仕事が終わった
「はー、疲れた。カフェの仕事ってこんなに大変なんですね」
そう言って水月さんは笑った。
「これ、毎日やるのって大変ですよね」
「いや、・・・いつもばあちゃんがいる、から」
「あ、そうか」
女の子と二人っきりで話をするなんて何年ぶりだろう。
彼女がいたとき以来だな、きっと。
「あの、今日は助かりました。ありがとう」
「いいえ、楽しかったです。こういう仕事、あこがれてて」
おれも、初めてばあちゃんを手伝ったとき楽しいと思ったはずなんだけどな。
今と、なにが変わったんだろう。
「これから、土日だけですけど手伝いに来てもいい、ですか?」
不安そうに見上げてくる。
まあ、俺としてはすっげぇたすかる。
「よろしくお願いします」
そう言うと女の子は、本当に嬉しそうに笑った。
「私で良ければいつでも手伝いに来ますね」
今日一緒に仕事したり話したりしてみて分かったけど、意外と話す子だ。
おっとりしててあまり話さないのかなって思ってたけど、会話が途切れない。
しかも、俺にあわせて話してくれている。
水月さんと話しているとだいぶ楽になるな。リラックス出来る。
「あの、都輝さん。おばあちゃんの病院の場所、教えてもらっても良いですか?今から行こうと思って」
「あぁ、ちょっと待ってて」
「ありがとうございます」
ふと思いつく。
「一緒に、行く?」
どうせ俺も行くつもりだったし。
「じゃあ、お願いします。」
うなずく。
「支度する」
そう言うと彼女は軽くうなずいて自分の身支度も整えていた。
見ている場合じゃない。
「じゃ、いこ」