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春雨に 滲む世界を 持て余し

作者: 色桜 なお
掲載日:2007/04/01

初なので、良かったら指導等をお願いします

その日は軽く視界がボヤける、痛みを感じさせない春雨の降る日だった。

そんな中、飯田涼は一人で一歩一歩踏みしめるかのように歩いていた。


今は春休み序盤。

桜は未だ咲いておらず、それでも確実に近づいてくる春の気配に、人々は浮かれずにはいられない。


「さみぃな」


いくら春と言えども、流石に濡れたまま歩き回るのには無理があった。

次第に軽い震えが涼の体を包みこんでくる。




「お兄さん」







「…あ゛?」



突然肩を叩かれ、現在、虫の居所が悪い涼は顔をしかめながら振り向いた。


涼の肩に手を置いた人物は、〔仕事?勿論完璧にこなしてますよ〕といった風情のサラリーマンだった。


無難な紺色の無地の傘をさしている相手は、怪訝そうな顔で涼を見つめている。二重に居心地が悪い涼は、無遠慮な相手に無遠慮に睨んだ。


「…これ」



突然ふっと笑みを浮かべたサラリーマンは、

言葉少なく傘を涼に差し出すと、涼に無理矢理握らせた。

男の意味不明な言動に呆気にとられた涼は、相手が走り去って行くまで、ぼんやりと木偶の坊のように吊ったっていた。




「…どいつもこいつもなんなんだよ」



ぽつりと溢した涼の声は、冷たくも優しい春雨がかきけしてしまった。


また歩き始めた涼は、変なサラリーマンから譲られた、紺色の無地の傘をさしながら、降っているのか、降っていないのか。

よく分からない傘の中で、涼は終業式でのこと、そして始業式のことを考えた。


考えたが、考えてどうにかなるものでもない。と、もう一人の自分が涼を小馬鹿にする。

しかし今の涼には言い返す権限などなかった。




ダルさばかりが先行する終業式で。

涼は

「ごめんなさい」と言われた。

初めから結果なんぞ知れていた。

それでも伝えたかった。

自己満足かもしれない。

それでもいい。



ただ。始業式であからさまに避けられるのは怖かった。






『そん時わ俺が慰めてやるよ』







サラリーマンといい、あいつといい。









何考えてんだか。



読んで下さってありがとうございます

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