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第1部 12芒星魔方陣 編  17章 第8の魔方陣 2話

朝倉裕貴と内容がリンクしています。

同じ事象でも2人の目線では立場が違うので物語が成立するのです。

そこが難しい所なんですけどね・・・(汗

 閃光弾(スタングレネード)

「しまった!」

 咄嗟に放置してあるフォークリフトの影に隠れたが強い光に目が眩み敵がどこに居るか分からない。一方、敵は私へ目がけ銃を撃ってくる為、その方向に向けて防戦する。

 これはまずい?伏羲は裕貴の方を攻撃している。

 私も目が慣れた。伏羲との位置関係も音からおおよそ判断出来る。

 そのままフォークリフトの影から寝そべり射撃体勢に入る。ベレッタ1951は青く光りながらライフル銃の形状に形を変え私はスコープをのぞき込んだ。

 スコープの先にはフォークリフトを透過して伏羲の姿が見える。私は伏羲をスコープの中心に納めトリガーを引いた。

 1発目は右脚、2発目は左脚、3発目は左腕、吹き飛ぶ伏羲へさらに右肩を打ち抜いた。 伏羲は右回りに周りながら吹き飛び倉庫の中央に横たわっている。

「ハーイ!元気?」

 倉庫の裏側の小さな扉から裕貴がフラフラと入って来るのを見て声をかけた。

「まあ、何とかな」

「まあ、服がドロドロじゃない」

 裕貴はここで初めて自分の格好を見て確認している様だった。

「やったのか?」

「ええ、そこに倒れているでしょ」

 私は伏羲を蹴飛ばした。しかしサイボーグだけ在って重たく殆ど動かなかった。

「こいつが伏羲か?」

 裕貴は私の眼下に横たわる男を見て訊いた。

「ええ」

「まさか、ここまでやるとは」

 伏羲はこの状況でも余裕の表情を浮かべる。

「ここは間に合わなかったけどこれ以上させないわ」

 私はあえて強弁を取る。

「どうして俺の居場所が分かった。異形魔法陣といえどその候補地はいくらでもある」

「ここは学研都市よ、貴方の居場所くらい都市内10万の監視カメラと監視衛星で丸見えよ」

「そういう事か」

 伏羲は私の説明に納得した様だった。

「これで異形魔法陣の形成は阻止出来るのか」

 裕貴は私に訊く、その質問に伏羲は目を見開いた。

「形成された魔法陣を逆の順で逆の陣を作り解除していけば大丈夫よ」

 私はあえて適当に応えた。

「この街で活動しているエージェントが俺一人だと思ったか」

「え!?」

 伏羲の声に裕貴は驚きの声を上げ両手両足のパーツを切り離し背中から小さな足が伸びその先に車輪が付いている。

「しまった!」

 伏羲から切り離された手足のパーツが一瞬煙が出たかと思うと爆発した。

 私は体の表面を覆うマナシールドを展開し熱や爆風を耐える事が出来た。

しかし、裕貴は大丈夫か?裕貴の分のシールドを展開する余裕が無かった。倉庫は伏羲の爆破で半壊し梁や柱が崩れ、屋根が落ち瓦礫が地面一帯に退席している中、私は裕貴を探した。

「裕貴!無事?」

 私は微かに聞こえた物音を頼りに粉塵で視界が無い中、裕貴を探し出した。

「なんとかね」

 裕貴はか細い声を上げた。瓦礫を避けながら見た裕貴の姿に私は目を疑った。鉄筋が裕貴の体を貫いている。周囲の様子から建設用の鉄筋が倉庫の梁に引っかけるようにして保管してあった物がこの爆発で落ち、運悪く裕貴の体を貫いていた。

「何言ってるの!重傷じゃない、これ抜いたら即死よ」

 とにかく止血から治療しないといけない。

「ちょっと待って、すぐに治癒魔法掛けるから」

 私は少し離れて銀色の銃を顔の前に構えて集中した。グラビトンバランスを裕貴の周りの瓦礫に発動させる。すると瓦礫が一度に持ち上がり、放射状に飛んでいき裕貴の周りが空いた。

 その後、私はさらに銃を構え集中力を上げる。

「とにかく、止血するけど」

「それより、この鉄骨はどうするのだ」

 苦痛に歪む裕貴が血を吐きながら擦れ気味の声で訊いた。

「それも大丈夫、すぐ始めるよ」

――Programming stat!... Corrosion――ENTER――

 カウロションとはその名の通り腐食させるプログラムを実行する。それは裕貴の腹部に刺さっている鉄筋が徐々に錆び付き消えていった。裕貴は余りの激痛に断末魔を上げるがそれに構っている場合では無い。

 そしてタイミングを見計らってヒーリングオペレーションを実行する。

 裕貴の居る地面に大きな魔法陣が描かれそこから幾つものロボットアームが現れた。

 ロボットアームは傷口に集まり裕貴の治療を始める。

―膵臓、脾臓、胃まで――

 裕貴を貫いた鉄筋に寄るダメージ、出血性ショックを起こしていてもおかしくないレベルの損傷だ。最新の手術技術でもこの状態だと助からない・・・筈だが、デジタル魔法に寄る回復魔法で治療は無事終了した。

「裕貴!しっかり裕貴」

 意識を失った裕貴の名前を暫く呼び続ける。10分程してようやく裕貴は目を覚ました。

「あ、ああ」

 裕貴の顔は汗と涙と涎でぐちゃぐちゃだ。それを袖で拭いだ。

「もう、立てるよね」

 当然、傷は完治している。体力は消耗しているだろうがこれから起こる事を十分対処出来る筈だ。それよりも私に対して恨めしそうな視線をぶつけてくる。

「おい、さっきまで重傷だった人間に言う言葉か?」

「何言ってるのもう14分も時間を無駄にしたじゃない、これ以上遅れると伏羲に逃げられちゃう」

「俺に構わず追いかけてくれ」

「何?ハードボイルドな台詞言ってるのよ、さあ、さっさと立ちなさい」

「分かったよ」

「追跡の術式(マーキング)がまだ生きてるうちに追いつくのよ」

「大丈夫なのか?お前も随分疲労している様だが」

 次第に冷静さを取り戻しているように見える裕貴が私に問う。さすがだ。私は裕貴に手を差し伸べ瓦礫の中から裕貴を起こした。

「見くびらないで、これでも魔術師なんだから」

「分かった」

『―チーフ、大変な事が分かったわ―』

 ジュリアンからマリアの通信、とても慌てている様子が覗える。

『―どうした?―』

『―12芒星魔法陣の他に別の魔法陣を仕掛けている可能世が出たわ―』

『魔法陣?一体何処に?』

 私も寝耳に水とばかりに聞き返した。

『―学研都市の外縁よ―』

『―外縁とはこの街を囲んでいる塀の事か?―』

 北条も通話に割って入る。

『―その魔法陣がどういう物か分からな・・・―』

『姉さん、どうしたの?』

『―CC33地点の外縁の監視カメラに誰か映り込んだわ―』

『―こちらでも確認した。一般市民が立ち入った様だ―』

 マリアは早くも映像を確認した様だ。私も映像を検索すると36台の内の1台に少女が映り込んでいた。

『―私が行くわ、恵は相生港へ先に行って―』

 ジュリアンが応える。

『―相生港?何が有るのです?―』

『―そこに外縁の魔法陣を仕掛けた敵が居る可能性が高いわ―』

 ジュリアンは恵の質問に答えた。

『―相生港からの監視カメラの映像が途絶えている。ジュリアンの言った事は当たりかも知れない、行くなら注意してくれ―』

 さらに中垣の声、鑑識班が既に監視カメラの映像を確認していた様だ。

『―分かりました―』

『―くれぐれも無理をするな。行動はジュリアンと合流してから当たれ―』

『―はい―』

 恵は短く返事をして通信を切った。

「シルビア?」

 裕貴が突然止まった私を心配して様子を伺っている。

「何でも無いわ、では行きましょ」

『―チーフ、今何処に?―』

 ジャンからの通信が入った。

『―今は課長と警察本部だ。今起こったジオフロント崩壊の報告をしている―』

 警察本部は現在大阪に設置されている。

『―そうですか、悪いがシルビアもう少し頑張ってくれ、AZ13地点で複数の敵と交戦状態になった。直ぐに切り抜けられそうに無い―』

『分かったわ、こっちは1人、いや2人で何とかやってみる。ジャンこそ無理はしないで』

『―ジャン、そこなら俺が一番近い、援護に向かう―』

『―分かった。直ぐに頼む―』

 斎藤からの通信にジャンは返事をした。

『―シルビアの方は私が向かう。全員、課長の立場が今の状況で危うく成っているわ。この状況を打破するにはこの事件を解決する事が一番の報酬だと思って事に当たれ―』

 全員から『了解』と通信が入る。私も伏羲に仕掛けた追跡の術式で場所を特定した。そして。アクティソナーを発動させる。足元から現れた魔法陣かが全身を包み込むと魔法の波を放出した。これはそこから反射して帰ってくる魔法の波から、近いを読み取る事が出来る。

「でわ、行くわよ」

「行くって、何処へ」

「9番目の12芒星魔法陣の設置現場よ、掴まって」

「お、おう」

 裕貴から言って置いて私が言うと驚いた表情をしていたが私が裕貴の手を取り9番目の魔法陣設置現場へ飛んだ。


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