表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

笑った

俺はその場に数秒立ち尽くした。ばあちゃんの作るモカと、俺のモカは分かるほど味が違うのか?

「あの・・・。」

呆然としていた。

「ごめんなさい。」

「あっ、いえ。」

「今日、おばあちゃんは。」

「あー、えっと。」

なんて言えば良いんだろう。

「・・・昨日、倒れて、病院にいます。」

「えっ。」

女の子は驚いたように、息をのんだ。そして、目を動かし一点に視線が定まった。

俺の肩の向こう。厨房。いつもばあちゃんがいるからだろうか。

「あの、私・・・。」

「えっ?」

最後の方が聞き取れなかった。

「私、手伝いましょうか?」

「えっ、あぁ。」

手伝ってもらうのはいいが、手伝わせてしまって良いのか?もちろん、手伝ってもらうのは、俺にとって、嬉しいのだが。

「あっ、ごめんなさい!」

「え?」

何がだろう。

「何も考えずに、言ってしまって。迷惑ですよね。ごめんなさい。いつもみんなに“相手のことも考えて”って言われるんですけど、つい・・・。」

「いえ。俺としては、手伝ってもらえるのはありがたいんですけど。・・・いいんですか?その、せっかくの祝日なのに。」

「私、手伝ってもいいんですか?」

「そう言ってもらえると、嬉しいです。」

「はい。あの、じゃあ、パンケーキ食べちゃったら持って行きますね。」

「はい。」

予想外だったが、2人でやれば多少は楽になるかもしれない。1人で厨房と、店内を見るのはさすがにきつかった。

「あの、パンケーキは今日もすごくおいしいです。」

おいしいと言われて悪い気はしない。とりあえず、お辞儀をしておく。

「笑った。」

女の子は嬉しそうに、小さな声でそう言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ