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第1部 12芒星魔方陣 編  2章 英国の休日 2話 

この3主人公の時代設定が今から10年後の2028年4月からです。

時代背景の上では今年、とある国から核ミサイル攻撃を7月に受け東京が壊滅する事になっています。

そもそも、脳髄膜コンピュータの実験品が今年、岡本浩子の脳に移植される設定になっています。


もちろんすべて空想上の設定です。この物語はパラレルワールドだと思ってください。

 夕方6時、屋敷から離れた所に崩壊した競技場に私とジュリアンは居た。

「へえー、ここなら衛星からの魔法データのダウンロードができるわね」

 ジュリアンは辺りを見回しながら私に言った。

「でも、ここじゃ無いと姉さんの魔法は派手で破壊力があるからね」

「私だってスマートな魔法も扱えるもん」

 ジュリアンは拗ねて見せた。私より2歳年上だけど、子供っぽい表情をするのがいつものジュリアン。これが精霊魔法まで扱える大魔法使いなのだから人は見かけに寄らないものだ。

「でも、ここだと私が随分不利ね、詠唱速度はシルの方が速いし攻撃魔法は直線的でしょ」

「建物の中から攻撃しても良いのよ、それに姉さんはその刀も有るんだし」

「シルって透視魔法使えたかしら」

「ええ、使えるわよ」

 ジュリアンはしばらく考え込んだ。そして。

「OK、良いわ、何とかなるわね」

「姉さん、本気で行くからね」

「分かってるわ、私だって手加減するほどシルの力を見くびっていないわ」

「それじゃあ5分後にエリカが合図をするからそこから戦闘開始ね」

「分かったわ、じゃあねシル」

 ジュリアンはそう言うと競技場の入場口へ入っていった。その間に私は衛星の位置を確認した。


「丁度、エリア内ね」

 キングローズ社のライセンスを持った衛星が3機打ち上げられており移動式の人工衛星の受信エリアに入っていた。私の脳には脳髄膜コンピュータのお陰で視覚にコンピュータの画面の様にウインドウが表示され現在の状況が表示される。

 さっきまでのジュリアンの魔法能力値を数値化した。私だってデジタル魔法以外にもちゃんと古代魔法だって扱える。ただ私の場合はジュリアン程の魔力を持っていない。

「パーン」

 エリカの合図が鳴った。私は競技場の真ん中に立って直ぐに索敵を始めた。私を中心に赤い波紋が広がる。グラウンドのフェンスにエリカを、ジュリアンは・・・。

「居ない、どういう事」

 そう言った途端、足元が崩壊する。私は直ぐに跳びガイアレンズでグラウンドを見たが地中にジュリアンは居ない。

「ここよ!」

 ジュリアンは右手に刀を振りかざして跳躍した私の頭上から飛びかかってきた。私は空中で避けた。その姿は青い蝶の様な羽根をマナで合成して空中で回避したのだ。

 地面に着地したジュリアンは直ぐに私の方へ両手をかざしていた。

「ライトニングボルト!」

 そう叫んだ後、地面から放射状にスパークがジュリアンの両手に集まってきた。私は風を集め突風を作り私に向かって放たれた電撃に放った。

 電撃は私の放った突風でかき消される筈だった、しかし火炎状の爆発。ライトニングボルトはフェイクでファイア系の魔術を発動させていたみたいだ。

「!!」

 すぐに爆風が私を襲った。空中の私には爆風を避ける場所が無い、私はダブルリングで地上へ瞬間移動した。

 私の足元と頭上の2つの魔方陣が地上に現れ移動した私は地面に手を付けて。

「はぁ!」

 地面から青い棘が突き出て私を中心に放射状に広がって行く。その棘が左側で割れる様な音と共に崩れた。おそらくそっちにジュリアンが居る。私は射撃体勢に入った。

 しかしジュリアンは赤くなった刀身を振りかざす。

「きゃっ」

 私はその振り下ろされた業火の爆風で吹き飛ばされた。瓦礫を押しのけ体を起こすと目の前にゴーレムの姿が有った。目の前で振り下ろされるゴーレムの腕を炎の腕が支えた。

「間に合ったみたいね」

 デジタル魔法では全てが召還魔法だ。だがゴーレムと言った物の召喚はあくまで簡易的に具現化している。

 間に合ったのはその中の『イフリート』岩石で出来た巨人の様なイメージだろうがデジタル魔法ではもっと四角柱を組み合わせた様なロボット的な姿をしていて、表面は電子回路の様に縦横無尽にラインが走っているロボットの様だ。と言うより炎を纏ったロボットそのものだ。

 一方、ジュリアンが作り出すゴーレムは召喚魔法で無く創造魔法の1つ、その為通常の召喚ゴーレムより動きが重工な外観からは信じられない程動きが機敏で恐ろしい。

 ゴーレムはそのイフリートに任せて私はジュリアンに銃口を向けた。今度の銃はライフルではなくガトリングの形に魔力で作った。

 普通はとても重たいガトリング銃だが魔力に重さは無い為軽く持てる。これは「アーメリ-」武器庫と言う意味だ。私専用のデジタル魔法で脳髄膜コンピュータで作り出した計算式に寄って武器形状が変わる。出来上がった武器は物理法則に則り発動する。

 今はガトリング銃をジュリアンに向けて撃った。

 青い銃弾がガトリングの銃口より連続して発射され銃口の周りに白い輪が浮かび上がる。

 対するジュリアンはマジックシールドで防御している。しかし、何か詠唱をしているのが見えた。やがてジュリアンの手前5m程の所にブラックホールの様な球体ができ、シールドに吸収されていた銃弾の弾道が曲がりその球体へ吸い込まれる。

 そしてシールドを解除したジュリアンは私の方へ高速で飛び込んで着た。その頃、ゴーレムを倒したイフリートがジュリアンに取り付こうとしていたがジュリアンに一刀両断された。

「はあっ」

 私は直ぐにマナマインを3発発動させた。

 マナマインはジュリアンの腹部に当たり後ろ2m程吹き飛ばした。しかしジュリアンが作ったブラックホールにマナマインが吸い込まれた。その度に爆発音が聞こえるが爆風すらブラックホールに吸い込まれているのだろう衝撃は来なかった。それより周囲の空気を吸い込み辺りはとてつもない強風になっていて立って居るのがやっとだった。

 まずはブラックホールは何とかしないといけない。衛星からのデータを元にブラックホールを中和出来る術式を探した。

「有った!」

 物質の重量を反転させる術式を見付けて直ぐにダウンロードを開始した。

「ぐわっ」

 私は何者かに左肩を噛みつかれた。

「ぐ!」

 見ると黒い炎の様な影をした獣が居る。

「ベルハウンド?」

 私はアイスウィングを発動させた。ベルハウンドは凍り付きながら吹き飛ばされ氷りが砕けると同時に消えた。しかしまだ3体のベルハウンドが私の周りを取り囲んでいる。

「デジタル魔法だけじゃ太刀打ち出来ないわね、召還魔法は得意じゃないし」

 ジュリアンが召還したベルハウンドは私をしばらく警戒して見た後襲いかかって来る。私は右手に持っている銃でベルハウンドを撃った。

「ギャン」

 ベルハウンドはそのまま横たわり黒い影は消えていった。倒れて居てもブラックホールに私の体が引きずられている。ダウンロード完了までの時間はまだ掛かる。

「ぐぐ」

 私はダウンロードが終わるまで耐えるしか無い。私はマナマインを設置し爆発させた。

「ぐう」

 私の体はブラックホールの影響を受けない辺りまで吹き飛ばす事ができた。何とか体を起こした。

 今までブラックホールに気を取られてジュリアンの気配が無くなっている事に気付かなかった。

 突然、私の右側に気配を感じた。ジュリアンだ。

 とっさに銃を向けたがジュリアンの姿が見えなくなって背後に現れた。私はマジックシールドを張った。

 ジュリアンは刀でマジックシールドを斬った。そしてそのままの勢いでジュリアンは私を斬った。

「どうだった?シル?」

 私はジュリアンの声で目を覚ました。ボロボロになった姿でジュリアンが私の前に立っている。

 意識がはっきりした所で私は慌てて自分の体を見た。服はぼろぼろになって肌が見えている。

「私、確か斬られたはずでは」

「ええ、斬ったわ、でも意識を一時的にね」

「幻覚だったの?」

「そう?幻覚の術式を組んだのよ、それよりどう体の方は」

「もう、ボロボロよ」

 体を返し仰向けになった。

「シルのあの爆弾みたいな物、何だったの」

「マナマインの事?」

「あれ、マナマインって言うんだ。アレは効いたわ」

「あの術式は他にも『マナミサイル』が有るわ」

「発動が早いから、完全に防ぎ切れなかったわ」

「でも姉さんの魔術も相変わらず凄いわ、私ずっと圧倒されっぱなしだったもの」

「問題はあの銃弾をどうやって防ぐか?なのよね」

「さっきみたいにブラックホール出せば?」

「グラビティボールは発動までに時間が掛かりすぎるのよ。それに派手すぎて建物の中じゃ使い物にならないわ」

「マジックシールド使えば良いのじゃ無いの?」

「マジックシールド発動中は動けないわ、他の詠唱は出来るけど」

「それで十分じゃない」

「ダメよ、マジックシールドには防げる攻撃の相性も有るし、これじゃただの的だわ」

 私は体を起こした。向こうから真っ黒に成ったエリカが走ってきた。

「大丈夫ですか?」

「ええ、私達は大丈夫よ、エリカは巻き込まれなかった」

「私はすぐに安全な場所まで避難いたしましたから」

 エリカは座り込んでいる私に手を差し出した。

「それなら、帰りましょうか」

「はい、かしこまりました」

 対ブラックホールの中和術式のダウンロードが今終わった。13分33秒掛かっていた。

「重たすぎるわね」

「え?私そんな重い?」

 ジュリアンが聞き返した。

「ごめん、さっきのブラックホールに対向する術式のダウンロードしてたのだけど、データ量が重くて」

「ああ、そういう事ね」

 私達は屋敷に帰った。


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