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俺の嫁探しの旅

ばあちゃんにひ孫を抱かせるべく、俺の嫁探しの旅が始まった。

子供作るってことは、必然として卒業できる訳で、俺にとっては願ってもないことだ。

旅に出て一番、最初に出会った女性は。

絶世の美女だった。

金髪青眼のエロい体をした。

露出が多い戦士風の女性。

俺が、この世界に来て、一番最初に出会った女性。

俺が今、会いたくない一番の女性・・・。

「正道、どちらかを選べ。」

「言われなくても師匠一択です。」

師匠の後ろには、僕男が居た。

男に用はない。

「何を言っている?右足か左足だ。」

ははは・・・。何を言ってるんだろう師匠は。

「逃げ出してませんよ?マジで。」

「ほう、ドラゴンも連れずにか?」

「ばあちゃんが、一人で旅してこいって。」

「それを信じろと?」

「何なら、聞きに行って貰ってもいいですよ。俺待ってますから。」

今回に限っては、やましい事は一切ない。

「どうやら本当のようだな。剣聖は何を考えてるんだ。」

「一人旅で鍛えてこいって。」

「お前が一人旅で強くなれると?」

「ど、どうでしょ、それなりには?」

「小銭を稼いで、遊んで暮らすのが目に浮かぶわっ!」

さすが師匠、俺の事をわかってらっしゃる。

しかし、今回は違う。

「ばあちゃんからは、別の目的も言われてるんで、そんなことないですよ。なるべく早く戻るつもりです。」

「ほう、何の目的だ。」

何か、正直に言ったら怒りそうな気もするが、自分だって男いるんだから、大丈夫だろう。

「嫁探しです。」

「面白い冗談だ。」

「いや、本当に。ばあちゃんがパートナー見つけて来いって。」

「剣聖は何を考えてる!」

「俺に言われても・・・。」

ひ孫を抱きたいだけとは、言えなかった。

「まあいい、私と来い。修行をつけてやる。」

ちょっ・・・。

何か俺の嫁探しの旅が今始まる的な感じじゃなかった?

まだ一歩も進んでねえよっ!

「ちなみに断ったら?」

「右足か左足を置いていけ。」

マジだ、この人。

こうして、俺の嫁探しの旅は、今、終わりを告げた。

はえええよっ!

出会いすらなかったわっ!


それから俺の血反吐を吐く修行の日々が始まった。

いや本当。

目的が血反吐を吐く事じゃないかと思える地獄が。

俺の影、何してんの?

いつ、俺を日本に戻すの?

今、でしょっ!

ある日、俺が一向に帰ってこないことを心配してか、ばあちゃんが来てくれたのだが。

どっちが甘やかしたか口論になり、それ以降、師匠の修行は過酷さを増した。

泣き言を何度も言ったし、もうどうせ死ぬならと、今まで言ったことない文句まで言ったが。

言うだけ無駄だった。

「これだけ鍛えても一向に強くならんな。」

「そんなことないですよ?僕と打ち合えるようになりましたし。」

この僕男、半端なく、つえええ。

バジリスクをいとも簡単に始末しただけはある。

てか、こんなに強いのに冒険者に依頼って、何だ?

聞いてみたいことは多々あったが、言葉を発する暇があったら血を吐けという修行内容なので。

帰りたい・・・日本に・・・。


そんな地獄の日々が長く続いたある日、師匠が訳の判らないことを言い出した。

「どうやら、私はお前に甘いらしい。」

甘くねえよっ。

ふざけてんのか、このあま

「暫く、剣王のところへ行って貰う。」

「嫌です。」

甘いとか言ってるところを見ると剣王とやらは、更に鬼なのだろう。そもそも名前の響きが三剣人の中で一番ヤバいわっ!

「そんなに私から離れたくないのか?」

「はい、師匠の傍にずっと居たいです。」

単に、剣王の所へ行きたくないだけなのだが、このセリフは嬉しかったらしい。

「私もお前と離れるのは寂しいのだがな、仕方ない。」

ちょっ。

仕方ないの一言で終わらせないでくれ。

嫌だ嫌だと、物凄い駄々をこねてみたのだが、本当に足を斬り落とされそうになったので、大人しく従った。


俺を待っていた剣王は、ガチガチムッチョの男だった。

想像通りだよ。

これで待っていたぞ○○○○って言われたら、もろあの人だろっ!

「待ってたわよ。正道ちゃん。」

そっちかっ!そっちのパターンで来たか。

これはマズイ。

非常にマズイっ!

俺の貞操の危機だろ。

「剣豪から頼まれごとなんて、世界が終わっちゃうんじゃないかと思ったけど、弟子をとるなんて、見た目と違って随分可愛い事するのね。」

いやいや、お前の見た目とギャップがやべえよっ!

たった一人、素直に剣王の元に来た俺。

逃げればよかった。

でも、片足大事だし・・・。

「ねえ、正道ちゃん。コースはどうする?」

「コース?」

「地獄コースと快楽コースあるんだけど、うふっ。」

「地獄コースでお願いします。」

「本気で言ってんの?」

当たり前だ、快楽コースなんて、アレしか思いつかんわっ。

「変わった子ね。新しい世界が開けたかもしれないのに。」

開きたくないわっ!そんなもん。


地獄コースは、師匠の鬼の修行とそう差はなかった。

それなりに加減してくれてるのだろう。

俺は血反吐を吐きながら、剣王と対峙していた。

1日以上は経っていた。

休憩はいつなんだ・・・。

意識がもうろうとしながら、そんな事を考えていた。

「どうする?ベットでゆっくり休憩する?それもと修行を続行する?」

「続行でお願いします。」

即答した。そりゃそうだろ。

二日目に突入し、俺は何度か立ったまま気絶した。

その度に。

「うふっ。美味しそう。」

剣王のその声に、目が覚めた。

や、ヤラれる。

マジで・・・。

「ねえ、正道ちゃん、私、用事が出来ちゃったんだけど。家に帰ってベットでぐっすり休む?それとも幽鬼の巣で修行する?」

俺が修行してたのは、剣王の屋敷内にある闘技場のような場所。そこには、幽鬼の巣があった。

幽鬼の巣がある場所に、屋敷を造るなんて、悪趣味この上ない。

しかし、今の俺にとっては、これほどの安息の地はない。

迷わず、幽鬼の巣に飛び込んだ。

幽鬼の巣だが、相変わらず幽鬼は、出てこない。

今は幽鬼はどうでもいい。

影だ、影。

俺は、俺の影を探したが、奥へ行けども居なかった。

く、くそっ。

一刻も早く、日本へ戻りたがったが。

仕方なく、俺は泥のように眠りについた。


「どういう事かしら?」

俺は、剣王の声に飛び起きた。

しまった、寝過ぎた。

「心配で駆け付けたんだけど。」

暗闇の中で、剣王を見る。

腰には剣を持っていた。

ちなみに俺と修行するときは、丸腰だ。

「ねえ、正道ちゃん、どういう事?」

「い、いや、俺にも理由はサッパリ。」

幽鬼が出てこない理由は俺にも判らなかった。

「まあいいわ。ここで二人で休んでく?」

俺は逃げるように幽鬼の巣から出た。

「それにしても、幽鬼の巣で、ゆっくりお休みなんて腹が立つわ。ねえ?」

剣王はお怒りだった。

地獄コースの本番が始まった。

そこから三日間、ぶっ続けで剣王と対峙して、俺は死にかけていた。

「いいのよ?ゆっくり休んでも。」

や、ヤラれる。

体に危険信号を流しても、もはや、気力すら残ってない。

「あら、もう限界なの?」

ヤバい、ヤバい、本当にヤバい。

「じゃあ、ベットでゆっくり。ねっ。」

俺の貞操の最大の危機に、王子様が現れた。

俺と剣王の間に立つ、美しい男。

人類最強の男が剣王の前に立ち阻む。

いや、マジで、俺が女だったら惚れてるよ。

「兄さん、俺の正道に何してるんだ?」

・・・。

「あら、フェイサー。いくら弟と言えでも、邪魔は許さないわよ。」

・・・。

「正道を好き勝手にして、剣聖が黙ってると思うのか?」

「どうして剣聖が出てくるの?剣豪の間違いでしょ?」

「正道は剣聖の孫だよ。」

「剣聖の孫がこんなに弱い訳ないでしょ?」

・・・。

「転生前の孫だそうだよ。」

「あら、そうなの。」

・・・。

眠い・・・。

しかし、このホモ兄弟を前にして。

ね、寝たら・・・。

俺は意識を失ってしまった。


俺が意識を取り戻したのは、ベッドの上だった。

服は着ていた。

だが、安心は出来ない。

俺の貞操はどうなった・・・。

もう、お婿に行けないかもっ!

俺は両手で顔を覆った。

「心配しなくても、剣豪の弟子に手を出すわけないでしょ?」

剣王が、そう言って部屋に入ってきた。

信用できんっ!

「安心していいよ。正道。」

そう言って、フェイサーも部屋に入ってきた。

人間的には信頼できるフェイサー。

っていうか。

「お前、人じゃあなかったんだな。」

人を超えた強さをしてるとは思ったが。

「隠してたつもりじゃなかたんだけどね。」

正直、コイツが人とか人外の者とかどうでもいい。

問題は別にある。

「怖がらせたくなかったんだよ。」

いやいや、種族は問題じゃないからっ!

「フェイサー。諦めなさい。正道ちゃんはノーマルよ。というか相当な女好きね。」

その通りです!

超女好きです。

「兄さん。正道はこう見えて童貞なんだよ。」

「ど、童貞ですって!?ジュルりっ。」

俺は生唾を飲み込む剣王に恐怖を覚えた。

「正道ちゃん、見込みあるわよ。」

何の見込みだ、何の!

「孫がお世話になったようね。」

ばあちゃんが、肩にドラオを乗せて登場した。

助かったのか?これ?

もう最近は、誰が天の助けかさっぱりわからん。

そもそも、誰も彼も俺を鍛えるけど、どうしたいわけ?

「本当に剣聖の孫なの?」

剣王が、ばあちゃんに聞いた。

「ええ。」

「未だに信じられないわ。」

「あなたにだって、弟が存在するでしょ?」

「それは、そうだけど。」

「連れて帰ってもいいかしら?」

「私が剣豪に怒られるじゃない?」

「私が連れて帰ったって伝えて頂戴。」

「わかったわ。」

よし、ばあちゃんには、ひ孫作戦で。

俺は再び、嫁探しの旅に出れるようにしようと考えた。

が・・・。

何故かまた、中央地区のばあちゃんの家に連れて行かれた。

板間の道場・・・。

なんか、ここが一番圧迫感あるわ。

トラウマのせいかもしれんけど。

「少し、打ち合いましょ。」

いやいやいや。

ばあちゃんの打ち合い、半端ないから。

三剣人、全てと立ち会いをして判ったことがある。

ばあちゃんが一番手加減できてない。

この人、一番不器用なんじゃね?

力の加減は、剣王が一番出来てたと思う。

そうこう考えてると、一番加減が出来てない人の攻撃が始まった。

これで加減してるんだから、たまったもんじゃない。

それでも、血反吐を吐く特訓のお蔭か、30分経っても俺は立っていた。

奇跡だな。

「少しは、マシになったようね。これなら、こわ・・・。私の修行にも耐えれそうね。」

あんた、また壊すとか言いそうになったよね?

孫だよね?俺。

「ばあちゃん、ひ孫はいいの?」

「今は、あなたが強くなる方が大事よ。」

くそっ、ひ孫作戦失敗か・・・。

それから、暫く、修行の日々が続いた。

立ち合いは、はっきり言って、ばあちゃんのが一番きつい。ぎりぎりの立ち合いをしてくれる剣王とはわけが違う。気を抜けば命取りになるのだが。

それでも三食と睡眠がしっかりとれるから、苦なく続けられる。当たり前のことが、凄くありがたく感じられた。

「もう少し、強くなれば一人旅しても問題ないわね。」

「何言ってるのばあちゃん。今でも十分やっていけるよ。」

そもそも、師匠の所を逃げ出してから、結構長い事一人旅をしてた俺。あれ以上の強さは要らんだろ。

「バジリスクにも勝てないようじゃ、ドラゴンとか相手できないでしょ?」

「いやいや、そもそもバジリスクと出会う事なんて、めったにないし、ドラゴンだって普通に暮らしてたら会うことないから。」

「でも、あなたのその盾は、炎竜の鱗でしょ?」

「そ、そうだね・・・。」

「ドラオとも竜契を結んでるでしょ?」

まったく、なんて人生だ。

竜と2回も出会ってる。

これじゃあ、俺の言い訳が、破たんしてるじゃねえか。

「せめて、ドラゴンと対峙しても命を失わない位に強くならないと、安心して嫁探しの旅を許可できないわ。」

普通に考えたら、物凄く高いハードルに感じるのだが。

俺には、物凄く低いハードルに感じられたし。やっぱり孫は可愛いんだなと思えた。

完全にマヒしてるんだろうが・・・。

この世界の創造主の一人が、私より強くなれって言うのに比べたら、ねえ?

マヒしてもしょうがないだろ。

それに、俺は、ばあちゃん子だし。

日本で、殺されかけたけど。

ばあちゃんが、点てた抹茶とか好きだったし。

グラニュー糖が、入ってたらしいけど・・・。

幸せな日々が?

幸せか?毎日毎日、血反吐吐いてたが・・・。

それでも、ばあちゃんは、孫と過ごせる日々が幸せそうだった。

一応死ななかったし、ばあちゃん幸せそうだったし、まあいいか。

ついに、ばあちゃんから一人旅の許可が出た。

やっぱり、ひ孫が抱きたいのだろう。

俺もいい加減、卒業したしたいし、マジで。

ようやく、俺の嫁探しの旅が、ようやく!


「迎えに来たぞ、正道。」

始まらんし・・・。

なんなの、この空気を読まないあまは。

「な、何のようですか?師匠?」

「酷いです、正道さん。僕の依頼は?」

「知らんわっ!男ボディーに用はないっ!」

「この幽鬼の依頼を受けるぞ、正道。」

何言ってんだ、この人。

「正気とは思えないのだけど?」

ばあちゃんが言ってくれた。

「私には、あの男に会う目的がある。」

けっ!

男に会うなら勝手に行けっつうの。

「それに私の孫を利用するのは、どうなのかしら?」

「私の弟子だ。」

「私の孫よ。」

相変わらず、険悪なムードだ・・・。

「簡単に死ぬような孫なのか?」

「ちゃんと死なないように鍛えたわ。」

「それなら問題ないだろう?」

大ありだ。

男に会うなら一人で行けっつうの。

冗談は、エロいボディーだけにして欲しい。

「そうね。死ぬ事はないでしょう。」

ばあちゃんが、あっさり引いた。

ちょっ、ばあちゃん。

俺には嫁探しの旅が・・・。

「行くぞ、正道。」

俺は問答無用で師匠に拉致られた。


「それでは、僕の依頼を発表します。」

ようやく、僕男の依頼が判明する。

もはや、報酬には何の魅力もなかったのだが、コイツの依頼内容は気になっていた。

「この世界に3本の神柱があるのは、ご存知ですよね?」

この世界を支えてる3本の神柱。

神柱には、それぞれガーディアンが住んでいる。

天使と呼ばれる人外のガーディアンが。

「その神柱の破壊というか。」

何度でも言おう。

神柱には天使という化け物じみたガーディアンが住んでいる。

「アホかああああああああっ!三剣人に匹敵するガーディアンが住んでるだろうがっ!」

俺は、思いっきり僕男に突っ込んだ。

「三本全てじゃないですよ。一本でいいんです。」

「数の問題じゃねえっ!」

「心配するな、正道。私がいる。」

この世界の創造主の一人が言った。

てかさ、この人いいの?

この世界の創造主の一人でしょ?

神柱なんて、壊してもいいのか?

「それに神柱を破壊する訳じゃあない。まあ破壊しようとしても破壊できないがな。」

「じゃあどうするんですか?」

とりあえず聞いてみた。

「一時的に妨害するだけだ。」

「はあ?」

何の意味があるんだそれ。

「ようは、一時的に幽界とこの世界の道を造る。」

「どうなるんで?」

幽鬼でも大量に湧くのか?

「僕は、幽界に帰ります。」

まあ、それはわかる。

「私は、幽界にいる男に会いに行く。」

もう、何か、こうなってくると色恋の話じゃなくね?

どうせ、このエロいボディをした鬼神は、幽界にいる男と決着とかそういう話でしょ?

「強いんですか?そいつ。」

「かなりな。」

目がギラギラと輝きだした。

やっぱりね。

こういう人だよ・・・。

知ってたけど。

「行くのはいいとして、帰りはどうするんですか?」

まさか俺一人で、こっちから道を拓けとか無茶言わんよね?

「元々幽界とこちら側は一方通行だからな。帰りはどうにでもなる。」

なるほど、僕男がここに居るのはそういうことか。

「あの師匠。失礼を承知で聞くんですが、ガーディアンに勝てるんで?」

「無理だな。」

「・・・。」

もしかして、何か?

三人でガーディアンと戦うのか?

俺も戦力の数に入ってるのか?

無理だろ・・・、俺を数に入れないで欲しい。

「三人で相手を?」

俺は恐る恐る聞いてみた。

「いや、ガーディアンの相手は二人でする。ガーディアンを二人で相手してる間に一人が神柱への妨害工作をする作戦だ。」

なるほど。

というか俺は妨害工作要員だと思うんだが、どんな妨害工作するんだろ?

「俺はどうやったらいいんですかね?」

とりあえず方法を聞いてみた。

「お前は何も考えず、私と共にガーディアンの相手だ。」

「・・・。」

どうやら、俺は盾要員らしい。

マジで、勘弁してほしい。

影の奴、どこ行ったんだ・・・。

俺を日本へ返してくれ。


この世界を支えている三本の神柱。

東、中央、西地区にそれぞれ一本づつ存在している。

いずれも人が踏み入れないような山の頂上に建っている。

お調子者の冒険者ですら、近づくことは無い。

どれを狙うかというと中央地区の神柱を狙うそうだ。

ガーディアンにも特性があるようで。

東地区のガーディアンは神柱の中で、ずっと眠っているそうで・・・。いいのかそれで。

西地区のガーディアンは神柱の中に、籠って出てこないそうだ。

必然的に神柱の外に出てきてくれる中央地区を狙うそうで。ガーディアンとしては、出てくる方が駄目なのか?

よくわからんけど。

「師匠。」

「なんだ?」

「今回の僕男からの依頼なんですが、俺に何のメリットもないんですけど・・・。」

「だからどうした?」

「報酬に師匠のおっぱい、揉まさせてくれるってのは、どうでしょう?」

俺は本能に忠実にお願いしてみた。

「よし、右か左を選べ。」

マジかっ!

マジでかっ!

「出来れば両方がいいんですが。」

ちょとだけ調子に乗ってみた。

「なるほど、両手を斬り落とせばいいんだな。しかし、今だと依頼に支障をきたす。終わってからにしよう。」

「嘘です!ごめんなさい。調子に乗ってました。」

俺は誠心誠意謝った。

このあまシャレにならん・・・。

俺は師匠と二人きりで、山を登っていた。

僕男は別ルートで登ってるらしい。

何せ、俺には詳しい事何にも教えてくれないので、らしいとしか言えない。

盾は、喋るな考えるなってことか。

何の報酬もないのに、やる気でねえ。

「正道、随分と不服そうだな。」

そりゃそうでしょ?

もちろん、そんなこと言えるはずなく。

「そんなことないです。」

「念願の性奴隷が手に入るのだろう?もっと気合を入れたらどうだ?」

いらんわっ!

性別というか、ボディーベースが男の性奴隷なんぞ。

「そんなもの必要ありません。」

「種族なんて、大した問題ではないのじゃないのか?」

「それ以前の問題でしょ。」

種族は問題ない。種族は・・・。

「女なら幽鬼でもいいのか、お前は・・・。」

呆れられた。

しょうがないでしょっ、思春期の男の子なんだから。

くだらないこと言ってると、山の頂上付近に着いた。

でかでかとそびえ立つ神柱。

何処まで伸びてるんだこれ?

てか、破壊は無理だろ。

巨大な円柱の神柱には、大きな扉が存在してた。

本来なら、あの中にガーディアンがいるのだろう。

本来ならね・・・。

中央地区のガーディアンは、神柱の外に出て、待ち構えていた。

いいのかそれで?

全身鎧で身を包んだ、それは温かく俺たちを迎えてくれた。

「よくいらしてくれました。本当、退屈で、退屈で。」

女性っぽい声がした。

「師匠、ガーディアンって女性なんでしょうか?」

俺は期待して聞いてみた。

「中身はない。」

「はっ?」

「鎧が本体だ。」

「・・・。」

つまんねえええええっ。

「ねえ、剣豪。そっちのよわっちいのは誰かしら?」

「私の弟子だ。」

「へえ、あなたが弟子をねえ?そのエロいボディいでだまくらかしたのかしら?さすがは、魔族ねえ。」

「ちょ、ちょっと待て。」

俺は思わず口を挟んでしまった。

そりゃあ、そうだろ、黙っていれるわけがない。

「こんな美しい魔族がいるわけないだろっ!」

俺は、ガーディアンに思いっきり突っ込んだ。

「じゃあ、あなたは剣豪の事を何だと思ってるの?」

師匠が、人で無いことくらい先刻承知。そりゃそうだ。こんなに強くて、美しくて、ずっと冒険してても年すら取らない。何故か俺も年取ってないが、それはこの際、置いといてだ。

「神族に決まってんだろ。」

実際、居るのかどうか知らんけど。目の前のガーディアンが天使って呼ばれてるくらいだから、神族が居ても不思議でもない。

「こんなエロい神族が居ると思う?」

「なっ!!!」

俺は、ガーディアンに突っ込まれて愕然とした。こんなエロい神族・・・居たとしてもエロゲーくらいだろ。

俺は恐る恐る師匠の方を見た。


怒ってた・・・。


エロいだ何だと言われてたら、そりゃあそうか・・・。


「とりあえず魔族って事は、了承してもらえたようね。」

「うむ。了承した。」

俺は素直に認めた。

エロい魔族。それはそれで、王道だ。最高じゃないか。

それに師匠が、魔族だろうが神族だろうが、手に入らない相手だから、どうでもいい。むしろ男って言われた方がすっぱり諦めれて、スッキリしそうだ。まあ男だったら縁もすっぱり切りたいとこだけど・・・。

「それじゃあ、そろそろ始めましょうか?」

そう言って、ガーディアンは、にっこりと。

いや鎧だから、表情わからん。

俺と師匠の役割は、時間稼ぎ。

このままお話してても、全然問題ない。

じゃなかったら、師匠がとっくに攻撃しかけてる。


ガーディアンは、迷わず俺に向かってきた。

とりあえず雑魚は片づけてってやつだろう。

もちろん師匠もそれは、わかっていて対応してるのだろうが、このガーディアン強い。

師匠をけん制しつつも、俺に攻撃してくる。

最初から、防御する気しかない俺だが。

やべえ、全部防ぎきれん。

今まで相手してくれてた三剣人、全員が手加減してくれていたのがよくわかる。

あの俺を壊す寸前だった、ばあちゃんでさえ、手加減してたのだろう。

攻撃を、防げなかったが。

俺には竜契がある。

竜の鱗が守ってくれる。


ぐはっ!


ちょっ、竜契どうした。

ガーディアンの攻撃は、俺の肩を突き刺した。

痛い、めっちゃ痛い。

転げまわって、泣き言を言いたいが。

そんな事してたら、殺される。

俺は痛みを我慢して、剣を構える。

そりゃあ、刺されなれてるから、我慢できるけど。

痛いものは痛い。

「いい度胸だな。イプシオン。」

師匠が、ガーディアンに言った。

ていうか、名前あったんか。

「弱いものから消す。鉄則ですよ?」

料理の基本ですよ、みたいな言い方が腹が立つ。

「剣聖の孫に傷をつけるなんてな。」

「な、何を言ってるのですか?」

「真実を言ってるだけだ。」

突如、俺の眼前にガーディアンが現れた。

あまりの速さに俺は何も出来ない。

俺の全身をマジマジと見つめるガーディアン。

何だろう。

スキャニングされてるみたいだ。

スキャニングが終了すると、ガーディアンは俺に治療魔法をかけてくれた。

肩の傷が治った。

「酷い事をする人もいるんですね。」

お前だっ!!

お前がやったんだろっ!!

思いっきり突っ込みたかったが。

「さて、イプシオン。続きをしようか。」

師匠の笑みは、魔族そのものだった。

「剣豪、卑怯なっ!」

「何が卑怯なのだ?」

「剣聖の孫を巻き込むなんて。」

「たまたま私の弟子が剣聖の孫だっただけだ。」

確かに、師匠の言う事は何の間違いもない。

「剣聖の孫と知って弟子にしたのでしょう?」

「そんなこと、あの剣聖が許すとでも?」

「くっ。」

どうやら、ガーディアンは、俺を傷つけられないようだ。作戦会議の時に師匠が言った言葉を思い出した。

「お前は最強の盾になる。」

剣王からの過酷な修行を終えた俺に対する褒め言葉と思ってたんだが、違ったようだ。

何だよ、修行の意味ねえじゃんっ!

いや、そりゃあ、全くない訳じゃあないけど・・・。

修行してなかったら、最初の攻撃で死んでただろう。

だけど、他にやり方あったんじゃね?

「まあいいでしょう。どうせ、あなた達は、単なる時間稼ぎなのでしょう?」

うああ、完全に作戦ばれてますよ?

「先ほど、神柱に誰か侵入したようですが、消滅しなければいいですけどね。ふふふ。」

「心配ない。神力の供給源は一時的に断ってある。」

「別働隊が居たようですね。」

何それ?俺、全然わかんないんだけど・・・。

僕男以外にも、動いてた人居たの?

誰が?

ちんぷんかんぷんな俺をよそに。

「まあそれでも構いません。人が神柱に入ったからといって何が出来る訳でもないでしょうに。」

「人ならな。」

そう、計画通りなら、神柱に入っているのは僕男のはず。僕男は人ではない。


ギシっ!

突如、大きな音がした。

半端なく大きな音が。

その音は雷鳴よりも大きく、思わず体が縮こまるくらい大きな音。

何かが軋む音が。

神柱にヒビでも入ったのか?

神柱を見ても傷一つついていない。

何が軋んだ?

ふと、空を見たあげた。


「なっ・・・。」

俺は驚愕の声をあげた。

軋んでいたのは空だった。


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