あなたには何が見えましたか!?
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ここからどう生きていけばいいのか分からないが、たった一つ分かることは、今までの俺の人生は何もかも無駄であったということ。
いかにもがいたところで、そこからは何も生まない。
どうすれば思い通りの人生が歩めたのだろうか……。
頭にあるのはそればかりだ。
現実は理想とは遠くかけ離れていて、辛く、苦しい。
自分の中に思い描いていたキャンバスはその原型をほとんど留めず、何がなんだか分からなくなっている。
「あぁ、つまらない人生だった」
ただただそう言うしかなかった。
頭上に広がる重くドンヨリとした、今にも雨が降りだしそうな雲。
そこから発せられる重圧に俺は気圧される。
しだいに風も強くなり、気温も下がってきた。
俺はふぅー、と深呼吸をし、辺りを見回す。
いない。
誰もいない。
……つまり俺を止める者は誰もいないということだ。
「いるはずがないよな……」
わざわざ人目を避けて町外れの廃墟ビルに来たというのに、どうしてここに人がいるのだろうか。
浅はかな行為をしてしまった自分に対して嘲笑してやる。
──しかし、俺は再び辺りを見回した。
本当は分かっている。どうしてそのような行為をしてしまうのか。
それは俺がずっと求めてやまなかったものを、俺がまだ待ち続けているという気持ちの表れであるということに。
くだらないと思いつつ、心の奥底では思っていた。
邪魔な感情だ。邪魔すぎて叫びたくなるほど煩わしい。
迷惑だ、迷惑だ、迷惑だ、迷惑だ、俺にとっては迷惑だ!
未練は何もない……。
だから怖れはない。そう、一瞬のことだから。
ほんの数歩、前に歩を進めるだけで終わることだから。
怖れはない……そのはずなのに……足が情けないほど笑い、すくむのはどうしてだろうか。
その瞬間、一つの感情が俺を支配する。
──『怖い』という感情。
今更になってどうしてこんなものが顕著に顔を出すのだろうかと、俺は唇を微かにほころばせる。
そして無理矢理押さえつけようと試みるも、それは一向に収まる気配はなく、膨張の一歩をたどった。
怖い、怖い、怖い、怖い、怖い!
気温が更に下がったのか、全身もが震え出す。
俺は空を仰ぎ、そして一言、
「……あぁ、そうか。俺には勇気がなかったんだな」
途端に腹の底から笑いが込み上げてくる。
いつしか、俺の頬には熱い何かが垂れていた。
俺は今、一体どんな顔をしているのだろうか。
やがて空は堪えきれなくなったのか、ポツリ、ポツリと泣き出して、次第にその激しさは増していった。
【閑話】
はい、この作品は、後でする質問をいれて文学作品にし、私、霜月の黒歴史の発現を防ごうというのが狙いです。
不純な動機ですみません。
ではここで一つ質問です。
『あなたはこの短編からどのような情景が浮かびましたか?』
おそらく大多数の人は、主人公が廃墟ビルから飛び降り自殺をしようとしていると思うでしょう。
この作品はあえて、『自殺』や『飛び降り』といった言葉などの言葉を用意ませんでした。
私は描写が下手ですが、直接的な言葉を用いないというのをルールにこの作品を書き直しました。
上手く情景が想像できるものになっているかは分かりませんが、一人でも多くの人に伝わっていると幸いです。