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第1部 12芒星魔方陣 編  15章 プラザタウンの攻防 2話

 私の受け持ちポイントはBN18地点、プラザタウンと成神高校の間のポイントの警備をする。

 本来警備をするなら2人1組で警備するのが常識だが6課は人員では十分に出来ない為1人で警備に当たるしか無かった。

 辺りに目を配りながら車で巡回しているがプラザタウンは商店街になっているので車を止め防弾チョッキを羽織りプラザタウンを歩いて回った。

 今の所は特に異常は無く不審者も見当たらない。

「今の所は問題無いようね」

 その後も不穏な影は見当たらなかった。気持ちが悪い程何も起こっていない。

 レポートを作成した。脳髄膜コンピュータで作成するためペンと紙やパソコンの類は私の場合必要無い。また、11歳から脳髄膜コンピュータを使用している事で複数の作業を同時に、そして集中力をどの作業に均等に保つ事が出来るようになった。

 レポートを完成させマリアに報告をしようと接続したその瞬間、アーケード内で爆発音と悲鳴が聞こえた。

『―どうした。何が起こった―』

『何か事件が起きました。爆発音が聞こえます』

『―場所はプラザタウンBL24地点で起こった様だ。現場に急行してくれ、ジャンをそちらに向かわせる―』

『分かりました』

 私は周りに細心の注意を払いつつ現場に向かう。今、私の居る地点はBR18、8箇所目の魔法陣が設置させる予定ポイントに戻っていた所だった。ここからあ直線距離にしておよそ800m程離れている。魔法で現地まで飛んでも良いのだが周囲を警戒も怠るわけに行かない為、乗っていた車に乗り込みプラザタウンの北ゲートへ向かった。

 プラザタウン北ゲートBL22地点に到着した。

 およそ学研都市の人口の48%が車を持たない児童や学生のこの街では、車で乗り付け買い物をするショッピングモールより、学生寮の多い北東エリアではアーケード街が条件が良い。

 車を降り北ゲートに入る途端にロケット弾が車に直撃した。私は咄嗟に飛び退け車から離れたが車は側面部に命中し道路の反対側まで吹き飛ばされひっくり返った。

 そしてさらにロケット弾が迫ってくる。デジタル魔法の『ジャンプ』でロケット弾を回避した。

『チーフ、BL22地点、プラザタウンの北ゲート前で襲撃に遭ってます。敵は最低でも2人、至急救援をお願いします。このままだと周囲に民間人がいる為十分な安全を確保出来ません』

『―分かった。直ぐに私も出る。他の者で手が空く者はシルビアの援護。シティー・フォークへは私から通報しておく―』

『―本部には私が連絡を入れておく、周囲の封鎖を北署に要請したが4分程度掛かる見込みだ。それまで持ちこたえてくれ―』

『分かりました』

 現在の地上4.6mを降下中、目の前に居る敵を探す。アーケードに1人潜んでいる所を確認。その1人に向けてベレッタで撃った。

 銃口から小さな魔法陣の現れた銃弾は男が避けた足元に着弾し地面が弾ける。敵との距離は8m程とはいえ拳銃程度では地面が弾ける程の破壊力は無いが魔力を込めた銃弾には対物ライフル位の威力が有る。

 男は避けた反動と受け身を取る。

「くぅ」

 アーケード左の端からさらに人影、UZIを持っている様だ。マシンガンとしてはとてもコンパクトで隠し持つには優れている。

 地面に着地と同時に発砲してくる所を身を屈め、後ろにムーンサルトの様に飛び退け地下送電線の変圧器の影に隠れた。

「痛っ」

 右大腿に1発肉をえぐり貫通していると左脚に2発こちらが重傷で頸骨(けいこつ)が砕けている。このままだと立つ事もままならない。

『―ENTER―』

 私は直ぐにヒーリング・オペレーションを実行する。足元に魔法陣が描かれると手術台が現れそこから伸びるロボットアームが傷口を塞いでいく。

 そこへ先ほどの男達が迫ってくる足音が聞こえる。

―やばいわね―

 まだ脚の治療が終わっていない。銃で撃たれた傷は完治したが砕かれた頸骨の治癒に時間が掛かっている。

「This call Wolf Hound!!」

――ENTER――

 叫ぶと同時に実行され目の前の地面に魔法陣が描かれそこから黒い狼を召喚した。頭から尻尾にかけて青い回路の様な模様が有り手足はサイボーグ化されている。背中にロケットランチャーを装備している。

「ウウゥゥゥ!」

 うなり声を上げるウルフハウンドに私は「行け!」と命令すると直ぐに男の1人に飛びかかった。

「うわ!」

 噛みつかれうろたえる男に向かって私は体を翻し射線上に構え1発は右大腿部、2発目は右肩に打ち込んだ。

「硬い」

 手応えが違う、これは・・・こいつもサイボーグ!私は男の頭を打ち抜いた。サイボーグはそのまま膝を落とし倒れた。

「ウオゥ!」

 ウルフハウンドはは残るもう1人に飛びかかるがUZI構え撃つ。ウルフハウンドは銃弾を至近距離で受け吹き飛びながら倒れていく。

 私は完治した脚で地面を蹴り後ろに回り込む。

「!!」

 両方にUZIを持っていて今まさに私に銃口が向いている。男との距離は2m程度、発射速度1分間に600発に単発のハンドガンでは打ち負ける。

 男はUZIの引き金を引く、打ち出される銃弾に向かって私は1発だけ打ち返した。

 私の撃った弾は銃口で小さな魔法陣を潜りUZIの銃口に入り暴発した。打ち出された弾丸は最初の1発目は私の右肩を逸らし、2発目は右耳をかすめて遠ざかった。粉砕した4発目の弾丸は私の左腹部をかすめ残り3発は完全に粉砕し無くなった。

 そう、私の撃った弾丸は魔力で増強されている。幾らマシンガンの弾でも打ち負けない威力を持っている。

「ぐわ!」

 暴発した銃を持っていた左手が弾かれた反動を使って体を回転させ残る右腕のUZIを私に向けようとしている。

「遅い!」

 私は男の右手を打ち抜き持っている銃を落とした。

「くそ!」

 そこへもう一台の車がスキール音を立てて到着した。車からジャンが飛び出し銃口を男に向ける。

「そいつはサイボーグよ油断しないで!」

 私はジャンに怒鳴りつけた。ジャンも私の声に驚きながらも直ぐに目の色が変わり、銃を向けながら防弾チョッキのポケットからメモリーを取り出すと男の首元を掴みソケットを探しメモリーを刺した。

「貴様・・・何を・・・」

「動きを封じただけさ、大人しくしてろ」

『チーフ、サイボーグを1体捕獲しました』

『―今、そちらに中垣を向かわせている。10分で到着する―』

『有り難うございます』

「私は行くわ」

「おう・・・分かった。気を付けて」

 私はジャンを置いてプラザタウンの中に入る。

「これは酷いわね」

 アーケードの中は割れたガラスの破片と銃痕で割れた地面のタイルや爆発の痕が至る所に残っている。

 アーケードの両端で数カ所に倒れた人が並べられ各々にトリアージと応急治療している人が居るがしかし重傷者が居るように見えない。

「何なの、これは?」

 私は近くにいた店員に尋ねる。

「爆弾とマシンガンをぶっ放す男1人に能力者の女の子がみんなを庇ったんだ」

「それでその子は?」

「今、救急車で行ったよ、まだ意識が戻ってないようだったから心配だよ」

「そう、有り難う」

「いぃえ」

 小太りで気前の良さそうな店員はそう言いながら奥に入りまた心配そうに、治療を受けている人達を見ていた。

『―プラザタウンに今、北署の鑑識が到着した。シルビア状況はどうなっているか分かる?―』

 マリアからだ。

『はい、今の現状だけなら説明できます。まだ聞き込みを始めた所ですが、私達が戦ったサイボーグを1人の能力者が戦った・・・いえ、能力者がプラザタウンに居る一般市民を庇いながら戦ったらしいのです』

『―能力者が?1人で、何者?―』

『能力者は少女と言う事だけで既に救急搬送された後でした。戦闘では敵はマシンガンと手投げ弾を使った模様ですが、戦った能力者以外は全てかすり傷程度の軽傷です。能力者は意識が無かったそうですが怪我の程度は不明です』

『―そうか分かった。その件はこちらで確認を取っておく。となるとこれは・・・―』

『揺動ですね』

『―それでは8箇所目でもう魔法陣を設置したと言う事ですか―』

 小河代割り込み訊いた。

『―これだけ警戒されているのだそうとも限らん。シルビア、この通信は受信しているな?』

『―ええ、聞いているわ、異形魔方陣の事ねでもまだ場所が確定していないの、候補地は大分絞って有るのだけどまだ59の候補地が残っているわ。その内の1箇所が分かれば残りも分かるのだけど今はまだ・・・-』

『―分かった。場所が特定でき次第直ぐに報告をくれ―』

『―分かりました―』

 私はこの混乱している現場を離れる訳にいかないため一度ジャンと合流する。

「シルビア、お疲れさま、早速だがサイボーグと接触した時の状況を教えてくれないか」

「ええ、中垣さん車の中で」

「分かった」

 私と中垣は鑑識のトラックに入ると車に設置されているパソコンとそこから伸びるヘッドギアを装着して、その時の記録映像を転送した。

「こっちがサイボーグとの戦闘データです。それからこちらがプラザタウン内の映像です」

 ファイルを2つのファイルに別けて保存した事を中垣に説明する。

「おお、有り難う」

 中垣は私の映像データに記録されている時間から学研都市に無数に有る監視カメラの映像をリンクさせパソコン内に立体映像を作り上げ検証を進めた。

「有り難う、シルビアのお陰で大分早く検証が出来た。それと、ダイアモンドダクト周辺の様子も検証が出来た」

「私も映像を集めたのだけど爆発前の映像までだったわ、どうやって?」

「監視カメラの映像を解析して合成したのだ」

 それにしても映っている映像は特定の人物を中心に360度回転している。

 その真ん中に居る人物が銃を持った男とその前に立ちはだかる少女だった。

「この()がその能力者?」

「まあ見てなさい」

 中垣は映像を進める。

「この男、さっきプラザタウンの入り口に居た男と同じだよな。どういう事だ?」

「まだ解らん、だが可能性だがクローンのサイボーグと言う可能性が有る」

「クローンのサイボーグ」

「まだ詳細は分からないが恐らくAC60地区、1-3番地で回収したした物と一致するだろう」

「あの洋食店で回収したサイボーグ?」

「ああ、まだDNA鑑定をしていないがその可能性が有るが車内(ここ)では解らん、一度本部へ戻って解析しないと」

 それを聞いたジャンは少し下がった。

「と言う事は、この事態を収束するまでには間に合わないと言う事だな」

「それが鑑識の限界でも有るがそれは仕方ないさ、2人共、しっかりやってくれよ。俺の戦いはこれからだ」

「はい、中垣チーフもお気を付けて」

「ああ、分かっているよ」

 私とジャンは中垣の乗ってきたトラックを降り本部に戻る所を見送った。その後、ジャンの車に一度乗り込んだ。


シルビア編もこれから戦闘シーンが続きます。

次回、朝倉裕貴と接触します。


2018年2月、

今は「対戦車ライフル」とは呼ばず「対物ライフル」と呼ぶそうです。

もう戦車にこの種の武器が効かないからそう呼ばれるようになりました。

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