そのいち、
無謀にも連載にチャレンジしてみました。
そしてさらに無謀にも告白の話です。
…………。
広い心でお読みください…!
なんて、意地悪なひと!
いいえ、わたしは知っていました。天使のようにきれいな彼が、その実おなかの中はまっくろなこと。オプションで悪魔のツノとハネだってつけちゃいます……あ、ステキ。じゃなくて!!
じわりとにじむ涙を感じて、わたしはきゅっと唇をかみました。涙が似合うのは、きれいでかわいいひとだけだ。わたしみたいに、メガネに三つ編み、野暮ったさが服を着ただけのような人には、涙がもったいない。それに、幼い頃でさえ、泣き顔を「不細工」と称されたわたしです。それも、今私の胸の中から住みついて離れない、張本人に、です!
なんて、…………残酷なひと。
先程まで走っていたからというのとは別に、心臓がどくどくどくどくとうるさい。第三校舎南側の階段下の隙間に身をひそめて、ついにわたしはこらえきれずに嗚咽を漏らしてしまいました。カエルみたいな声、と心のどこかで失笑しているわたしがいるのに、涙は止まりそうもありません。
体育座りをして膝に顔をうずめて泣きました。わたし、なんてみじめ。つい先程、告白した相手からは相手にもされず、その場で他のひととの、き、キスシーンを見せつけられるなんて。
何もわたしだって、本気で相手からの色よい返事を期待していたわけではありません。むしろ、覚悟していました。
「は?何を言ってるの?冗談、だよね?一緒に病院行ってあげようか?」
とか
「悪いけどブスとか本当、ありえないから。一秒以内に僕の前から消えて」
とか、きれいな笑顔で、
「死んで?」
などなど、考えられるシチュエーションは全て。ここ半年、妄想に妄想を重ねてきたのです。
考えるたびにみっともなくこっそり泣いていたので、今日この日、本番では決して泣かないだろうと思われたほどです。
ですが、彼の反応は、どのシュミレーションにも入っていませんでした。
わたしは、つまらない人間です。死ぬほど臆病なので、いちいち行動を起こす前にじっくりと悩みまくりたい人種なのです。そういう人間はとっさのできごとに弱いのです。
想像だにしていなかった彼の反応……
「へぇ、そうなんだ」
のみ。沈黙。沈黙。沈黙。
嘲笑も失笑も浮かんでいない、夢を見ているような、ぼんやりとした表情でした。
……その後、返事を待っている側のわたしが何かアクションを起こせるはずもなく、(とっさのできごとに弱いのです。二度言いましたが特に大事なことではありません)二人向かい合い、固まっていたところに、3組の学年3本の指に入るとウワサされる美人さん、大川さんが、彼の腕に自らの腕をからめて、キス、をねだって。優しく、微笑んで、それに応じた彼。
わたしは、走って逃げ出すしか、道がなかったのです。