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第1部 12芒星魔方陣 編  14章 決戦を予感する前夜

 公安6課のビルから徒歩5分の所に私とジュリアン、メイドのエリカと執事のリチャードの4人が住むタワーマンションの最上階全フロアが私達の住む家だ。

「お疲れさまです。ジュリアン様、お嬢様、1週間お戻りにならないまま本日もお仕事お疲れさまです」

「ただいま、エリカ」

 エリカが出迎えジュリアンが応える。私もジュリアンに続き部屋に入った。

「アメリカでのミッションは如何でした?シルビア様」

「予想以上にスムーズに片付いたわ」

「エリカ、先にシャワー浴びるわね」

「はい、ジュリアン様、直ぐお着替え用意いたします」

 ジュリアンは近くにリチャードが居る事も構わずに服を脱ぎ始める所をエリカは洗面所へ誘導し着替えを手伝った。少し気分が落ち着いたと感じているとき、キッチンから良い臭いが漂ってきた。

「今夜はカレーね」

「はい、シルビアお嬢様。後はサラダとスープが御座います」

「日本風が良いわね、チキンティッカマサラも良いけど日本のカレーライスが美味しいのよ」

「日本で取れるお米は美味しゅう御座いますからよくカレーに合いますね、ではその様に味付けを変えましょう」

 リチャードは直ぐに味付けを変えるため調理始めた。

「良い臭いねー」

「はい、今夜はカレーですって」

 私は何故か嬉しくてジュリアンに言った。本国でもカレーを好む人は多いが日本で食べるカレーはその中でももっと美味しいと思う。ジュリアンはテーブルに着きエリカが並べる料理を待っている。

 食事が終わりジュリアンは刀の手入れをするため部屋に戻った。

 私もおお風呂に入る。

「お嬢様、湯加減は如何ですか-」

「ええ、良いお湯よってエリカ何してるの?」

 洗面所で何かゴソゴソと音がしている。

「お嬢様ーお背中流します-」

「ちょっとエリカ!」

 湯船は大きく2人が十分入れる大きさが有る。その湯船にエリカが飛び込んだ。

「何やってるのよ」

 エリカはまた私の背中に顔をこすりつけて来る。私はそれを押しのけて湯船から出た。

「では早速、お背中流しますー」

 エリカは宣言して私の背中を流した。

「まだ当分、お帰りが遅くなるのですか?」

「多分、明日までだと思うわ」

「と、申されますと」

「多分、明日が山になると思うの・・・」

「では、お嬢様のご無事をお祈りしておまじないを」

 エリカはそう言うと私の胸を揉み始めた。

「ちょっと何を!アッ」

 思わず出た声にエリカは面白がっているのか?

「お嬢様の喘ぎ声、頂きました❤」

「もう、エリカ!」

 攻撃魔法と言うよりは随分弱いがウォーターガンを召喚しエリカを攻撃した。当然、水鉄砲なのでおもちゃ程度だが水道のホースから出る位の勢いは有る。

「うぷぷ・・」

 水鉄砲からの水はエリカの顔に直撃し飲んでいる。

「分かった?」

「はい、お嬢様」

 私はシャワー台の椅子から立ち振り返りながらエリカに言った。エリカは心持ちか少し嬉しそうにしながら私を上目遣いで見ていた。

 部屋に戻りベレッタM1951を解体点検しているとエリカは部屋へ紅茶を入れたポットとビスケットをテーブルに置いた。

「お嬢様、どうですか?」

「もうちょっとでこれ、終わるから」

 解体した銃を丁寧に組み直し、空のマガジンを挿入しスライドを引いた。

「お疲れさまです」

 エリカはティーポットキャンドルから下ろしティーカップに注いで私の手元に置いた。

「やっぱり、エリカの煎れた紅茶は美味しいわね」

「今夜は“ジョルジ”を用意しました」

 紅茶を一口飲みビスケットを食べた。いつの間にか冷えた体が温まる。

「この甘さが今までの疲れを忘れさせるわね」

 エリカも私の部屋で紅茶を煎れ味わっている。

「お嬢様も紅茶の煎れ方を知っていましたよね、アメリカに行っている間、紅茶を煎れなかったのですか?」

「ええ、何かと忙しくて・・・それにティーセットを持って行かなかったのよ。荷物を最小限にしたかったからね」

「そうなんですか、それほど忙しかったのなら私も連れて行ってくだされば良かったのに」

「その、人手も最小限に抑えたかったのよ。隠密行動なんだから人が増えるとその分、動き難くなるから、それに、こうやってエリカが煎れた紅茶を飲む楽しみが減るじゃない?」

「お・・・お嬢様ー」

 エリカは私に抱きついた。最初は私も抱き留めていたが徐々にエリカの手が私の服の下に伸びていくのを感じ引きはがし始めるが力が強く離れない。

「もう、エリカ!」

 私はPOWERを発動させエリカを引き剥がし逆にお姫様抱っこの状態でベッドへ放り投げた。

「いやん」

 エリカは妙に色っぽい声を出しベッドで私を誘う振りをする。私は思わずため息を付いた。

「じゃあ、今日は一緒に寝る?」

「よっしゃ・・」

 後ろを向いているエリカだがガッツポーズをしている様に見える。

「今、何か言った?」

「いえ、お嬢様と同じベッドで一夜なんて、なんと私は幸せ者なんでしょう」

「分かった分かった。じゃあお休み、エリカ」

「はい、お休みなさいませ、お嬢様」

 こうして私は私のベッドでエリカと眠った。時々伸びてくるエリカの手が少し邪魔だった・・・。

「お早うございます」

 目を覚ますと同じタイミングでエリカが部屋に入り私の服を用意していた。

「お早う、エリカそれは私がやるわよ、日本に来てから全部自分でやると決めてるのに・・・」

「いえ、そんな負担をおかけする訳にはいきません」

 そんな事を言いながら用意した服はタイトスカートにブレザーの組み合わせだった。

「エリカ、悪いけど今日は大変な1日になると思うわ、パンツにして頂戴」

「はい、かしこまりました」

 ここで言うパンツは下着では無くボトムズの方を指している。

「先にシャワー浴びてくるわ」

 私はベッドから出てネグリジェ姿でバスルームに向かう途中に気が付いた。「結局、エリカに任せてしまったわね・・・」と笑ってしまった。

 朝食はウインナーとスコーン、スクランブルエッグ等々イギリスでお馴染みの料理が並んでいた。

「お飲み物は何になさいますか?」

「今日はコーヒーをお願い」

「かしこまりました」

 リチャードは早速サイホンを取り出しコーヒーを煎れ始めた。

「おはよう」

 ジュリアンがリビングにエリカを連れて入ってきた。

「お早うございます。姉さん」

「直ぐに朝食になさいますか?」

「ありがと、そうするわ・・・私もコーヒーお願い」

「かしこまりました」

 ジュリアンは部屋に漂うコーヒーの香りに釣られリチャードに注文した。

「いよいよですわね」

「シルもそう思う?」

「ええ、今日は大変な事が起こると思っていますわ」

「私もよそうよ。今日は他にも何かが起こりそうな予感がするの?」

「魔法陣の他にも何か有るのですか?」

「そんな予感がするの・・・なんだか胸騒ぎの様な・・何かが」

 雲が掛かり少し薄暗い空のように部屋の空気も曇るそんな朝だった。


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