第1部 12芒星魔方陣 編 6章 陰陽師の少女 1話
新キャラ登場です。
ゴールデンウィークが終わるまでに間に合いました。
同2話もすぐに公開しますのでお待ちください。
「これから何か解った事は?」
本部の地下で解析を進めている原型を留めない程に破壊されたサイボーグ5体が横たわっている。
「脳以外は全て人造品です」
「倫理規定違反じゃない、全身義体は」
鑑識に小河は訴える。
「倫理規定はともかくこの義体の作りが随分粗い作りになっている。特に材質は通常アルミ合金を使う所にSUSを使用している。それと関節の可動範囲は狭いと思われます」
「つまり、国内で製造された物では無いと言う事」
「他に解った事は?」
鑑識班長、中垣は続けてディスプレイに壊れた建物の状況が映し出される。そこにはチョークで書かれた模様が描かれている。
「何だこれは?」
斎藤が不思議そうに質問をする。
「魔法陣、それも何だかやばそうね」
「これがどう言う効果を発動させる物かは分かりません」
マリアと共に中垣班長も困っているようだった。
「どうやらこの魔法陣の方が本命みたいかも知れないな」
成田は横たわる男の側まで進みながら言った。
「私が魔法陣を解析するわ」
「宜しくね、佐倉」
佐倉帆香、鑑識班で魔術解析のプロフェッショナルだ。
「ええ、でもこの魔法陣、単体では発動しないわね」
「他にもこれと同じ魔法陣が有ると?」
「若しくはこれから作るのかも?」
「だとすると、もうすぐ完成かも知れない。とにかく急いで頂戴」
「分かった。じゃあ詳しい魔法陣の陣形の資料を出して貰える」
「分かりました。ではこちらへ」
「私も良いかしら?」
「ええ、宜しくお願いします」
ジュリアンは佐倉と共に部屋を出て行った。
「これらのデータの解析は?」
「こいつ等の構造は分かったがプログラムや記憶の解析はどうだ?」
「データを抜き取りは成功しましたが解析はこれからです」
「そうか、分かった。ウイルスなどのトラップに注意して引き続き頼む」
「分かりました。急ぎましょう」
中垣はそう言うと端末を操作し始めた。
「ミーティングはこれで解散」
成田課長の一言で朝のミーティングは終わり私はオフィスで昨日の一件に付いての報告書を作り始めた。小河が私の隣の椅子に座りコーヒーを机に置いた。
「シルビア、昨日の資料の参考にして」
「有り難うございます」
小河からUSBメモリーを預かりファイルを開いた。
「これだけ有るとすぐに終わりそうです」
「そう?それは良かった」
小河からの資料のお陰で報告書は1時間程で完成した。
「有り難うございます先輩、お陰で早く終わりました」
「いえいえ、それより、昨日の現場に行ってみない?調べたい事が有るのよ」
「分かったわ」
私は荷物をまとめて鞄に入れ肩からぶら下げたその時、爆発音と共に床が揺れ私と小河はよろけビル内にサイレンが鳴り響く
「なに、地震?」
だとするとさっきの爆発音の説明が付かない。これは恐らく襲撃、私は1Fロビーへ飛び出した。
「やっと見付けたわ」
入り口のガラスが粉々に粉砕されショーウィンドウのマネキンが燃えフロアのあちこち
から煙が上がっている所に人影が有った。
「貴方、何者!」
私は怒鳴りつけた。
「お前等に名乗る名前なんて無いわ」
女の声?私は足元に落ちている灰を見た。ふわふわと舞い形が消えかけているが確かに式神だった。
その女は黒のハーフパンツにグレーアンダーシャツと黒でシースルーの様に透けたロングコートを着ている。
「そう・・・、陰陽師って訳ね、目的は?」
しかし、女は煙の中で式神を両手一杯に広げた。
「ここを破壊して学研都市の破壊計画を食い止める」
そう言いながら両腕を前に振り上げ式神を投げる。式神は燃え炎の軌跡を残したまま勢いよく私達の所に向かって来る。
公安6課が入居しているビルは表向きインターネット通販のショールームで偽装しており一見しただけでは公安6課だとは分からない様になっていた筈。
私はハンドバッグからM1951を取り出し身構えたが間に合わない。咄嗟に後ろに飛びバランスを崩しながら引き金に指を掛けた。
「うわ!」
しかし、目の前には真っ赤に燃える火の玉となった式神が迫るその時、編み目錠n青い光がシートを広げた様に私と式神の間に割って入り網に掛かった式神はその場で燃え上がった。
「油断するんじゃ無いの!シルビア」
そこには杖を持ったジュリアン2階の吹き抜けから声を張り上げている。私は飛び退けた弾みで一回転して床に跪いた(ひざまずいた)状態から体を起こし引き金を引いた。
女は弾丸をまるで止まっているボールを避ける様に交わしまた式神を投げた。放たれた式神は全部で8枚は炎の矢の様に燃え私に襲いかかってくる。
――ENTER――
引き金を引いた銃口から青い光りが打ち出されすぐ光が8方向へ黄色い光になって別れ式神を打ち落とした。
「式神を打ち落とした?」
女はそう言った途端に飛び退ける。女の居た地点に8本の光が刺さった。
「クソ!」
体勢を立て直し再び式神を手に取っている。
「フォーミングを交わすとはやるわね」
「ちょっと建物余り壊さないでね」
ジュリアンは訴える。
「そんな事、分かってるわよ!」
私は銃を胸の前に当てるように構える。電撃で相手の動きを止めるつもりでプログラムを組み立てる。
――ENTER――
女の周囲足元に6本、天井に1本、魔法陣と共に柱が生える。
「いっけー!」
ベレッタM1951の引き金を引いた。
――ENTER――
天井の柱から女の周囲に生えた柱に向かって雷が落ちるかのように放電が始まった。女に直接電撃を与えると感電死する場合が有る為さながら、電撃の檻を作り中の酸素をオゾンに変えて一時的に酸欠状態にさせるのか目的だ。
「この臭い、オゾン?」
女は苦しくなる呼吸の中で式神に念を込めた。
バチバチと鳴る中に時々パーンと言う音と高圧トランスに電気が流れている様にブーンと言う音も混じっている。天井と地面までおよそ2.3m、それを6地点で空気を引き裂いて放電しているのだから当然の現象だろう。
6本の電撃は1本にまとまりやがて電撃が起きなくなった。
「何?」
放電を起こしている柱の下から元の柱を破壊し新たな柱が天井の柱に繋がって放電が止まっている。女はさらに式神を投げ印を組み叫んだ。
「説破」
式神はよく見ると人の形をしている。その姿はクレイモデルみたいに何も表情が無く表面は金属の様に光を反射し大きな『さすまた』を持っている。
「あれが人形?初めて見たわ」
ジュリアンはこの状況なのに手を出さずに刀の鞘を握りしめシルビアを見ている。
「シルビア、後ろ!」
2階のフロアからジュリアンが叫ぶ。振り返ると目の前に棍棒が目の前に迫っていて思わず銃で棍棒を受ける。
「ぐっ」
棍棒を受けた衝撃でM1951の銀装飾されたスライド変形している。いつの間にか私は両手で終を持っている。それでも重い、いつの間に左手で銃口の付近を持って支えているが胸の所まで押し戻され左膝を地面に付け跪く。さらに背後からさすまたを持った人形が襲いかかってくる。
「く、クソ-」
思わず汚い言葉を吐き、咄嗟に思い付くプログラムを実行する。
――ENTER――
銃口から『THIS CALL FIRE BALL!! ((DG3Q/E25R*UN108+(27√y+386(389)*√U2:25VE-38)=CE99XJ』の文字が螺旋状に現れの文字と文字の間には模様と魔法陣は私の身体をすり抜け現れ衝撃波と成って人形を仰け反らせた。螺旋魔法陣はM1951の先に収束していくように一度消えた。
私はそのタイミングでしゃがみ込んだ姿勢のまま銃口を人形に向ける。そこからさらに別の大きな円字の魔法陣が現れそから青い光の線で描かれたドラゴンの頭が現れけたたましく吠えながら口から炎の塊が現れた。
「ちょっとそれはやり過ぎ!」
ジュリアンは慌てて叫ぶ。炎の塊は衝撃波放ちながら目にも留まらない高速で飛び人形を貫通し部屋の奥の壁に着弾すると爆発した。
壁は溶け赤い溶岩になって穴が開きその回りには炎が上がっている。
一方、人形は胴体に大きな穴が開きその内側から燃え上がった。
私は燃え上がっている人形の方へ飛び退き振り返ると銃口を後ろに居るもう1体の人形に銃口を向ける。
「遅い!」
私の居る所を中心に5枚の式神が床に並び床に薄い模様が浮かんでいる。
「吽!」
女は指をかざし唱えると床の薄かった模様が濃く白い光りが立ち上った。
「ぐ!」
床に体が吸い付けられるように動けない。女は勝利を確信している様に見える。
「貴方達、この女がピンチなのに助けに入らないの?」
「あーらお生憎様、シルビアはこの程度でやられる程弱くないわ」
ジュリアンの横で様子をじっと見守っていたマリアが言う。
「そう?ならこの女が死ぬ所を見てなさい!」
床に吸い付くような圧力に押され床に跪く私に残った1体の人形が棍棒を振りあげると、棍棒は青白くバチバチと電気を帯び出している。
「これ以上、醜態を晒す訳にはいかないか・・・」
マリアの言っていた通り、この程度で私はやられている訳にはいかない。
「デジタル回路、切断・・・行くわよ!」
私の体に力がみなぎってくる。マナを直接、身体機能に回し始めた為だ。床に吸い付けられ動けなくなっていた私はその場で起き上がり振り下ろされた棍棒を左手一つで受け止めた。
「何?一体・・・」
私の身体は赤いオーラが立ち上り左手で掴んだ棍棒が燃え始め人形に炎が移って燃え始めた。そしてかざした右手から直径10cm程の魔法陣が現れ1.3m程の杖が現れ、それを手に取り槍のように振り回し正面で構えた。
私の足元に黄色い魔法陣が現れる。
「ふざけるなぁぁ!」
女は怒鳴るとどこから飛び出してくるのか分からない程の式神が飛び散り四方八方から私の身体に纏わり付き全身式神で覆い付くと、一枚一枚が爆発し他の式神も爆弾が誘爆するように次々と爆発を起こし全身が火だるまになった。
爆竹が鳴るような音が鳴り止みしばらく耳鳴りがする中、煙の中から人影が現れた。
「シルビア!」
ジュリアンは安堵した様に叫ぶ。
「全く、服がぼろぼろじゃないの!」
私はゆらりと足元を確認しながら1・2歩前に進むと杖を頭上へ振りかざした。私の着ていたスーツは、爆発の熱と炎で焼かれ焦げた穴があちこちに開き、背中や肩の一部ではまだ小さな炎を煙が上がりスカートは股下まで焼け焦げ生地がちぎれ落ちている。白色のストッキングもあちこち穴だらけになっている。
一方、私は咄嗟に』発動させたマナシールドのお陰で髪の毛1本焦げたり燃えたりせず、炎が髪の毛と接触する度に薄い膜が足元の魔法陣と共に青く光って赤い髪に紫に映っている。
「なんで?」
「まだ終わってないわよ!」
女は少し怯えた様子で言葉を絞り出す。既に振りかざした杖の先には氷りの槍7本が時計回りに回転している。
「投降しなさい」
女は黙ってそのまま座り込む。私の後ろでずっと銃を構えていた小河がゆっくり前で出て女に手錠を掛けた。
その後の捜査は中断する事となり壊れた1階ロビーの中垣と後片付けになった。
一方、女への取り調べは私とマリア、陰陽師にも若干の知識があるジュリアンが立ち会う事になった。




