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あ・く・ゆ・う☆

他人ならば睨んだりはしないがどうせ犯人はこいつだってわかっているから大丈夫。

 犯人は小学校からの悪友井上直樹。

 俺をこの道に引きずり込んだ張本人であり俺の本当の心情を知るただ一人の友達(家族やイリスは当然知っていたりするからただ一人の友達)

 俺でこのレベルだからこいつはもっと酷いはずなんだが実はそうではなくて、俺に教えてくれた時はハマっていたが、俺がハマるのと反比例しているかのようにどんどん醒めていった。

 こいつは昔から色々なものに干渉されやすいタイプだ。

 忍者系の漫画にハマると印の練習なんかをし始めて早くできるようになると自慢してくる。ただ息を吹いているだけなのに火球ができてたまるか。

 海賊系の漫画にハマるとたこれはお宝だとか言って人のものを勝手に強奪していく。

 これは中二病というよりも幼稚園児の真似事の延長だろう。

 そう思うと可哀想に思えてきたので可哀想な人を見る目で見たら直樹が急に何か声を掛けてきた。

 正直ほとんど寝ていたようなものだから聴覚がうまく稼働していない。

 意識的に遮断はしていないはずだ。


「お・き・ろ~!!!」

 

 聞こえていないと気が付いたらしく急に馬鹿でかい声を出しやがった。

 このまま無視してやってもいいのだが目が覚めてしまったので多少苛立ちを覚えつつ返答する。

「なんだよ五月蠅いな。人が寝ようとしているときの配慮はないのかクラスへの迷惑を考えないのか騒いで目立ちたいのか」

「ないな!少なくとも海斗が相手なら」

 即答で酷いことを言いやがった。

「俺に何か用か。何もないならクラス全員に一人ずつ謝ってこいついでに俺への謝罪の印はジュース一本で勘弁してやる」

「一人ひとりに謝るのはいいが何で俺はお前にジュースを奢らなきゃいけないんだよ」

「嫌ならお前の姉ちゃんにありもしない噂をながすぞ」

「待って!それはマジで勘弁。何を流すかわ知らないけど多分後で俺殺されちゃうよ。ちゃんと用はあるから」

「……ならいい。それでもちゃんと謝っとけよ。…それで、何の用だ。くだらない理由でもゆるさないからな」

 優等生を目指しているわけではないが流石にこれはやり過ぎだ。

「いや、結構なイベントだぜ。転校生が来るみたいなんだ」

「は?…転校生?」

「どうせ昨日のクラス発表での名簿しっかり見てなかったんだろ。しっかり見ていたら気が付いていたはずだからな」

「もちろん見ているわけがないだろう。見たのは自分の名前があるか否、それだけだ。あ…担任も確認したかな」

「俺の名前は探してくれないのかよ」

 何故か縋り付いてきた。気持ち悪い。

「ああ、どうせ俺の名前の下に書いてあるからな。どうせ自分の名前を探しているときにみつけるだろう。みつからなかったらそれまでだと思っている」

「あ、……なるほど…それでもそれまでって酷くない!」

 こいつは井上で俺は泉だからほぼ必然的に俺の一個後ろだ。

 現に俺は後ろを向いて話しているし、もともとこいつと知り合ったのも同じクラスで席が近かったからだし。

 別に誰がクラスメイトでもいいし、いつも通り過ごすだけだからどうでもいいがこいつは色々と役に立つ。

 具体的に言うと疎い俺に色々と教えてくれる友達という名のデータベースだ。

 俺はこいつの姉と仲がいい方だから色々なデマを流せるし、ある程度冗談だともわかってくれる。ついでに俺がこんなだということも知っている。(姉は友達ではないからただ一人は守られる)

 さっきの反応からわかるように直樹は姉貴に脅えている。別に井上家が儒教の教えを取り入れ厳しい年功序列にしているわけではないが、昔言うことを聞かないだけで暴力に訴えられていたので本能的に上下を悟っているようだ。

 こいつの親はそんな光景を微笑ましいものだと思って見ているようだからこの家族は変な人の集団だ。

 話の区切りがついたから別にこれ以上聞くのはいいだろうと思い、何を話そうとしていたのか確かめたいという好奇心を睡魔に喰わせ再び欲のままに眠りにつくことにした。

 子守唄はまだぞっこうしてくれているようだ。

『キャー!』

 急に子守唄に転調がおこったのか、とても五月蠅い。女子というのは何かと騒ぐ習性がある。注意すると――

『男子五月蠅い!』

 ――こんな風に言われる。

 こんな子守唄を所望した覚えはない。

 子守唄を歌えと言った覚えもない。

 クレームをつけてやろうかと立ち上ろうとした所に直樹が居た。

 俺のためのオーケストラに不協和音を交ぜた事への文句を言おうとしたがまたこいつに邪魔された。

「そんな目で見なくてもいいだろ。まだ話は終わってねーよ」

「わかったさっさと話せ。しっかり聞き流してやるから。そしたらすぐに夢の世界へと旅立ってやるからな」

「聞き流すなよ……それで、今回転校生が来るらしいぞ」

「それは聞いた」

「しかもかなりの美少女」

「そうかそうか良かったな話は終わりか夢の世界に向かう。次起こす時はティーチャーが来る時だけだ。次そんなことで起こしたらお前の姉ちゃんに『匿って下さい。直樹の野郎に掘られそうなんです』って言ってやる」

「それはマジでやめて!そんなことしたら酷い目にあうことが目に見えてるから……あ、でも今はそんな事ないと思うぞ。むしろ推奨してくる。姉貴今BL系にどっぷりとはなっているからな。リアルで見れるとビデオカメラ片手にお前を差し出してくるはずだ」

 ち、あの人腐女子になっていたのか。貴腐人にならないことだけを祈っていよう。

 それじゃあ……

「なら『直樹の奴やっぱりドMみたいです。姉としてシッカリと罵ってやってください。絶対喜ぶので』とか言ってやる」

「それも本当にやめて!基本的に姉貴はSだから喜んで俺に暴力ふってくるよ。むしろ躊躇ということを知らなくなって酷くなることが目に見えているよ!俺が包帯巻いて学校に通う羽目になったらどう責任とってくれるんだよ」

「責任って気持ち悪い。俺にはお前のような同性愛はない」

「そういう意味じゃねー!どう罪を償ってくれるのかって聞いてるんだよ!」

「おいおい、俺が眠りたいことを邪魔した罪を償う行為は罪じゃないぞ。お前が言ってるのは罪を償う行為――もとい、処刑が罪だっていってるんだぞ。狂っているにも程があるぞ」

「うるせー!罪に対しての罰が大きすぎるんだよ」

「人の眠りを邪魔するのは万死に値する故に、だ!」

「ダメだ本格的にイってやがる」

 心外な、俺みたいな一般人は他にはいないぞ。

 ……一般人だったら天使なんて来ないか。

 それでもこいつにイかれてるなんて言われたくない。

「じゃあ話の区切りも付いたしそろそろ子守唄が終わりそうだからもう寝るぞ」

「おい、かい――

「五月蠅いこれ以上言うなら本当に言うからな」

「海斗君おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」

 時間を無駄にした。

 転校生ぐらい新学期…それも春休み直後だったら来て当然だろ。

 それに美少女が来るだなんて噂の流した奴の願望に過ぎないだろう。

 これ以上考えてはいけない。早く旅立たなければ。

 ガヤガヤ

 子守唄が大きくなった。今が一番盛り上がる時なのか見逃さなくて良かった。

 ……ガヤガヤなんて普通言わないし、子守唄に盛り上がる所なんてないし、盛り上がっていたら寝られないなんて事とかは考えない!

 トントン

 肩を叩かれた。

 ……トントンもありえな…そんなことはどうでもいい

 一刻も早く直樹を処刑することを考えないと

サブタイトルを付けた自分について本当に大丈夫かと心配しています。

本当は『子守唄転調編』にでもしようかとも考えましたが流石にこの内容でこれはないかと思い現在に至ります。

姉貴のいない人にとっては羨ましいかもしれません。

(公的にであって筆者の意見ではありません)

姉が出てくるのはいつか?

それはこれから考えます。

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