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第1部 12芒星魔方陣 編  18章 9の戦闘

シルビアの「12芒星魔方陣編」もそろそろ佳境にはいりました。

 転送地点は9番目の魔法陣の設置箇所より南に130m離れた北向き斜面の茂みに降りた。目の前には東から北向きにカーブした国道179号線が在る。

 北向きになった道路の東側に建設機械の資材置き場が在り、その場所が魔法陣の設置ポイントだ。

「ここが9番目の魔法陣の設置場所?」

 裕貴が時計を気にしながら訪ねる。

「あの先の広場よ。でもおかしい、もう儀式が始まっていてもいいはずなのに」

「もう、終わったとか」

 裕貴は隠れていた茂みから立ち上がり斜面を降りて行く。

「止めなさい、危険よ」

 裕貴は私の忠告を聞かず道路脇まで降りた所で弾を弾く様な聞こえるたと思うと裕貴はその場で倒れ込んだ。

「しまった。狙いうちされた」

 しかし、まだ何処からか狙っていると思われる為、身動きが取れない。裕貴が撃たれた方向から北東300m程の山の斜面から狙っている。

 幸い、私の位置は逆光になっていて発見出来ていないのだろう、相手もうかつに発砲はしてこない。

 正確な狙撃ポイントを特定しようと探知魔法を実行する。

 こちらに向かって3台の中型トラックがこちらに向かって来ている。それまでに何とか狙撃手を片付けたい。

 私は中腰のまま狙撃体勢に入りベレッタM1951をライフル銃の型にすると、来ていた防弾チョッキをライフルの上に被せた。魔法で実体化した銃は魔法陣が込められている為に銃自体が発光している。日陰になっているこちらの斜面で光りを放つ事は自身の居場所を教えているような物だからだ。

 そしてスコープで敵を探す。目視では見付けられないので探知魔法『パッシブソナー』を発動させる。

 見付けた!この敵は相当な手練れだと直ぐに判った。私とは違って日向の斜面に居てスコープのレンズが反射しないようレンズの周りに大きな庇を付けてレンズのカバーを閉じている。敵から発見されないよう撃つ直前までこのような行動を取る者が玄人と言う物だ。

 私はスコープで裕貴を狙って俯せになってライフルを構えている狙撃手を捉えトリガーを引き頭を打ち抜いた。

 探知魔法で検知していたトラックは道路脇に止まると荷台のウイングを広げパワードスーツをトラックから下ろした。

「ハウンド型ギミックか・・・また厄介な物を」

 パワードスーツには戦闘に特化したタイプをギミックと呼称している。

 最後尾のトラックから武装した兵士8人と場違いなスーツ姿の男3人、道路脇に倒れている裕貴の前にもう1台の車が止まりそこから男が降りてくるとトラックの周りで作業をしていた兵士が駆け寄っていく。

 ここからは何を言っているのか分からないが、スコープで姿を確認するとさっきの伏羲だろう、さっきの戦闘で顔に残っていた傷からして間違いない。

 せめて裕貴にヒーリング弾を撃ち込めれば止血位はさせないといけない。伏羲は徒歩でトラックの止まっている所まで歩いて行くとそこで待機していた兵士と合流した。

 私がこの状況を打破出来ないで居るのは統率の取れた兵士の動きだ。常に兵士は裕貴が倒れていた私の居る山の斜面を警戒している。伏羲がここまで無防備で居るのは狙撃する私を誘い出しているのか、或いは兵士を信頼しているのだろう。

 兵士が裕貴を左腕を掴み引きずり起こす。私はライフルを構え兵士に照準を向けた。

 しかし、恐らく致命傷を受けた裕貴が兵士を投げ飛ばした。そしてさらに近くに駆け寄った兵士と格闘戦を繰り広げる。

 やばい。

 振り返った伏羲は裕貴を撃ち、撃たれた裕貴はそのまま地面を這った。

「ごめんね、裕貴」

 私は先にギミックを下ろさなかったトラックを狙う。それが恐らく指令車だ。

―High explosive shell―

 魔法で作った榴弾を装填し狙い撃つ。弾丸はレイズトンネルで弾道も隠した。

 指令車は瞬く間に木っ端微塵に吹き飛び近くに居たギミック1体も爆風に巻き込まれて倒れた。

 レイズトンネルで弾道を隠したも関わらず私が狙撃したおおよその場所は特定出来たのか、直ぐにこの場を離れるが3体のギミックからのロケット弾攻撃で私の居る辺りは一面火の海になる。

 50m程ダブルリングで飛び火の海から逃れまた狙撃体勢に入る。だが直ぐにダブルリングで又飛んだ。

「形振り構わずこんな派手に暴れるなんてどういうつもり?」

 三度辿り着いたと場所でギミックを狙い撃ちまた飛んだ。

 攻撃が止んだ。私は敵の様子を伺う。

『―シルビア、苦戦している様ね―』

『ええ、狙撃されるのでうかつに動けなかったのです。それで、チーフがこれを?』

『―少し派手だけど敵も随分と暴れてくれた事だしこれ位なら問題無いだろう。後ジャンと斎藤とも合流してここに来ているがここも既に結界の準備が終わっている様だ。魔法陣を確認した―』

 私は辺りを警戒しながら裕貴の治療に向かう。

「裕貴、まだ生きてる」

 倒れている裕貴の周りは一面血の海になっている。この状態だと失血死する。

 私は銃を構えヒーリング・オペレーションを実行する。

 しかし、治療箇所を確認していくと不思議な事が起きていた。服の汚れからして左下腹部と右胸部の2箇所を撃たれている筈だが、表層の傷はもとより損傷を受けている筈の内臓にもダメージ見られなかった。

「これは?・・・そう、そういう事」

 裕貴の首に掛けられている5個の“月の石”は既に4個が壊れ中央に有る大きな1個も罅が入っている。それを見た私は姉さんが言っていた「面白くなりそうだから」の意味が分かった気がすた。

 裕貴が身につけてた能力は“治癒能力”それも月の石を姉さんが渡してから20日余りでこれだけの回復能力は、確かに面白くなりそうだ。

「貴方、能力が覚醒したわね」

「いや、俺は無能力者だよ」

 裕貴は謙遜し立ち上がりズボンの裾を払った。そして血で真っ赤になったシャツの袖で顔を拭うが余計に血で汚れていた。

「そう言う事か・・・化け物め」

 裕貴の後ろ3mの所にボロボロになったスーツ姿の男が立ち上がった。

 マリアのメテオストライクの直撃を受け体の前面部が焼け焦げサイボーグの骨格があらわになり顔の有った皮膚は一部剥がれ落ちているが、恐らく伏羲だろうが一体何人の伏羲が居るのだろうか?そもそも、伏羲とは何者だろうか?そしてこの状況でも立ち上がるこいつに化け物呼ばわりされたくない。

 しかし男はそう言い放つとメテオストライクで出来たクレーターへ走り魔法陣に飛び込んだ。

「おい」

 裕貴は叫ぶがまだ体の自由が利かない。私は攻撃してくるものとばかり思っていたので反撃する。マリアとジャン、斎藤は残存兵力の掃討に当たっていた為この男の行動まで監視出来なかった。

 私は銃を下ろしクレーターへ歩を進める。クレーターの中心に魔法陣が形作られ、模様が赤く強い光を放っている。

「間に合わなかったわね」

 マリアが私の元へ近づき声を掛けた。

「ええ」

 私はマリアの攻撃で下半身が破壊された男を調べる。割れたサングラスの破片が左目に刺さっているがこの男もサイボーグ、この程度では死ぬ事は無い。

「この男?」

 やはり伏羲、今日これで4人目。

「どういう事だ?こいつも伏羲だよな」

 裕貴は男の側に寄ると私に問う。

「クローン・・・いやエルフよ」

「エルフ?」

「3年前に学研都市から漏洩した再生医療技術の1つよ」

「学研都市の情報セキュリティは万全じゃないのか?」

「私から言わせればまだまだよ」

「それでエルフってあのエルフなのか?」

「空想上のエルフとは意味が違うわ、臓器や皮膚を特殊な方法で再生すると元の肉体より色々な能力が上げられる技術よ、今はそこまでしか言えないわ」

「それと伏羲とどう関係があるんだ」

「この男はクローンだった。クローンはテロメアが短いから短命なのは知ってるわね」

「ああ」

「他にもクローンはオリジナルより細胞組織が劣化しやすいから能力が落ちる。それをエルフ技術でオリジナルと同等、若しくはそれ以上の能力にしている・・・と言う事よ」

「と言う事は他にも伏羲が居ると言う事か」

「このままだと魔法陣が完成してしまうわ」

 話の最中、マリアは西側の山肌を警戒しながら歩き回っている。

「12箇所全ての魔法陣の設置を許してしまった」

 マリアは説明する。北条達から残り3箇所の魔法陣も設置されたと通信が入った。

「これで残り1箇所」

『―相生港のヴェーダ結界は片付けたわ、危険だけどAVA34ポイントに飛ぶわ―』

 ジュリアンからの通信。

『危険過ぎる。狙撃されるわ』

『―囮か?―』

『―そうね、それくらいしないと敵を引きつけられないわ―』

『―佐倉、中央地点の座標は分かるか?―』

『―はい、AV34地点の水時計公園の広場です。周囲にはヴィラタウンAX34地点に建設中のビルとAS33地点の高層ビルなら公園へ射線を取れます―』

『―では私と斎藤、ジャン、シルビアはAV34地点へ突入する。北条と小河はAV34地点に迎え、御門芽はジュリアンの周囲から攻撃する敵を発見し迎撃しろ-』

『―了解―』

 マリアが出した指示に皆が返事する。そしてマリアは裕貴に指を指す。

「それとそこの貴方」

 裕貴の肩がびくりと動いた。

「ここまで付いてくるって事はダメと言っても来るのでしょ?」

 マリアは裕貴に迫る。

「え、いや・・・」

 言葉に詰まる裕貴を見ると斎藤から予備の銃をホルスターから抜き裕貴に差し出した。

「これを持って行きなさい。そんなおもちゃじゃやられるわよ」

「チーフ、もう裕貴には私から銃を貸しているわ」

「M800を借りています」

 マリアは斎藤に合図をすると銃を斎藤に渡し、再び裕貴の所へ向かった。

「私は大島・マリア・エメラルドよ」

「俺は朝倉裕貴です」

「シルビア12芒星結界の中心座標は分かった?」

「はい」

「じゃあ、そこから100m離れた場所で広い空間のある所を検索して」

 シルビアは目を閉じ考え事をしている様だった。

「見付けたわ、座標送るわ」

 マリアは持っていた端末に送られた画面を確認し、警備車両からベレッタM800とマガジン5本を用意し俺にその内の1本のマガジンを投げ渡した。

「じゃあA-1で行くわ」

 斎藤とジャンは後から合流したシティー・フォークの護送車へ逮捕した構成員を引き渡して居る。

 私は斎藤とジャンが戻ってくるのを見計らってマリアに合図をした。

「貴方は私達に付いてきて。それと、最初が隠密行動だから気取られる様な行動は謹んで」

「つまり、銃の使用を控えろと言う事か」

「そういう事、消音器(サイレンサー)が有れば話は別だけどね」

「チーフ、準備が出来ました」

 ジャンの言葉を合図にが目を閉じダブルリングのプログラムを実行する。その返事をする前に足元と頭上に魔法陣が現れていた。


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