第1部 12芒星魔方陣 編 17章 第8の魔方陣 1話
文章の区切りが悪いので短めです。
この話は朝倉裕貴編「13章 デジタル魔術師 2話」とリンクしています。
廃墟の様な倉庫の周りはフェンスが張られているが雑草が覆い茂っていた。
薄いスレートの壁程度ならガイアレンズで簡単に透視できる。倉庫の中は埃が舞い誰かは分からないが中には誰か居る。恐らく伏羲だろう。
「どうやらもう中に居るみたいね」
私は銃を構えながら慎重に進んでいく。一方で脳髄膜コンピュータで視覚野の認識能力の拡大と衛生通信の拡大を図った。
「待って」
私は裕貴の進む先を止めた。裕貴の先の茂みにワイヤーが張っている。
「危なかった」
裕貴はワイヤーを踏まなかった事に安心したような、慢心した顔が見て取れる。このワイヤーが見えると言う事は、見え難いワイヤーが有る筈だ。
「他にも有るかも知れない。気を付けて、後、もう敵に気付かれていると考えるべきよ」
慢心している裕貴にはっぱをかける。この瞬間が一番危険だからだ。
すると裕貴の顔つきが瞬時に引き締まる。この辺りはブルーバンドの訓練を受けている学生だ。
「分かった」
裕貴は短く返事を返し油断した顔つきかスイッチが入った様に切り替わった。
さっきよりも辺りを警戒する。この様子から裕貴は無能力者か戦闘で扱える能力、或いは観測系の能力を持っていないと推測出来る。
それでも裕貴はブルーバンドで訓練をきちんと受けているのだろうと直ぐ分かる。動きは荒削りだが軍隊で行う警戒行動を取りながら私と同じように倉庫の壁沿いを進み、入り口で私の指示を仰ぐハンドサインを使った。
私は同じくハンドサインで私の突入後に続くように指示した後、入り口のシャッターを蹴破り突入した。
「そこまでよ、伏羲」
伏羲は黒いスーツ姿、場違いな格好だ。
とはいえ相手はサイボーグ、武器を仕込むのに都合が良いのだろう。
「何だ貴様は、さっきの小娘といい鬱陶しい奴だな!」
小娘?何の事だか分からないがプラザタウンでの破壊活動をした者はこいつなのか?
そんな事よりも私は伏羲の目の前の魔法陣を確認する。魔法陣の中心には『Ⅷ』と描かれている事が確認出来る。
『チーフ、やむを得ず伏羲と遭遇した。これから戦闘に成ると思います』
『―分かった。ジャン、シルビアの居る座標に急行しろ。伏羲については連行しろ。生死は問わない―』
『―了解!―』
ジャンが了解した。
『現在、朝倉裕貴を同行しています』
『―ブルーバンドの朝倉裕貴?分かった。ジャンその朝倉裕貴の行動にも十分注意するように―』
チーフも知っているのか?私達に注意を促した。
『―チーフ、その朝倉と言う者は何者ですか?―』
『―ブルーバンドのメンバーと言う事になっている。記録によると無能力者だが小隊クラスの戦闘経験並と評価されている―』
『―その男、役に立ちそうだな―』
『過大評価されてないかしら?』
『―それは分からない。ただ一般人の学生だ。無理をさせるな―』
『分かりました』
とんでもない面倒事が私に任された。これも学研都市という特殊な事情のせいだろう。
「さて、昨日の邪魔されたお陰で魔法陣のプログラムを若干変更する事に成ったわけだが、ここでも邪魔が入るとは予想外だ全く」
そう言いつつも伏羲は余裕を見せている。その私も戦闘中に無線通信を行う程の余裕を見せているわけだが。
「あら、私も貴方を連行、それが出来ない場合は殺害しろと指示を受けているわ」
「さあ、それはどうかな?」
伏羲の足元に何か落ちる音が聞こえた。




