春雨に 滲む世界を 持て余し
初なので、良かったら指導等をお願いします
その日は軽く視界がボヤける、痛みを感じさせない春雨の降る日だった。
そんな中、飯田涼は一人で一歩一歩踏みしめるかのように歩いていた。
今は春休み序盤。
桜は未だ咲いておらず、それでも確実に近づいてくる春の気配に、人々は浮かれずにはいられない。
「さみぃな」
いくら春と言えども、流石に濡れたまま歩き回るのには無理があった。
次第に軽い震えが涼の体を包みこんでくる。
「お兄さん」
「…あ゛?」
突然肩を叩かれ、現在、虫の居所が悪い涼は顔をしかめながら振り向いた。
涼の肩に手を置いた人物は、〔仕事?勿論完璧にこなしてますよ〕といった風情のサラリーマンだった。
無難な紺色の無地の傘をさしている相手は、怪訝そうな顔で涼を見つめている。二重に居心地が悪い涼は、無遠慮な相手に無遠慮に睨んだ。
「…これ」
突然ふっと笑みを浮かべたサラリーマンは、
言葉少なく傘を涼に差し出すと、涼に無理矢理握らせた。
男の意味不明な言動に呆気にとられた涼は、相手が走り去って行くまで、ぼんやりと木偶の坊のように吊ったっていた。
「…どいつもこいつもなんなんだよ」
ぽつりと溢した涼の声は、冷たくも優しい春雨がかきけしてしまった。
また歩き始めた涼は、変なサラリーマンから譲られた、紺色の無地の傘をさしながら、降っているのか、降っていないのか。
よく分からない傘の中で、涼は終業式でのこと、そして始業式のことを考えた。
考えたが、考えてどうにかなるものでもない。と、もう一人の自分が涼を小馬鹿にする。
しかし今の涼には言い返す権限などなかった。
ダルさばかりが先行する終業式で。
涼は
「ごめんなさい」と言われた。
初めから結果なんぞ知れていた。
それでも伝えたかった。
自己満足かもしれない。
それでもいい。
ただ。始業式であからさまに避けられるのは怖かった。
『そん時わ俺が慰めてやるよ』
サラリーマンといい、あいつといい。
何考えてんだか。
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