきり。」

俺が頼みごとをしようとしたら、師匠が遮ってきた。

「私を自分の女にしたいというのが、お前の望みだとずっと思ってたんだがな。」

「う、うええええっ?」

い、一生のお願いって、そういうのもありなのか?

「もう一度言う。心して頼み事を言うんだぞ?」

「はいっ!」

何と言われようと俺の心は決まっていた。

「俺の女になってくださいっ!」

「うむ。」

うむ?うむって言いやがったぞ、このあま

きたきたきたーーーっ!

ついに俺の時代が来たー。

「私より強くなったらな。」

で、ですよねー・・・。

そんな落ちだろうなとは思ってたよ。


ぐ、ぐすんっ!


泣いてなんてないから、心で泣いてなんてないから・・・。


「何やってるんですか、正道さん。」

後でレトに怒られた。

「いや、レト、お前の言いたいことは、よくわかる。よくわかるが、人間の男には引くに引けない時があるんだよ。」

「大体、一生かかっても、剣豪より強くなるなんて思えませんよ?一生のお願い意味ないじゃないですか?」

「ですよねー。」

そうだと俺もわかってました。

判ってましたとも・・・。


夕暮れ時、俺はテラスっぽい所から、夕日を眺め黄昏ていた。

って、色のない幽鬼の世界に、夕日もクソもあるか。

1人ツッコミしながら、手詰まりな状況に両手を上げざるを得なかった。

そんな時。


ばさばさばさ。


何かが飛んできた。

何かっても、こんな時、飛んでくるとしたらカラスだろ。

女王の気でも変わったのかな。

「おい、剣聖の孫。」

「飛べるっていいな。外敵居なくて。」

俺が知る限り、この世界に飛べる幽獣は居ない。

「何を言うか、空は黒竜の物と言っても過言なかろう。」

そういやあ、居たわ。

理不尽な竜が・・・。

「何の用だ?女王の気でも変わったか?」

「そうではない。」

まあ、そんな簡単には変わらんよな。

「女王が頼みたいことがあるそうだ。」

「へえ。」

「その結果次第では、剣豪の入山も許可してもいいということだ。」

「マジで?」

いやいや、本当、マジ助かる。

完全に手詰まりの状況で本当、助かるわあ。

「詳しい事は、天狗山で女王が直接、話すそうだ。」

「わかった。明日、伺うと伝えて置いてくれ。」

「了解した。」

そう言って、カラスは再び飛び去って行った。

しかしまあ、カラスっていうか、空飛ぶペンギンなんだけどな、アレ。

ちょっと1匹欲しいわ。


翌日、再びレトを伴い、カラスの女王の元を訪れた。

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